日本で最も「CDにお金をかけている」都道府県は?
音楽の聴取環境の変化は、音楽ソフトの売上にも大きな影響を与えています。
一般社団法人日本レコード協会がミリオンセラーと認定したシングル*は、売上がピークだった1998年、SMAP『夜空ノムコウ』のほか29作品。iTunes Music Storeが開始された2004年には、ORANGE RANGE『花』のほか3作品。そして2007年には秋川雅史『千の風になって』の1作品のみで2008年、2009年はミリオンセラーのない年となりました。
*当該年以前に発売されたものを含む
2010年以降は某アイドルグループ系がミリオンセラーを連発しますが、従来の販売方式でのミリオンセラーは『千の~』が最後だという専門家もいます。
また総務省『家計調査』によると、2004年、CD(音楽・映像収録済メディア)の1世帯当たりの年間消費支出額は4302円でしたが、2007年に3680円、2011年に3176円と減少。ストリーミングが台頭してくる2017年には2023円まで落ち込みました。最新の2020年は2162円と、コロナ禍の巣ごもり需要もあったのでしょう、少々持ち直していますが、この先、ソフトの売上が伸びるとは考えにくいでしょう。
このように家庭における音楽CDの支出額は、15年あまりで約半分までに落ち込んでいます。さらに都道府県別*にCDの売上を見ていきましょう。最も消費金額の多いのが「京都府」で5628円。続くのが「福島県」で4709円。「神奈川県」「埼玉県」「東京都」と続きます。
*『家計調査』の調査世帯は県庁所在地であり、便宜上都道府県と表現。そのため地域の事情と異なる場合があります。また調査では映像コンテンツソフトとの合計であり、音楽CDだけの数値ではないことにも留意ください。
一方で最も消費金額が少ないのは「香川県」で877円。続くのが「山形県」で1007円。「青森県」「福岡県」「沖縄県」と続きます。
1位と47位で6倍以上もの差がありました。
消費支出に占める音楽・映像収録済メディアの割合で見ていくと、トップは支出額と同様に「京都府」。「福島県」「神奈川県」「埼玉県」「和歌山県」と続きます。多少、順位は変わるものの、いま、日本で最もCDを買っているのは「京都府」だといえそうです。
1億回以上再生…2021年配信開始では4作品
CDの売上だけに注目すると、まるで音楽業界が衰退しているかのような印象ですが、音楽がますます身近になっていることは、誰もが知るところ。
2021年1月1日から2021年8月31日の期間中に配信開始された作品で一般社団法人日本レコード協会から「プラチナ以上」(累計ストリーム数1億回以上)と認定されたのは、YOASOBI『アンコール』など4作品。2020年12月31日以前に配信開始の作品では、これまで36の作品が「プラチナ以上」の認定を受けています(ちなみに配信開始が最も古いのは、[Alexandros]の『ワタリドリ』で2015年5月17日配信開始)。
これらの顔ぶれを見ると、デジタル時代に登場したアーティストばかり。いつか「CDバブル」の時代に活躍していたアーティストもここに登場する日が来るかもしれません。