「怪しい」ホームレス支援団体の手口
大阪には、生活困窮者を支援する多くの団体が活動しています。
心強い限りですが、なかには「怪しい」支援団体も現実には存在します。
俗に言う「囲い屋」「拾い屋」といった面々です。
「囲い屋」「拾い屋」とは、ホームレスをはじめとする生活困窮者に「住居を提供するよ」「仕事を提供するよ」と声をかけ、生活保護を申請させて、その生活保護費を奪い取る人たちのことを指します。
もちろん、用意される住居も仕事も、劣悪な環境であることがほとんど。「日当1万円」などと謳っておきながら、うち8000円相当を「囲い屋」「拾い屋」が「寮費」「食事代」などとさまざまな名目をつけてピンハネし、本人の手元に残るのは2000円だけといった話もザラです。
「話が違う」と引っ越そうにも、その日暮らすのもやっとのお金しかもらえない生活困窮者たちは、引っ越しなんてできません。結果、泣き寝入りし、そこで働き続けるしかなくなるのです。
その中でも、勇気を出して「囲い屋」「拾い屋」から逃げ、私たちに助けを求める生活困窮者も少なからずいます。私たちは彼らを全力で守ります。
「囲い屋」「拾い屋」は、大阪では、なんばや梅田といった街中の、ホームレスの多いスポットをふだんから見張っています。
そこに現れる「ホームレスの新顔」に目をつけるのです。
リュックサックを背負って、どこに居を構えようか右往左往している、挙動不審な人は、「ホームレスの新顔」の可能性大。「どうしたの?」「住むところないの?」「住居を提供するよ」「仕事を提供するよ」と優しく声をかけ、毒牙にかけます。
生活支援を求める場合は、道ばたで出会った人を頼るのではなく、まずは公的な機関に訴えることをおすすめします。
坂本 慎治
NPO法人生活支援機構ALL 代表理事
大阪居住支援ネットワーク協議会 代表理事
株式会社ロキ 代表取締役
※本連載で紹介している事例はすべて、個人が特定されないよう変更されており、名前は仮名となっています。