日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、文部科学省『令和3年度全国学力・学習状況調査』の結果から、小学生児童の学力、学習の状況に焦点を当てていきましょう。
都道府県「小学生・学力」ランキング…国語・算数ともにトップは「石川県」 ※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍、いつもと異なる状況に児童たちは…

前年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け中止になった同調査。2年ぶりの結果を受けて、萩生田文部科学大臣は以下のとおりコメントしています。

 

「小学校については新学習指導要領が全面実施されてから初めての調査でした。教科調査結果を概観すると、改善の傾向が見られたものがある一方、依然として課題が認められるものがありました。具体的には、複数の文章や資料等を結び付けて必要な情報を見付けることや、日常の事象を表、式、グラフなどを用いて数学的に解釈したり説明したりすることなどに課題があることが明らかになっています。」

 

また同調査では、学力とともに、学習状況についてのアンケート調査も実施。令和3年度調査では、新型コロナウイルス感染症の影響について尋ねています。

 

地域一斉の学校の臨時休業期間は、「50~60日未満」が最も多く23.6%。「40日~50日未満」21.2%、「60~70日未満」18.6%と続きます。

 

臨時休業期間中、家庭学習として「教科書に基づく学習内容の指示」や「学校作成のプリント等の配布」を課したと回答した学校の割合が約8割、「教育委員会作成の問題集等の教材を活用した学習」は26.3%、「学校作成の学習動画等を活用した学習」は14.1%、「同時双方向型オンライン指導を通じた学習」は2.6%でした。

 

また臨時休業期間中、児童の学習や生活の状況把握手段は、「電話やFAX」が72.4%、「登校日を設定して学校で直接行った」が59.1%、「家庭訪問」が40.4%。また臨時休業期間終了以降の対応として、「児童の心身の状況チェック」、「児童の学習状況、成果の確認」を行った学校が約9割、「長期休業期間の短縮」「学校行事の見直し」もまた9割にのぼりました。さらに臨時休業期間が長くなるほど、「補習の実施」「時間割編成の工夫」「土曜日の活用」などを行ったとする割合が高くなりました。

 

さらに「計画的に学習を続けることができたか」「規則正しい生活を送っていたか」の問いには、約65%の児童が肯定的な回答を選択しています。「休みの間、ダラけてしまうのでは……」という保護者の心配をよそに、子どもは子どもなりに対応していたようです。一方で、臨時休業期間中「勉強に不安を感じたか」に対して「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」が55%と過半数を超えました。

 

いまも全国の多くの地域で緊急事態が発令されており、いつもとは異なる対応が迫られている学校も多いことでしょう。大人でもストレスのかかる状況下、何よりも子どもたちの学習、そして心のケアを最優先に考えていきたいものです。