日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「看護師の給料」。コロナ禍で過酷な労働環境に置かれている看護師に注目が集まっていますが、全体的にはどうなのでしょうか。見ていきましょう。
「看護師」給料手取りで23万円…「労働環境が過酷すぎる」は本当か? ※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍で苦境の「看護師」は薄給なのか?

――家に帰ることができない

――割があわない

 

コロナ対応の最前線で働く看護師からは、そんな声も聞こえてきます。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、会社員の平均月給は33万0600円、賞与も含めた推定される平均年収は487万3000円です。それに対して、看護師(年齢41.2歳、勤続年数8.9年)の平均月給は30万9100円。手取りにすると、23万円程度です。また推定される平均年収は491万8300円。月給は平均以下ですが、残業代などが上乗せされ、年収としては会社員平均を上回っています。

 

職種別に見ていくと、145職種中、月給は49位、年収は54位。

 

この10年ほどの年収の推移を見ていくと、

【看護師の推定年収の推移】

2020年 491万8300円(159/6)

2019年 482万9100円(154/7)

2018年 479万9300円(158/7)

2017年 478万2700円(160/7)

2016年 480万8500円(159/7)

2015年 478万3100円(159/7)

2014年 472万9800円(157/7)

2013年 472万3500円(158/9)

2012年 470万9700円(159/7)

2011年 474万5000円(162/7)

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』

※(かっこ)内、左:所定内実労働時間数、右:超過実労働時間数、単位は時間

 

また看護師とひとくくりにしても、働く場所はさまざま。病院や一般診療所、歯科診療所、保険薬局における医業経営などの実態を明らかにする厚生労働省『第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)』によると、国立病院勤務の看護師であれば、平均年収は542万8797円。それに対して医療法人勤務の看護師は、平均年収454万9506円。平均値で100万円近い年収差が生じています。

 

【勤務先別看護師の年収】

国立病院 542万8797円

公立病院 559万5209円

公的病院 519万9463円

社会保険関係法人 526万4165円

医療法人 454万9506円

診療所(入院診療あり)403万1195円

診療所(入院診療なし)387万4816円

 

出所:厚生労働省『第22回医療経済実態調査(医療機関等調査)』より