相続対策のはずが…「粗悪な収益物件」を掴み、資産消失の恐怖

相続対策の選択肢として、不動産投資を考える人が増えています。想定通りの結果が得られるなら、実に有効な手段となりますが、物件の選択を誤ったり、管理会社との折り合いが悪かったりすると、資産防衛どころか、今後の生活が立ち行かなくなるほどの深手を負いかねません。回避する方法はあるのでしょうか。優れた建築工法と賃貸運営のノウハウを併せ持つ、パナソニック ホームズの榎本克彦氏が解説します。

不動産投資、初心者の「怖いという感覚」は正しい

相続対策としてよく知られている方法のひとつに「収益物件の購入」があります。借入を行って収益物件を購入・あるいは所有地に建築し、資産の課税評価額の減額を狙うのです。計画通りの結果が得られれば、相続税が圧縮でき、また、購入費用を減価償却として経費計上することで毎年の課税所得を減らせ、毎月の家賃収入も得られるなど、一見いいことづくめに思えます。

 

しかしそれは、相続のタイミングはもちろん、問題のない建物が手に入り、いい不動産管理会社がつくことが最低条件です。

 

 

「収益不動産の購入により、相続において節税効果が得られることは確かです。しかし同時に、多くの方がご存じのとおり、収益不動産の購入や経営には、さまざまなトラブルやリスクがついて回ります。そもそも不動産の購入は動くお金が大きいので、失敗すると取り返しがつきません。だからこそ、メリットを知っただけでは、踏み出す勇気が持てない方が多いのだと思います」

 

パナソニック ホームズ株式会社 営業推進部の榎本克彦氏は分析します。

 

「実際、収益不動産の建築にまつわる失敗事例は、枚挙にいとまがありません。私たちが把握している数だけでもかなりのものですし、困り果てた方から相談を持ち込まれることもあるほどです」

物件と管理会社がダメなら、賃貸運営にメリットなし!

よくあるケースをご紹介します。

 

 ケース①  投資家へのアドバイス役の専門家が購入した中古物件 

 

物件形状:中古アパート

立 地 :駅徒歩5分

部屋数 :1K×6世帯

建築業者:中堅ビルダー

補足事項:普段は投資家へアドバイスしている立場だが、自分も体感してみるために購入。駅近で外観も部屋内部も美しく、利回りも魅力的だったため購入。

 

買値が安かったため、現在も収益が出ている物件。しかし、購入後すぐに建物四隅の柱に腐食が発覚し、数百万円の耐震補強工事が必要になるなど、安定運営できるまでそれなりの費用が必要となった。

 

 ケース②  不動産投資家が1軒目に購入した新築アパート 

 

物件形状:新築マンション

立 地 :駅徒歩5分

部屋数 :1K×12世帯

建築業者:中堅ビルダー

補足事項:不動産投資家として最初に購入した物件。

 

駅近の新築物件で、収益力もそこそこだったが、13年目にアパートの外壁タイルが剝がれはじめ、隣地の駐車場所有者から苦情が寄せられる。再三にわたって管理会社に連絡するが、1年間放置される。その間も外壁タイルの剥がれは続き、最終的に8000枚の補修が必要となり、オーナー自ら対処した。建築業者は「地震の影響でしょう」「日当たりがよすぎるから」などと他人事のような発言ばかりで、結局、補修対応はしてもらえなかった。

 

 ケース⓷  2軒目の投資物件として、利回りに魅かれて購入した中古物件 

 

物件形状:中古アパート

立 地 :駅徒歩14分

部屋数 :1K×8世帯

建築業者:中堅ビルダー

補足事項:2軒目の投資物件。利回りが魅力で購入。

 

物件購入から1年後、2階通路の木造部分が数ヵ所腐食し、300万円近い大規模修繕が必要に。仲介会社に修繕を依頼したが対応は極めて遅い。賃貸物件を探すサイトにも掲載してもらえず、複数の部屋が長期間空室となってしまう。また、入居者の更新手続き時に連絡がつかなかったのをそのまま放置。半年後に夜逃げされていたのを発見したこともある。

 

ほかにも、風呂の排水トラブルを報告しても対応してもらえず、酒に酔った入居者が水を出しっぱなししたことで1階まで浸水する事故に。保険の補償対象でなかったため修繕費全額がオーナーの自腹となった。

 

ケース③のオーナーの方も、中古物件の購入時には十分な精査を重ね、その後も慎重に運営に当たりましたが、それでもなお「順次手放していく」という結論を出すことになりました。現在は「土地購入+新築物件」への投資へとシフトしていますが、同様のプロセスを経て、同様の選択をする方は少なくありません。

 

当然ですが、優れた中古物件も市場には多数存在し、購入してメリットを享受している方はたくさんいます。ただし、そこで最も重要になるのが、一般の方が「すぐれた中古物件を目利きできるのかどうか」という点なのです。

最も安全なのは、信頼できるメーカーの新築物件

「利回りがよく、見た目もきれい。〈これは…!〉と思える物件だったとしても、目利きはプロでもむずかしい。それが中古物件です。一見しただけでは品質がわからないというところに怖さがあります」

 

榎本氏は説明します。

 

「中古物件は、新築にくらべて価格が安く、利回りも高く、すでに入居者がいることから、即収益になるというメリットがあります。しかし、家賃の下落率は大きく、大規模修繕となれば費用はケタ違いです。これらを勘案すれば、中古物件の利回りは決して高いとはいえません」

 

「相続対策を考えるなら、中古物件を購入して税額の圧縮を狙うより、新たに土地を選んで購入して新築のアパートやマンションを建てる、あるいは、立地のいい実家を賃貸併用住宅に建て替えるほうが、大きくなる借入額を踏まえても安全なのです」

 

もちろん、信頼できる建築会社や管理会社に依頼することが、今後の収益性を大きく左右することは当然です。目先の数字に飛びつき、粗悪な中古物件を購入してしまっては、資産防衛はおろか、将来の生活を脅かすことになりかねません。

 

 

次回は、パナソニック ホームズの建築物、賃貸物件運営のスキーム、集客手法の優位性について解説します。

 

 

パナソニック ホームズ株式会社
営業推進部 榎本 克彦

パナソニック ホームズ株式会社 営業推進部

1985年、ナショナル住宅産業(現・パナソニック ホームズ)入社。

埼玉・鳥取・新潟・東京・千葉地区と、部門責任者を歴任。受賞歴多数。35年間にわたり、一貫して顧客の問題と向き合い、解決してきたことを何よりの強みとし、社内においては資産活用事業建築の第一人者との評価を得ている。

賃貸住宅や分譲住宅をはじめ、定期借地権分譲、複合施設、医療・介護施設、保育園、ホテル、多層階建築など、ほぼすべての分野の建造物の受注経験を持つ。

自らも複数の賃貸物件を保有し、賃貸運営の奥深さ、社会的意義とともに、オーナーとしての責任ややりがいも体感。その実体験をもとに行う親身なアドバイスにより、地主様・家主様から絶大な信頼を寄せられるほか、オーナー様・入居者様の立場に立った課題解決案・改善案の提案により、社内外から高い評価を得ている。

著者紹介

連載困った実家の相続問題…賃貸経営への切り替えで逆転する資産防衛スキーム

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