お金を貯められない人には、「モノ」「生活」が整っていないという共通点があります。今回は、一人暮らしで手取り22万円の男性が貯金できなかった事例から、家計の現状を把握することの大切さを紹介します。※本連載は、横山光昭氏の著書『お金が自然と貯まる 超シンプル・ルール』(大和書房)より一部を抜粋・再編集したものです。
家計を改善するのに「写真を撮る」ことが有効なワケ【人気FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

家計改善の第一歩は現状把握…おすすめなのは、「写真を撮る」という方法

必要かもしれないから持っておく。欲しいし、買えるから買う。あったらいいし、うれしいから買う──。そんなマキシマムな生活。健康であることのありがたみは、病気になったときにわかります。失ってから初めて普段の幸せがわかるのです。

 

これは、健康に限ってのことではありません。モノに関しても言えます。ただし、モノの場合は逆もあって、過分にあることによって大切さに気づけないことがあります。

 

たくさんありすぎて一つひとつに思いがフォーカスされていないのですから、何が本当に大切なのかが見えなくなるのは当然のことです。

 

ですから、普段の幸せや、本当に大切なものが何かを知るために、失ってみればいいのです。もう少し正確に言うと、失うのではなく、不要なモノや考え方を「削ぎ落とす」ということです。単に捨てればいいのではありません。やることは、“必要なモノだけを残す”という作業です。

 

そして、リバウンドしないためにも、“必要なモノだけを買う”ということを先ほどの問いかけで両立させないといけません。

 

さて、ここからは、「削ぎ落とし」について見ていきましょう。あなたの周囲にあるモノを見回してみてください。

 

まず何をしてもらいたいのかというと、“現状把握”をしてほしいのです。これは、家計改善の工程で非常に重要なことです。「把握」は家計改善の要になります。現状把握がきちんとできないと、その後の変化も明らかにならず、それを維持させるマネジメントもできなくなるのです。

 

把握の方法は、いろいろなやり方があります。私の行う家計改善でも最善な方法が一人ひとり異なります。ノートに丁寧に書く人もいれば、手帳に書きなぐる人、絵を描く人、部屋の様子をビデオで録る人など、さまざまです。

 

ここでおすすめなのは、「写真を撮る」という方法です。なぜなら、スマホの普及により大量のデータが保存できますし、いつでも見返すことができます。それに、他人が見ても、文字や絵より明らかです。

 

スマホあるいはデジカメで記録する際には、部屋などの場所ごとで撮ってもよいのですが、できるだけ部門ごとに撮っておくとよいでしょう。

 

このように、同じくくりのもので撮っておくことで、今どんなものがあるのかを一目で把握することができます[図表1]。

 

[図表1]

 

普段は家のいたるところに置かれているから、どれだけのモノがあるのか明確になっていません。部屋の空いているスペースやベッドの上などを利用して、可能な限り一堂に集めてみましょう。すると、思ったよりモノが多いことを感じることができるでしょう。

 

ちなみに筆者は、整髪料をたくさん持っていたことがわかりました。中には、使いかけの同じ商品まであったのです。さらに、ワックスやムース、スプレー、ジェル、リキッド……。全部で20種類ほどありました。毎日1種類しか使わないのにです。

 

日用品を買うときにハッキリとした意思がなく、「いずれ使いきるだろう」という気持ちでドラッグストアに行き、なんとなく買い揃えてしまっていたのです。揃えることでムダが生まれ、モノを粗末に使っていたのです。

 

粗末に使ってやろうという気は、これっぽっちもありませんでした。それなのにお金はどんどん出ていってしまっていたわけです。

 

家計は、実はこうした些細なことから乱れていきます。だから、決して甘く見てはいけません。そして、こういった把握できていないモノが、あなたにもあるはずです。

 

そうならないためにも、あなたの現状を把握するのです。