自分のやりたいことを自分で決め、それを「探究」する力があることは、子どもの将来の幸福度に大きく影響する、と教育ジャーナリストの中曽根陽子氏は言います。研究結果や実例とともに、「子育てのヒント」を解説していきます。 ※本記事は、書籍『成功する子は「やりたいこと」を見つけている』(青春出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。
勉強に興味がない…「留年した東大生」が外務省に入れた理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

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「幸せな人生」を歩んでいくために必要なこと

神戸大学経済経営研究所の特命教授・西村和雄氏と同志社大学教授・八木匡(ただし)氏が、2万人の日本人を対象に調査を行った結果、所得や学歴よりも自己決定、つまり「大事なことを自分で決めたか否か」が幸福を左右する大きな要因だとわかりました。(※)

 

※ 論文…https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/18j026.pdf

 

アンケートの中では、「中学から高校への進学は誰が決めましたか?」をはじめとする3つの質問によって、対象者が人生においてどの程度自己決定をしてきたかが分析されています。

 

そして、自分で進路を決め、自分で将来をつくり上げていくことが、お金持ちになったり、よい大学に行ったりすることよりも、幸福に関して重要な要素であり、人生の岐路を自分で決定してきた人ほど「前向き志向」であり「不安感が少ない」という結果が示されたのです。

 

この結果と探究力がどのように関係するのでしょう。

 

自己決定をするには、「自分のやりたいこと」を、わかっている必要があります。大前提として、自由に選択できる環境が整っていなければいけませんが、「自分は何が好きなのか」「何をやりたいのか」がわかっていないと、さまざまな選択肢の中から、何かを選んで決定することは、できません。

 

小さな頃から自分のやりたいことを自分で考え、選び、それを探究するというプロセスを続けてきた子は、進学や就職など、人生の大事な分岐点でもスムーズに自己決定ができるでしょう。

 

探究と自己決定は切っても切れない関係といってもいいかもしれませんね。

 

とはいえ、進学・就職なんて、まだまだ先の話だと思ったお父さん、お母さんもいらっしゃるでしょう。ただ、「自分で好きなことを探して、決める」という“自己決定”の機会は、小さな頃からたくさんあります。

 

小さいときから、親が何でもお膳立てをしたり、子どものやりたいという気持ちを無視して、指示や命令をしていては、子どものやる気や自律性は育ちません。毎日の生活の中で、できるだけ、自分で決める経験をさせることが大切です。

 

自己決定できる子に育てるには、親にも覚悟が必要なときがあります。

 

「子どもにはよりよい将来を」と願うあまり、子どもの進路や就職先などに口を出してしまう保護者は少なくありません。でも、その行動は、必ずしも子どものためにならない可能性があるのです。

 

親がやるべきことは、子どもが幸せな人生を歩んでいけるように、「やりたいこと」を見つけて、それを選ぶ力をつけるためのサポートをすることなのです。