ビジネスマンにとって、スーツは第一印象を決定付ける重要な要素です。本記事では、日本ベストドレッサー賞選考委員でファッション・プロデューサーのしぎはらひろ子氏の著書『一流の男だけが知っている 賢いスーツの買い方』(プレジデント社)より、一部を抜粋・編集して、スーツ選びで重要となる4つのポイントを紹介します。
第一印象で差をつける…「ビジネススーツ選び」の4つポイント (画像はイメージです/PIXTA)

ビジネススーツを選ぶ際の4つのポイント

この4つのポイントをしっかり頭に入れてから、店に行ってください。それぞれには、論理的な理由があります。

●ビジネススーツの「ルール」を守ること
●「流行」に惑わされないこと
●「似合う、似合わない」よりも「仕事ができそうに見える」を優先すること
●サイズが合っているものを着ること

 

ビジネススーツの「ルール」を守ること

 

これは、スーツを着るすべての人に当てはまる、世界中で通用する、普遍的な「ルール」です。そのベーシックな「ルール」を外さないことを意識してください。

 

「流行」に惑わされないこと

 

スーツの「ルール」は、100年単位でしか変わりません。しかし、その間にどうしても、数年単位の「流行」が生まれるものです。

 

「流行」は、メーカーや販売店、メディアがつくるものです。店の販売員も、「流行」の在庫を抱えていますから、なんとか売りたいと思っているので、すすめてきます。でも、あなたは流行に惑わされるのではなく、あくまでもベーシックな「ルール」を追いかけるのです。

 

「似合う、似合わない」よりも「仕事ができそうに見える」を優先すること

 

そもそもあなたは、何のためにスーツ、シャツを買うのか、その目的に立ち返りましょう。

 

ビジネスのオンタイムに着る服装は、「相手へのリスペクト」を表現するものです。なかには、見るからに安いスーツをあえて着て、ボロボロになった靴を履いて、汗をかきながら「僕、こんなに必死です!」とアピールすることで、どのような相手の心でも開いて成功するベテランセールスマンがいるかもしれません。

 

しかし、それは誰にでもできる芸当ではありません。

 

「ルール」をあえて破って、自分のキャラクターを演出しているのですから、ある意味では究極の「スタイル」だともいえます。そのような裏ワザに走る前に、まずは「誰が見ても」「仕事ができそうに見える」第一印象を与えることを目指すべきです。

 

私は、ビジネススーツはあくまでも本人が選ぶものだと思っています。よくあるのは、奥さんと一緒に店に行って、奥さんに選んでもらったために失敗するパターン。

 

一般的に女性は、男性に比べるとはるかに「似合う、似合わない」のアンテナが敏感です。しかし、スーツの「ルール」は知りません。すると「奥さんが考える、あなたに似合うスーツ」を買うことになってしまうのです。

 

あなたがスーツ、シャツを選ぶ基準は、「似合う、似合わない」ではなく、「仕事ができそうに見えること」。ここを間違えてはいけません。

 

サイズが合っているものを着ること

 

実は、スーツ選びの最大のポイントはサイズです。いくら「ルール」に則っていても、あなたのキャラクターを際立たせるものであっても、サイズが合っていなければすべて台無し。体にぴったりと合ったスーツは、それだけで「できる人」の印象を与えます。

 

一般的に男性は、知らず知らずのうちに、大きめのサイズを選ぶ傾向があります。背景には、子どものころから着てきた制服のサイズがあるのかもしれません。成長期の子どものために、親が1サイズ大きい制服を選ぶ。その「ぶかぶか感」に体が慣れてしまっているのです。

 

上着を試着した際に、販売員は「サイズはいかがですか?」と必ず聞きます。実は、「ルール」に則った正しいスーツのサイズとは、ぴったりと体にフィットするサイズなのです。しかし、多くの男性がぴったりと体にフィットするサイズを着用すると「動きにくい」「ちょっときつい」と感じてしまいます。

 

そこで、「いままでと変わらない着ごこち」の1サイズ大きなものを選んでしまうのです。「ジャストサイズが最重要」と覚えておきましょう。

 

 

しぎはら ひろ子

ファッション・プロデューサー、服飾戦略家