仕事をしたい高齢者の本音…生活費を稼ぐため、 仕事をしなければならない
定年までの生活に目途がつき、わずか5年であっても早期退職を実現させた男性。なんとも羨ましい限りですが、話には続きがあります。早期退職から3年後、男性は再就職をしました。
――退職してからは、旅行で色々な所に行きました。しかしそんな生活が続いたのも1年ほど。それまでは将来のためにとコツコツと貯蓄をしてきたので、「貯蓄が減る」という経験がありませんでした。減っていくばかりの貯金通帳を眺めては、「本当に老後、大丈夫なのだろうか……」と不安を覚えるようになったのです。
結局、悠々自適の生活は3年で幕を閉じたという男性。再就職時の月給は早期退職時の1/3程度だったといいますが、貯蓄が減っていくという状況からは脱却できて安心だったとか。
団塊の世代を含む全国の中高年者世代の男女を追跡調査している、厚生労働省『第15回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)』(調査時64~73歳が対象)によると、65~69 歳で「仕事をしたい」と答えたのは56.4%、70歳以上で39.0%。そして「仕事をしたい理由」として半数以上の51.2%が「生活費を稼ぐために仕事をしなければならない」と答えています。
厚生労働省『令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金額は月14万6162円。しかし23.7%が受給額10万円未満です。
【厚生年金「月額受給額の金額別分布」】
5万円未満 2.91%
5万~10万円未満 20.76%
10万~11万円未満 6.93%
11万~12万円未満 6.27%
12万~13万円未満 5.71%
13万~14万円未満 5.51%
14万~15万円未満 5.58%
15万~16万円未満 5.77%
16万~17万円未満 6.08%
17万~18万円未満 6.28%
18万~19万円未満 6.11%
19万~20万円未満 5.67%
20万円以上 16.39%
出所:厚生労働省『令和元年度 厚生年金・国民年金事業の概況』より
この年金額で生活が維持できるのか。一概にいうことはできませんが、「いくらあっても年金だけでは心もとない」というのは多くの人に共通することでしょう。老後、少しでも安心を得るためには、コツコツと資産形成を続けるしかない、ということも共通しているといえそうです。