2019年6月3日に公表された金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書が発端となり、世間を賑わせた「老後2000万円問題」。資産形成への関心が高まるきっかけになりましたが、なかには「自分は退職金があるから大丈夫」と胡坐をかいている人も。本当に老後資金として退職金をあてにしていいのでしょうか。トランクルーム事業を手掛ける株式会社UKCorporation代表取締役である浦川浩貴氏の書籍『自己資金100万円台ではじめる不動産投資 なぜトランクルーム投資が注目されているのか?』より一部を抜粋し、解説します。
老後資金2000万円問題「退職金」をアテにしてはいけない理由
・1997年:2871万円
・2003年:2499万円
・2008年:2323万円
・2013年:1941万円
・2018年:1788万円

 

20年で約1000万円も減少しています。仮に皆さんの年齢が45歳だとしたら20年後はどうなるのでしょうか。少なくとも今後減少していくことは明らかでしょう。

 

そして2つ目。それは「年金支給額は減る見込みである」ということです。年金制度の原資は、若い世代が納める保険料です。しかしながら現在は少子高齢化が進んでおり、現行の年金支給額を維持すれば、若い世代の負担はどんどん増えてしまいます。近い将来、行き詰まってしまうでしょう。そのため、今後の年金支給額は減っていくはずです。

 

そのことは国も認めており、すでに2004年の時点で従来の物価に連動して年金支給額も上がっていくという仕組みから、あまり上がらないものに変更されました。

 

また、厚生労働省は2014年に「30年後の年金給付額は、今より2割ほど低くしなければならない」と発表しています。

 

最後に3つ目は、「今後も平均寿命は延びていくはず」ということです。世界に先駆けた超高齢社会(65歳以上の人口が総人口の21%以上)の日本では、平均寿命が年々図表2
のように延びています。戦後の平均寿命は、男女どちらも約50歳でした。

 

[図表2]平均寿命の年次推移

 

それが現在は男性約81歳、女性約87歳まで延びています。しかも栄養状態が今と変わらないと思われる平成に入ってからも男女ともに5歳以上長生きできるようになりました。