高齢化と共に増えていく社会保障費。現役世代にとっては、今後、どれくらい負担が増えていくのか気になるところです。一方で、実際に介護が必要になった時、いくらお金がかかるのかについても、心配になるでしょう。そこで厚生労働省や総務省が公表している調査から、介護費用の“いま”を紐解いてみました。
都道府県「介護費用」ランキング…1位と47位に広がる7.6倍もの格差 (※写真はイメージです/PIXTA)

都道府県別「介護費用」が高いのは?

もちろん社会全体での負担増加は心配ですが、個人で介護にどれほどお金がかかるか気になるところ。現在の介護保険制度では、介護が必要である場合、申請のうえ、介護認定審査会が要介護1~5、要支援1~2の計7段階のいずれかの認定を受け、その度合いに応じて国の介護保険サービスを利用できるようになります。介護保険サービスの自己負担は基本的に1割で、所得に応じて2~3割負担となっています。

 

また介護保険で利用できるサービスには、要介護1~5と認定された人が利用できるサービス(介護給付)と、要支援1~2と認定された方が利用できるサービス(予防給付)があります。

 

予防サービスの一人当たりの自己負担額は全国平均2万8,400円。都道府県別に見ていくと、最も負担額が大きいのは「佐賀県」で37,600円。「長崎県」「鹿児島県」「鳥取県」「宮崎県」と続きます。

 

一方、「介護サービス」の一人当たりの自己負担額は全国平均20万1,700円。都道府県別には「鳥取県」が最も負担額が大きく21万8,500円。最も少ないのが「北海道」で19万1,200円となっています。

 

【都道府県「介護予防サービス」1人あたり負担額上位5】

1位「佐賀県」37,600円

2位「長崎県」34,500円

3位「鹿児島県」32,600円

4位「鳥取県」31,900円

5位「宮崎県」31,300円

 

 

【都道府県「介護サービス」1人あたり負担額上位5】

1位「鳥取県」218,500

2位「沖縄県」215,600

3位「佐賀県」215,300

4位「宮崎県」215,100

5位「石川県」214,000

 

厚生労働省『令和元年度介護保険事業状況報告』

 

 

これらはあくまでも公的な介護サービス。当然、公的ではないサービスを受けているケースも多くみられます。そこで、実際に介護費が家計に対してどれほどの負担になっているのか、総務省『2020年家計調査家計収支編』でみていきましょう。

 

それによると最も介護サービス費が高いのは「山形県」で1万7,687円。「岡山県」「福井県」「宮城県」「茨城県」と続きます。一方で、最も少ないのが「山梨県」で2,305円。「群馬県」「長崎県」「北海道」「三重県」と続きます(関連記事:『【すべて見る】都道府県「介護費用」ランキング 』)。

 

1位と47位には7.6倍もの差がありました。もちろん単年の調査結果であり、地域の実情とは異なる場合があることに留意が必要です。

 

誰もがいずれ年を取り、介護が必要になる可能性は高いでしょう。そのとき、自己負担がどれほどになるか検討もつきませんが、少なからず費用がかかります。満足いくサービスが受けられるかどうかは、現役時代の準備にかかってきます。