コロナ禍、東京の人口減…その受け皿となったのは
2020年、コロナ禍で東京都の人口が減少に転じたことは大きなニュースとして報じられました。どのように減少していったかというと、2020年5月1400万2973人をピークに、6月には1399万9568人と3000人強の人口減を記録。同8月には1万1939人減、9月には1万0673人の減。その後減少幅は落ち着き、一進一退といった状況。2021年6月1日現在は、1395万7977人となっています。
この東京都の人口減、その受け皿となったのが、周辺の神奈川県、埼玉県、千葉県の3県。「東京よりも住環境のいい、ちょっと郊外へ」というのが、コロナ禍のトレンドだったわけです。
この3県のなかでは埼玉県は何かと揶揄されては話題になる地域。ヒット映画『翔んで埼玉』ではあまりに自虐的な内容に、県外の人が「そんなに馬鹿にして、埼玉の人は怒らないのだろうか」と心配するほど。実際の映画は“埼玉愛”にあふれるもので、物議を醸すほどではありませんでした。それ以上に、最近では地元の人もユーモアたっぷりに楽しんでいる感もあります。
そんな埼玉ですが、国が人口の調査を始めた1920年以降、人口が減少していない唯一の県。つまりこの100年間、成長を続けている、日本でただ1つの県なのです。
そこで埼玉県と首都圏のほかの1都2県を、総務省『家計調査 家計収支編』2020年で比べてみましょう。前提として、『家計調査』の調査対象は県庁所在地ごと。あくまでも地域性を比較するものとして参照にしてください。
まず収入から税金などを引いた手取り収入(可処分所得)が最も多いのは「埼玉県」で61万8844円。実は東京都以上に家計は潤っています。「世帯主(男性)の収入」で最も多いのも「埼玉県」で53万7593円。東京都を1万3172円上回っています。
また「消費支出」を見ていくと、最も多いのが「埼玉県」で36万9498円。次点の「千葉県」よりも1万6974円、多く消費をしています。だからといって、無駄遣いをしているわけではありません。「貯蓄純増額」が最も多いのも「埼玉県」で25万2653円。ほかの地域を5万円ほど圧倒しています。
埼玉県人はよく稼ぎ、ほどよくお金を使い、きちんと貯蓄する。首都圏の中で家計運営はピカイチといっていいでしょう。
【1都3県家計収支比較】
●手取り収入(可処分所得)
東京都:589,658円
神奈川県:523,583円
埼玉県:618,844円
千葉県:561,851円
●世帯主(男)収入
東京都:524,421円
神奈川県:494,211円
埼玉県:537,593円
千葉県:486,643円
●消費支出
東京都:347,869円
神奈川県:324,083円
埼玉県:369,498円
千葉県:352,524円
●貯蓄純増額
東京都:202,366
神奈川県:208,947
埼玉県:252,653
千葉県:164,857
出所:総務省『家計調査 家計収支編』2020年平均より