木造建築マスター・三井ホームが示す数々の実例
三井ホームは現在、マンションの既成概念を覆す高性能を兼ね備えた『稲城プロジェクト』を進行中。その竣工は2021年の11月と、数ヵ月後に迫っている。国内では三井不動産と竹中工務店が超高層ビルの建築計画を発表するなど、木造建築ブームが到来しつつあるようだ。
高品質な木造一戸建てに定評のある三井ホームは、すでに公共施設においても、多くの木造建築を建築済みである。まずはその実績を、依田氏にご紹介いただこう。
■約3,000坪で国内最大級の木造福祉施設
こちらは、2016年に竣工された都内の特別養護老人ホームで、延べ面積で約3,000坪、全160室と、国内最大級の木造福祉施設となっております。国内で高強度耐力壁を採用した初めての例となりました。木造建築の床は、鉄筋コンクリート造の建物に比べて柔らかく『足腰への負担が少ない』と、スタッフや入居者様から高く評価していただいております。
■ウッドデザイン賞を受賞した社屋
こちらは弊社熊本支店の社屋なのですが、『木の良さや価値を再発見させる製品や取組み』について、消費者目線で評価したうえで授与される『ウッドデザイン賞』を受賞いたしました。カーテンウォールの吹き抜け大空間が特徴的な、ツーバイフォー工法による大規模3階建て木造ビルとなっています。審査員の方々からは『1時間準耐火構造を実現した、木造建築オフィスの良質なモデル提案』として、評価していただきました。
■木材を「あらわし」で使用した幼稚園
店舗や保育所など、生活に身近な建物においても、木造建築の実例は増加しています。こちらは幼稚園ですが、三井ホームが手掛ける一戸建ての住宅屋根構造に採用されてきた『トラス構造』の建物となっています。トラス構造は三井ホームのオリジナルで、耐震性が高いほか、トラスの間に電気配線、空調ダクトなどを通すことも可能となっています。またこちらは『あらわしのトラス構造』となっており、木材の温かみを存分に味わえる空間デザインが好評です。
アメリカやカナダでも木造建築を実践!
「三井ホームは、アメリカやカナダで6~7階建てという中高層の集合住宅も施工しております。アメリカ西部では『集合住宅の4分の3が木造』というデータがあるほか、カナダ・ブリティッシュコロンビア州では『木造コンドミニアムの85%が5階建て以上』と、可能性が大きく広がっています。こうした世界の流れを踏まえたうえで、高品質な木造集合住宅を日本国内で建設していくことが、弊社の新たなミッションです」
進化した木造壁工法「プレミアム・モノコック構法」を確立し、木造一戸建てのリーディング・カンパニーとして評価を高めてきた三井ホーム。そのノウハウを活用し、施設建築面でも多くの実績を残していることが、おわかりいただけたのではないだろうか。そして同社はネクストステージとして、いよいよ木造集合住宅の建築へ本格的に着手したのである。
満を持して着手した、木造集合住宅プロジェクトの全容
SDGs貢献度が高い木造建築に期待が集まる中、三井ホームは木造マンションを日本に普及させるべく、先陣を切って事業を開始した。2020年11月、東京都の稲城市において、木造マンション建築に着手したのである。
三井ホーム【稲城プロジェクト】の全容
【性能】劣化対策等級3(適切な維持管理により75年~90年の耐久性を確保)、省エネルギー等級4(気密性・断熱性を高め、冷暖房等のランニングコストを低減)、一次エネルギー消費量等級5、いずれも最高ランク、認定取得予定。ZEH-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)認定取得予定。
【技術】木造枠組壁工法における国内最高レベル(壁倍率30)の高強度耐力壁を開発導入。これにより壁厚を従来の約半分に減らし、室内の有効面積を拡大。プランの自由度を高めることが可能に。低層共同住宅のために開発した高性能遮音床システムMute(ミュート)も採用。
国内最高レベルの高強度耐力壁
【コスト】構造躯体のパネル化により工期を短縮。木造による建物の軽量化で、建物基礎や地盤改良等のコストを低減。
【環境】国産材の活用を通じ、国内の森林資源循環への貢献に寄与。
詳細は以下のページを参照ください。
「木でつくるマンションプロジェクト」
※外部サイトに遷移します
「『稲城プロジェクト』は、5階建てで延べ床面積が約1,100坪、全51世帯という大規模な集合住宅物件となっています。これまで木造マンションの普及を阻んでいた課題を解決する多くの取り組みが実装されていますので、社会や業界に大きなインパクトを与えるでしょう。また賃貸経営を検討されている法人・個人オーナーの方々にも、ぜひご注目いただきたいと思っています」
賃貸物件を運用するオーナー諸氏が物件を選ぶ際にも、SDGsや脱炭素を意識する時代が訪れている。RC造と比べても遜色ない木造物件が普及すれば、居住者たちの志向も明確に変化していくことは、間違いなさそうである。とは言え賃貸経営において「現時点で、収益性とSDGs貢献の両立は実現するのか」という問題は、大いに気になるところだ。
「まず軽量な木材で実現する工期短縮、コストや減価償却期間の低減効果は、オーナー様に評価いただけると確信しています。また『稲城プロジェクト』は『劣化対策等級3』を取得予定ですから、次世代に引き継げる、価値ある投資が実現するでしょう。もちろん、不動産を活用する際には、地域や土地の賃貸市場を分析し『家賃をいくらぐらいに設定できるか』という調査が必要となってきます。SDGsの観点だけでなく、きちんと成立可能な収益物件へと仕上げていくため、今後も立地については吟味を重ねていきます」
『稲城プロジェクト』は、数ヵ月先の2021年11月に竣工を控えている。7月にはいよいよ現場見学も開始予定。一戸建てだけでなく、介護や文教施設の木造建築に多くの実績を積んできた三井ホームが、ネクストステージとして手掛ける木造集合住宅の全容を、ぜひその目で確かめていただきたい。
[NEWS RELEASE]
枠組壁工法による日本最大級の木造マンション 「(仮称)稲城プロジェクト」上棟 ZEH-M(Oriented)認定取得〈予定〉