「消費・浪費・投資」のなかで最も注目するべきものは?
ここでは、先ほどの「3つのモノサシ」を詳しく見ていきましょう。ちゃんと家計簿をつけている人も、その中身を同じように3つに仕分けてみることはとても効果的ですので、ぜひやってみましょう。
3つの中で最も注目してもらいたいのは、やはり「投資」です。なぜなら、今後の自分のためにお金を使っていくという習慣をぜひ身につけて生きていってほしいからです。また、この投資というのは、「自己投資」というのと、「貯蓄」という2つの意味合いがあります。
懸命に働いて得たお金をどう有用に使うのかを意識できるのか。それ次第で今後の人生は大きく変わっていくのです。
「投資」に使っていこうとすると、その使い方だけでなく、無駄な浪費や必要以上の消費を抑え、その分を投資に回そうとするように変わっていきます。「投資」を中心にすることで、全体のお金の使い方にまで影響を与えるのです。そうすると、家族や周囲の人間にまで影響します。
これまで面談してきて、投資中心に切り替えるようにアドバイスをしていくと、まわりのことにとても気がつくようになったり、有意義な時間が増え、たいへん充実した人生に変わる人が多いのです。ですから、「投資」の割合を増やすようにしていってください。
一方、守りの「貯蓄」ですが、こちらも非常に大切です。その方の状況下によって異なりますが、自己投資よりもまずは、貯金を作る方が優先で重要であるという方も多々見受けます。
何割貯めるべきなのかは、ライフステージや家族構成などにも大きく異なりますが、大きく括って一律の目標でいうなら収入の5分の1(20%)を目指そうと話しています。
ですが、現場ではそこまでできないという方も多くいらっしゃいます。あくまで目標として受け取ってください。
では、実際に貯められている人たちの貯金の割合はというならば、6分の1(約16.7%)というところです。この割合で貯めていくと、3年で年収の半分が貯まります。
ただし、所得やライフステージ、目指すところは各ご家庭様々なので、絶対ではありません。目安として受け取ってください。受験生で塾代などの教育費がかかるご家庭においては、6分の1であっても難しいのが現実です。
あなたの収入の5~6分の1はいくらになるのか、今いくら貯蓄ができているのか、理想と現実を知りましょう。そして理想に近づけるにはどうすればいいのかを考えていくのです[図表2]。
また、「浪費」についてですが、これは絶対的に100%ダメなもの、というわけではありません。そもそも人は、初めから「浪費をしてみよう」という思いで、お金を使いませんし、浪費になるかもわからないことが意外と多いものです。
ハッキリと初めから浪費になるだろうと思うものをやめたというのはいいことだと思いますが、浪費になってしまうかもしれないけれど、いろいろ考えた結果、やってみたというものまで否定してはいけません。
そうしてしまうと、生きるうえでの挑戦したいことやメリハリ、チャンスと巡り会えないことにもなりかねません。そのため、浪費を一切排除するという考え方ではなく、バランスよく浪費をしていく、浪費と向き合うというのが理想です。
そのために、収入の5%以内などと範囲を決めておくのも一つです。20万円の収入の人ならば、月に1万円。25万円の人なら、1万2500円。こう考えると、意外と使えると思えませんか。自分で許せる範囲を持ってください。
そして浪費を可視化させるようにするのです。怖いのは、浪費と認識しないで、浪費をしていることなのです。浪費というタグ付けをされた浪費は、むしろよいくらいなのです。
横山 光昭
株式会社マイエフピー代表取締役
家計再生コンサルタント