コロナ禍で「外国語会話教室」は大打撃だったが…
社会人の学び事情を見てきましたが、ひとつに焦点をあてて見ていきましょう。
社会人の学びの中でメジャーなもののひとつが、英語を中心とした「外国語会話」。経済産業省『特定サービス産業動態統計調査』によると、2020年の「外国語会話教室」の市場規模は697億円。前年比76.7%と、コロナ禍で対面授業ができなくなったことで、大きな打撃を受けています。
また受講生は、2020年499万3036人。前年比93.3%となりました。ここでもコロナ禍の影響が見てとることができます。
もう少し長期的に見てみると、2000年以降最も市場規模が大きかったのは2006年で1364億円。翌年の2007年には970億円と急激に縮小しました。これは当時大手英会話教室の破綻、そしてリーマンショックの影響が大きかったと見られます。
受講生数の推移を見てみても、2006年に95万62427人だったのが、翌年には74万35713人、さらに2008年には45万13621人と大きく減らしました。
ただ2010年以降を見ていくと、コロナ禍前までは緩やかに右肩上がり。安定した人気を誇っていました
【外国語会話教室の受講生の推移】
2011年:44万48352人
2012年:45万01480人
2013年:44万67079人
2014年:45万86139人
2015年:47万03409人
2016年:48万22194人
2017年:49万37468人
2018年:51万17816人
2019年:52万09265人
2020年:49万93036人
経済産業省『特定サービス産業動態統計調査』より
コロナ禍で大きな減少を記録していますが、ここにはオンラインレッスンやeラーニングなど、パソコンやテレビを介した外国語授業は反映されていません。またポッドキャストなど、聴いて学ぶような教材も同様です。近年の外国語学習は多様化が進み、スマートフォンのアプリなどで外国語を学んでいるという人も多いでしょう。
それらの数値も含めると、外国語学習の全体の規模は、外国語会話教室の最盛期を超えているかもしれません。
社内公用語が英語などの外国語、という企業も増えています。ニーズが高まる一方で、技術の進歩も凄まじく、自動翻訳など、もはや通訳いらずというレベル。それでもビジネスレベルのコミュニケーションとなるとまだまだ難しく、スムーズに仕事を進めるうえでも、やはり話せたほうがいい、という選択にいたるケースも多いでしょう。
これからも外国語の学びのニーズは高まっていきそうです。