ふるさと納税受入額…前年から多く増えた「兵庫県加西市」
また前年からの変動額で見ていくと、最も金額が増えたのは「兵庫県加西市」。神戸牛や同市に本社を構える家電メーカーの商品など、豪華な返礼品が話題を呼び、前年からの変動額は33億円を超えました。
一方で受入額を大きく減らしたのは、「大阪府泉佐野市」で160億円を超える減額。泉佐野市といえば、ふるさと納税の制度改定のきっかけにもなった市で、総務省と争い、一時制度から除外されていました。2020年夏に復帰したものの、同市にとっては非常に厳しい年になったといえるでしょう。
【2020年ふるさと納税「前年との変動額」上位10】
1位「兵庫県加西市」33億3,570万円
2位「熊本県人吉市」31億3,045万円
3位「宮崎県都農町」30億6,015万円
4位「北海道弟子屈町」30億3,564万円
5位「北海道白糠町」30億0,325万円
6位「兵庫県洲本市」29億9,759万円
7位「宮崎県都城市」28億8,014万円
8位「岐阜県関市」28億1,616万円
9位「福井県敦賀市」27億8,995万円
10位「静岡県焼津市」26億6,045万円
【2020年ふるさと納税「前年との変動額」下位10】
1位「大阪府泉佐野市」-162億4873万円
2位「千葉県館山市」-21億7383万円
3位「愛知県幸田町」-11億4214万円
4位「沖縄県那覇市」-9億3982万円
5位「福岡県那珂川市」-6億4759万円
6位「鳥取県米子市」-6億4194万円
7位「北海道八雲町」-5億1975万円
8位「北海道芦別市」-4億8575万円
9位「静岡県小山町」-4億7000万円
10位「群馬県中之条町」-4億574万円
出所:総務省『令和3年度ふるさと納税に関する現況調査』より
ふるさと納税…自治体間の不公平感が増している
制度改定でいろいろあったふるさと納税ですが、制度の抜け道はまだまだあるようです。あるふるさと納税のランキングサイトには「還元率100%!」などという宣伝文句が並び、「調達費比率、30%以下を上回っているのでは?」と思える返礼品が散見されます。還元率は返礼品の市場価格をふるさと納税の寄附額で割った値。調達費=市場価格ではないので、一概に「調達費比率30%以上」とはいえませんが、自治体間の不公平感を生む制度ではあるようです。
また多額の寄付金を集めた一方で、ふるさと納税への依存度が高まる自治体も。都城の場合、寄付額は地方税額の7割にもなります。また本来、居住自治体に納める住民税が控除されるため、大きな減収に陥っている自治体も。たとえば横浜市は、ふるさと納税により170億円を超える税収が減ったといわれています。
自治体の状況を顧みると、改革の必要性がありそうなふるさと納税ですが、やはり豪華な返礼品は楽しみのひとつ。変更を加える際には、納税者視点も大切にしていただきたいものです。