「高給取りでも生活苦」なんてことはあるのか?
年収2,000万円を超えるような高給取りが多いのか、それとも少ないのか、意見は分かれるところですが、一般の会社員からすれば夢のような世界だと感じるでしょう。
しかし、当の高給取りからは、大きなため息ばかりが聞こえてきます。
――税金ばかりとられて、全然手元に残らない
これは一般の会社員でも感じることでしょう。額面の給料に対して、「なんでこんなにも天引きされるんだろう」と。
給料から天引きされる社会保険料は「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」、「介護保険料」(40歳以上)の4つ。
「健康保険料」は、中小規模の会社であれば「全国健康保険協会」、大規模の会社であれば「健康保険組合」、自営業等であれば「国民健康保険」、公務員などは「各種共済組合」があります。保険料率は9~10%。
「厚生年金保険料」は、国民年金の上乗せとして加入するもので、国民年金の保険料は月額1万6610円(令和3年)、厚生年金保険の保険料率は現在18.3%、実質負担率は9.15%です。
「雇用保険料」は会社員の雇用を守るもので、保険料率は一般事業の場合は0.9%で、従業員は0.3%を負担します。
40歳以上は徴収される「介護保険」。「全国健康保険協会」であれば、全国一律で1.80%(令和3年度)、「健康保険組合」であれば、各組合で設定されています。
さらに会社員であれば天引きされるのが税金。まず「所得税」は非課税となる諸手当を除いた部分にかかる税金。給料では「源泉徴収」で天引きされますが、「年末調整」で1年分の正確な税額が算出され、精算されます。「住民税」は住んでいる都道府県、市区町村に納める税金で、前年の年収によって金額が決定されます。
会社員であれば、額面の大体75~80%が手元に残るイメージでしょう。しかし高給取りはそうはいきません。問題は「所得税」。これが曲者です。
所得税の税率は以下の通り。年収330万円から694万9000円は20%、年収695万円~899万9000円では23%。年収が高くなっても、それほど違いなどないような差です。しかし900万~1799万円だと33%、1800万~3999万9000円までは40%、4000万円以上だと45%にもなります(図表1)。
このように所得税は累進課税で、年収があがればあがるほど税率が高くなる税金。年収2000万円程度であれば、手取りは1200万~1300万円程度。約4割は税金にとられてしまうイメージです。これだけ税金にとられるのだから、テンションが下がるのも無理のない話です。
しかも年収が高いと、そのステータスにふさわしい生活を余儀なくされます。住居費、子どもの教育費、交際費……年収が高くても、毎月の生活は苦しいという高給取りが多いのも事実。なかか贅沢三昧とはいきません。
高給取りは高給取りなりの苦労があります。