何かとしがらみの多い会社員。「できることなら、独立したい……」と夢を見る人も多いのでは。実際にフリーランスになった人の声を聞いていくと、8割が満足している一方で、個人事業主ならではの苦労も見えてきました。
6割が取引先とのトラブルを経験…甘くない「フリーランス」の実態 ※画像はイメージです/PIXTA

フリーランスに8割は満足…残りの2割は?

会社を辞めて個人事業主としてフリーランスの道をたどった人たち。内閣官房日本経済再生総合事務局『フリーランス実態調査』(令和2年5月結果発表)によると、「自分の仕事のスタイルで働きたい」57.8%「働く時間や場所を自由にしたい」39.7%と、自由な働き方を模索して独立する人が多いようです。

 

そして「今後もフリーランスとして働きたい」と継続を希望してる人は、全体の78.3%。その9割が、フリーランスとしての事業規模維持、または拡大を予定しています。

 

一方で「わからない」が17.5%と、暗中模索の人が2割弱いるほか、「会社員になりたい・戻りたい」が3.4%と、独立を後悔している人もいます。

 

後悔の理由はさまざまなですが、ひとつは収入。フリーランスを本業としている人の51%が年収300万円未満。500万円未満でも79%ですから、一般会社員の平均年収を超えているフリーランスは2割程度と、限られた存在であることがわかります。

 

また6割以上が事業者から仕事を委託されるフリーランス。取引先とトラブルになることも多く、37.7%の人が、何かしら取引先とのトラブルを経験しています。

 

トラブルの内容で最も多かったのが「発注時点で報酬や業務の内容が明示されなかった」で37.0%、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」28.8%、「報酬の未払いや一方的な減額があった」26.3%、「仕様や作業期間・納品日を一方的に変更された」24.4%、「仕事の業務内容・範囲について揉めた」23.5%と続きます。

 

そしてトラブルが生じた時、半数以上が取引先と交渉を行っていますが、何もしなかった人も2割、自ら取引を中止したのが1割と、泣き寝入りした人は3割近くにのぼります。

 

フリーランスだと立場的に弱くなることが多く、今後のフリーランスとしての活動に支障をきたすのでは、と心配して、最終的に泣き寝入りしています。

 

このようなトラブルを防ぐためにも、はじめに契約書など、しっかりと交わすことが大切ですが、人と人とのつながりで仕事を進めがちなフリーランス。そもそも書面やメールなどを交わさなかった人が29.8%と3割近くにのぼり、受け取っていても内容が不十分だった人33.3%も含めると、仕事を始める最初の段階で不備が生じている人が6割にものぼっています。もちろん、これはフリーランス側だけでなく、発注側にも問題があることは明らかです。双方で契約をしっかりと交わすことが重要です。

 

自由を重視して会社を辞めても、すべてがバラ色とはいかないフリーランス。厳しい世界ではありますが、約4%の人は年収1000万円の大台を超えています。自由も収入も得る……狭き門ではありますが、魅力的な世界です。