保有物件の立地が都市部の駅近であるなら、下層階を店舗とした「店舗併用住宅」への建て替えもメリットがあります。家業を営むオーナーであれば、店舗部分を自分で活用するほか、地域が求めるテナントを誘致することで、地域への貢献を果たすこともできます。優れた建築工法と賃貸運営のノウハウを併せ持つ、パナソニック ホームズの榎本克彦氏が解説します。

居住用賃貸だけでなく「店舗も併用する」という発想

もし老朽化して持て余している不動産が都市部の駅近に位置しているなら、むしろそれは「思い描いていた夢の住まい」への足掛かりになるかもしれません。なぜなら、都市部・駅近の土地には、現状はどうであれ高いポテンシャルが秘められているからです。そして、そのような土地を活かすキーワードのひとつが「多層階の店舗併用住宅」です。

 

第2回の記事『目を見張るデザインと最新技術…賃貸併用住宅の新しいかたち』で解説したとおり、事業用ローンを利用できる賃貸併用住宅は、住宅ローンと異なり、契約希望者の年齢や所得水準などが審査対象となりません。なにより、家賃収入を毎月の返済に充てられるため、建物に関する選択肢は格段に増えます。

 

錦糸町のモデルハウスの1階部分を、2回の吹き抜けから撮影。カフェの店舗をイメージしている。
錦糸町のモデルハウスの1階部分を、2階の吹き抜けから撮影。カフェの店舗をイメージしている。

 

立地に恵まれていれば、居住用賃貸物件のみならず、飲食店をはじめとする多様なテナントのニーズも見込めます。代々地元に根差して家業を営んできた方、都市部・駅近であること以外のメリットが見出せない不動産をお持ちの方にも「店舗併用住宅」のプランは魅力あるものになるでしょう。

 

 

パナソニック ホームズ株式会社 営業推進部 特建営業センター 所長の榎本克彦氏は説明します。

 

「都市部の商店街等は好立地である反面、道幅が狭く、建物が密集して建築上の制約が生じるケースが少なくありません。建築上の制約といえば、不整形地(正方形や長方形に整備されていない土地)同様、スペースをフルに生かした設計が難しいというのが通説です。しかし、パナソニック ホームズの建築技術は、そういった土地でも最大のパフォーマンスを引き出せます」

 

パナソニック ホームズのラインナップのひとつ「ビューノ」は、柱の数を最小限に抑えた自由自在な間取りと、広い空間を実現が可能であるほか、最大9階まで建築可能です。高さのある建造物が許可されている都市部・駅近なら、最大限のパフォーマンスが発揮できます。

 

錦糸町のモデルハウスの2階部分。ここはネイルスクールをイメージした店舗部分。広さも明るさも十分で、風通しもよい。
錦糸町のモデルハウスの2階部分。ここはネイルスクールをイメージ。広さも明るさも十分で、風通しもよい。

敷地を活かす建築も、建築後のテナント誘致もお任せ!

「当社の場合は縦・横15cm単位で設計でき、足場不要で工事を進められるので、敷地を最大限に活用した建築が可能です」

 

パナソニック ホームズ 東京支社 錦糸町営業所 所長の阿部亮介氏も説明を重ねます。

 

「それに、グループ企業であるパナソニック ホームズ不動産による、その土地周辺の環境やニーズなどを踏まえたテナント誘致の提案ができるため、客付けの心配はありません」

 

店舗部分へ誘致するテナントは、オーナーの意向を優先できます。飲食やコンビニエンスストアなどのチェーンはもちろん、カフェやフラワーショップ、ネイルサロンなど、オーナーが「あったらいいな」と思う店を入れられます。そんな夢広がるのも、店舗併用住宅の魅力です。

「クリニック+薬局」の誘致で、周辺住民の生活に貢献

一般的に、1階への入居は飲食店や物販店が見込める一方、2階以上の部屋(いわゆる空中店舗)のテナント獲得には、相応のノウハウが求められます。

 

「例えばクリニックであれば、2階以上のフロアにあっても、患者さんは抵抗なく足を運ぶでしょう。2階にクリニック、1階に調剤薬局といったテナント誘致も、もちろんご相談に乗ることが可能です」

 

榎本氏は、パナソニック ホームズ不動産とタッグを組むことで、客付けという懸念事項も払しょくできると説明します。

 

「同じビル内で通院と薬の受け取りができれば便利ですし、地域住民にも歓迎されるでしょう。厚生労働省が推進している〈地域包括ケア〉への貢献にもなります」

 

※ 近隣の医療機関や薬局、介護サービスなどが連携し、シニアが住み慣れた地域で末永く暮らせる環境を整備するという構想のこと。

「災害に強い建築物」を建てる社会的意義

耐震・耐火性能に一定の基準を満たす新築の場合、建設予定地が「不燃化特区」に該当すれば、建て替え費用の軽減措置が受けられる場合があるため、建設前に一度調べてみるといいでしょう。ちなみに、パナソニック ホームズのビューノも耐震・耐火性能の基準を満たしています。

 

 

不燃化特区とは、「木造住宅密集地域(木密地域)」における建て替えを促進することを目的に定められた制度で、東京都が定義する木密地域は、木造住宅が密集していることに加え、「土地利用現況調査」で算出した「不燃領域率」が 60%未満にとどまっているエリアです。

 

モデルハウスから見た錦糸町の街並み。
モデルハウスから見た錦糸町の街並み。

 

不燃領域率は市街地の燃えにくさを表す指標で、これが70%を超えると延焼による焼失率はほぼゼロとなりますが、60%未満の場合、首都直下地震などに見舞われると、建物の倒壊とともに延焼による膨大な被害の発生が懸念されます。

 

そこで東京都は「不燃化特区」という制度を定め、各区と連携して木密地域の不燃化(地震や火災に強い住宅への建て替え)を推進しているのです。

 

区によって具体的な内容は異なっていますが、古い家屋の解体費用や新たな家屋の建設費用に対して所定の助成金が支給されます。たとえば品川区の場合は、延床面積100平方メートルの木造住宅を同じ面積の準耐火建物に建て替えるケースで512万円の助成を行っています。

 

賃貸併用や店舗併用という住宅のスタイルは、収益面でのメリットでオーナーの生活を潤すのみならず、愛着ある地元への社会貢献の側面も持っているのです。まさにいまの時代に適合した建築物であるといえるでしょう。

 

 

パナソニック ホームズ株式会社
営業推進部 特建営業センター 所長
榎本 克彦

 

パナソニック ホームズ株式会社
東京東支社 錦糸町営業所 所長
阿部 亮介

 

TOPへ