少子化が進む一方で、「我が子にはより良い教育を受けさせたい」と私立中学校の人気は高まるばかり。いったいどれくらいの児童が中学受験を経験し、実際に私立中学校に進学しているのでしょうか。東京都教育委員会の資料から、東京都区部のデータを見ていきます。
【最新】東京23区「私立中学進学率ランキング」…区内の「受験格差」さらに拡大 (※写真はイメージです/PIXTA)

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人気高まる「公立中高一貫校」

特に都市部では当たり前になった感のある「中学受験」。最近は私立中学校のほかにも、比較的安価な学費で中高の6年間を学べる「公立中高一貫校」に高い関心が寄せられています。

 

都立の場合、公立中高一貫校は、小石川、白鴎高校附属、両国高校附属、桜修館、富士高校附属、大泉高校附属、南多摩、立川国際、武蔵高校附属、三鷹の10校。共同で作成した問題と独自に作成した問題との組み合わせによる入試が行われています。

 

東京都教育委員会『令和3年度公立学校統計調査報告書』によると、令和3年3月に東京都の公立小学校を卒業したのは9万7,695人で、前年度より827人増。そのうち都立中学に進学したのは、1,453人。全体の1.49%の児童が都立中学に進学しています。

コロナ禍「東京区部の私立中学進学率」は増加

また私立中学校への進学者は18,281人(都外中学等への進学者除く)で進学率は18.99%、前年比0.27ポイント増加となりました。また区部に絞ると、進学率は23.90%。児童4~5人に1人は私立中学に進学しています。最終的に公立中学校を選んだ子どももいるでしょうから、中学受験のすそ野はさらに大きいと考えられます。

 

男女比で見てみると、男児の私立中学校進学率は17.68%(区部に限ると22.14%)。それに対して女児は20.1%(区部限ると25.36%)と、女児のほうが2ポイント以上、優勢となっています。

 

時系列で東京都の私立中学進学率を見ていくと、1989年は11.27%で10人に1人程度の進学率でしたが、1996年には15%を突破し、2004~2008年には17%台で推移してきました。

 

しかしリーマンショックによる景気が大きく後退すると公立志向が進み、私立中学進学率は減少基調に。2013年には15.86%にまで落ち込みました。その後、アベノミクスで日本経済が復調の兆しをみせるなか、私立中学校進学率も増加基調となり、2020年度は過去最高値を更新しています。

 

このように経済状況によって、私立志向が高まったり、公立志向が高まったりと変化が生じています。このコロナ禍では、経済的打撃を受けた家庭もあったと考えられますが、いまのところ私立中学進学率には影響はなかったようです。ただ経済の影響は長期化し、先行きは見えない状況。今後、進学率にも影響が表れてくるかもしれません。