スーツのポケットは物を入れるところではありません
ジャケットの前身頃、ちょうど両手にあたるところに左右それぞれポケットがついています。ポケットにはフタがついていますが、これをフラップと呼びます。
本来フラップとは、屋外にいるときに雨やほこりがポケットに入らないようにつけられたものです。したがって、屋外では外に出し、屋内では内側に入れておくのが本来の「ルール」でありマナーです。
就職面接の際など、面接官がチェックしていることもあると聞きます。忘れないでいただきたいポイントです。
よくあるのは、フラップがうっかり片方だけ出ていて、片方はしまってあるという中途半端な状態です。これは「だらしない」印象になり品格が下がります。
また、スーツを着るからには、ポケットの使い方にも気を配ってください。フラップのついたフラップポケット以外にも、ジャケットの胸ポケット、内ポケット、そしてズボンのポケットと、スーツにはいくつかのポケットがあります。
ポケットがあるとつい、物を入れたくなりますが、何か入っていることでスーツのシルエットが崩れてしまうので、基本的には物入れとして使うことはおすすめしません。
とはいえ、必要に応じて身につけておきたいものもあると思います。ここでは、スーツのポケットの使い方のルールを説明しておきます。
●ジャケットの胸ポケット
ポケットチーフを入れるための場所とされています。ペンを挿している人もいますが、硬いものが胸ポケットにあると胸回りの形が崩れます。
●ジャケットの腰ポケット
シルエットが崩れ、重みでポケットの入り口が伸びてしまうので、基本的には何も入れないでください。
スーツのジャケットの裏側には一般的なもので4つのポケットがあります。型崩れの原因となるため「スーツのポケットは基本的に物をしまわないもの」というのが基本ですが、やむを得ず物をしまう際はスーツの内ポケットを活用します。この内ポケットにも、それぞれ用途に応じたポケットが存在します[図表1]。
●パンツのポケット
基本的には何も入れないでください。どうしてもハンカチを入れたいというのであれば、脇ポケットよりは尻ポケットを使ってください。
しぎはら ひろ子
ファッション・プロデューサー、服飾戦略家