生活困窮者の相談に乗り、生活保護の申請を手助け、住まいを紹介するNPO法人・生活支援機構ALL。「困っている人はぜひ、大阪に来てほしい」と代表理事の坂本慎治氏は語る。同氏曰く、「西成」と「生活困窮者」「怪しい支援業者」には深い関係があるようだ。 ※本連載では書籍『大阪に来たらええやん!西成のNPO法人代表が語る生活困窮者のリアル』(信長出版)より一部を抜粋・編集し、日本の悲惨な実態に迫っていく。
「生活保護費を奪い取る」ホームレスを狙う、怪しい支援業者の実態 (※画像はイメージです/PIXTA)

「怪しい」ホームレス支援団体の手口

大阪には、生活困窮者を支援する多くの団体が活動しています。

 

心強い限りですが、なかには「怪しい」支援団体も現実には存在します。

 

俗に言う「囲い屋」「拾い屋」といった面々です。

 

「囲い屋」「拾い屋」とは、ホームレスをはじめとする生活困窮者に「住居を提供するよ」「仕事を提供するよ」と声をかけ、生活保護を申請させて、その生活保護費を奪い取る人たちのことを指します。

 

もちろん、用意される住居も仕事も、劣悪な環境であることがほとんど。「日当1万円」などと謳っておきながら、うち8000円相当を「囲い屋」「拾い屋」が「寮費」「食事代」などとさまざまな名目をつけてピンハネし、本人の手元に残るのは2000円だけといった話もザラです。

 

「話が違う」と引っ越そうにも、その日暮らすのもやっとのお金しかもらえない生活困窮者たちは、引っ越しなんてできません。結果、泣き寝入りし、そこで働き続けるしかなくなるのです。

 

その中でも、勇気を出して「囲い屋」「拾い屋」から逃げ、私たちに助けを求める生活困窮者も少なからずいます。私たちは彼らを全力で守ります。

 

「囲い屋」「拾い屋」は、大阪では、なんばや梅田といった街中の、ホームレスの多いスポットをふだんから見張っています。

 

そこに現れる「ホームレスの新顔」に目をつけるのです。

 

リュックサックを背負って、どこに居を構えようか右往左往している、挙動不審な人は、「ホームレスの新顔」の可能性大。「どうしたの?」「住むところないの?」「住居を提供するよ」「仕事を提供するよ」と優しく声をかけ、毒牙にかけます。

 

生活支援を求める場合は、道ばたで出会った人を頼るのではなく、まずは公的な機関に訴えることをおすすめします。

 

 

坂本 慎治
NPO法人生活支援機構ALL 代表理事
大阪居住支援ネットワーク協議会 代表理事
株式会社ロキ 代表取締役

 

※本連載で紹介している事例はすべて、個人が特定されないよう変更されており、名前は仮名となっています。