コロナ禍の影響で失業したり、生活保護を受けたり……諸悪の根源とされる新型コロナウイルスでしたが、統計調査を読み解くと「だいぶ前から日本はダメだった」という事実が浮かび上がってきました。みていきましょう。
実はコロナ禍前から「日本人の給料は下がり続けている」という事実 (※写真はイメージです/PIXTA)

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コロナ禍で失業、生活保護…長い期間でみてみると、それほどでもない

総務省『労働力調査』によると、2021年10月時点の完全失業者数は183万人。前年同月に比べ32万人の減、さらに4ヵ月連続の減少となり、完全失業率(季節調整値)は2.7%と前月に比べ0.1ポイント低下と改善がみられました。

 

コロナ禍前の2019年といまを比較すると、完全失業率は2019年、2.2~2.5%台で推移するも、未曽有の危機を前にした第1回目の緊急事態宣言下で2.6~2.8%に上昇。2020年の夏には3%台に突入しました。2021年に入り、アフターコロナを見据えた動きもあったからでしょうか、失業率はゆるやかな下降トレンドにあるようにみられます。

 

また直近だけみてみると、確かにコロナ禍で失業率が悪化したかのようにみえますが、もう少し長いスパンでみてみると、昨今の失業率は決して悪い状況というわけではありません(図表1)。

 

[図表1]2000年以降の失業率の推移

 

また厚生労働省『被保護者調査』で生活保護の状況をみていくと、2021年9月時点の被保護実人員は203万8,210人で、対前年同月比、1万1,199人の減少。一方、世帯でみると164万1,564世帯で、対前年同月比5,810世帯の増加となりました。また保護申請件数は2万0,156件で、対前年同月比、1,158件の増加、世帯でみると1万7,829世帯で、対前年同月比1,216世帯の増加。人数では減少、世帯では増加という結果でした。

 

ただ経年でみると、人数も世帯も、月による多少の増減はあるものの、目立って増えた、減ったという傾向はみられません(図表2)。

 

[図表2]2019年~生活保護の実情

 

生活保護制度は、世帯収入が最低生活費より少ない、保有資産を活用しても生活できないなどの要件を満たしていれば、理由は関係なく申請ができます。

 

保護要件に「資産の活用」があるものの、持ち家には住み続けることができます。しかしローンが残っているなどの場合は、売却が必要なケースもあります。また生活するのに必要不可欠な場合を除き、基本的に自動車の保有も認められないケースが多いようです。

 

生活保護の受給金額は最低生活費(生活扶助と住宅扶助の合計額)が基準になります。生活扶助とは食費や光熱費など、生活に必要な費用の保障であり、住宅扶助は住居を確保するために必要な家賃の保障のことです。給与等収入がある場合は、最低生活費から収入を差し引いた金額が生活保護費になります。また最低生活費は居住地や家族構成などに応じて異なります。計算式は少々複雑になっているので、生活保護が受けられるかどうかは、まずは窓口で相談するのがおすすめです。

 

前出調査(2019年)で生活保護の平均金額に注目していくと、「最低生活費」12万0,893円、そのうち「生活扶助」は8万6,331円、「住宅扶助」は3万6,453円などとなっています。