副業の推進、公的年金への不安などにより、不動産投資を行う会社員、いわゆる「サラリーマン大家」が増加しています。しかし知識が不十分のまま不動産投資に乗り出してしまい、きちんとメリットを享受できている人は少ないのが現状です。今回は不動産投資の節税でポイントとなる「減価償却」について、サラリーマンの節税相談で定評のあるトランス税理士法人の中山慎吾税理士が解説します。
サラリーマン大家…「ずさんな確定申告」で節税額が大幅に減少 ※画像はイメージです/PIXTA

不動産投資で節税…ポイントとなる「減価償却」とは?

低金利やいわゆる「老後2000万円問題」、そしてコロナ不況によって、サラリーマンの間で資産形成に対する興味・関心が高まりました、その手法は様々です。なかでも不動産投資には様々なメリットがあり、その中の1つが節税に関するものです。

 

本来、投資で収益が出れば税金を支払うのは当然ですが、不動産投資において「減価償却」を上手く活用すると、キャッシュアウトを伴うことなく費用を計上でき、結果として節税につながるという事例が多くなっているのです。

 

「減価償却」とは、減価償却資産(不動産投資の場合は建物や付属設備、構築物、器具備品など)をその耐用年数に応じて、各年度に減価償却費として費用配分するものです。

 

不動産投資におけるほとんどの経費は、通常金銭支出を伴うものですが、減価償却費は資産を購入した時に支出した金額を耐用年数に応じて各年分に費用配分されるもので、金銭支出を伴わない費用として代表的なものです。金銭支出を伴うことなく費用計上ができるので結果として不動産所得を小さくすることが可能となります。

 

「減価償却費」を多く計上して目先の節税を図るポイントは、なるべく建物明細書等を参考にして、建築費を建物本体部分(躯体)と、それ以外の付属設備、構築物、その建物に付随する備品などに細分化して計上することです。

 

なぜ細分化することが重要かといえば、建物以外の資産は耐用年数が短く設定されているので、建築費をすべて建物本体に含めて計算するよりも、減価償却費を多く計上することができるからです。たとえば建物はRC造だと耐用年数が47年なので建物価格を47年かけて費用計上していきますが、電気設備や給排水設備の耐用年数は15年なので設備部分は15年間で費用計上します。

 

ちなみに建物付属設備を建物本体と区分せずに建物の耐用年数を適用できるのは、木造、合成樹脂造又は木骨モルタル造の建物に限定されており、マンションなどに多いRC造は、建物と建物付属設備に区分計上しなければならないとされており、ミスが目立つ項目となっています。

 

不動産投資における主な減価償却資産の耐用年数は以下の通りです。

 

【図表1主な減価償却資産の耐用年数