鑑定会社の大手2社はPCGSとNGC
鑑定会社については、これから投資をするうえでは、鑑定会社の仕組みをよく理解しておく必要があります。
鑑定会社、オークション会社、造幣局の三者が三つどもえになって、コインの価格形成をしていることは、連載第6回ですでに紹介しましたが、オークション会社は、出品する人がいなければビジネスになりませんので、オーナーが出品しやすい状況をつくるために、少しでも価格を上げようと工夫しています。
鑑定会社は、新しく出たものを次々と鑑定したり、過去に発行されたものでも鑑定されていないものを鑑定し、投資家が安心して購入できる環境をつくるとともに、より精密な鑑定を行い、少しでも価格を高くできないかを判定します。
すでに鑑定が行われたものでも、それが10年前、20年前であれば、グレードを上げることができないか再鑑定をすることもあります。鑑定会社も徐々に鑑定方法を進化させ、かつ細分化していますので、再鑑定でグレードアップする可能性もあるのです。
ただ、再鑑定で必ずしもグレードアップするとは限りません。稀にではありますが、グレードが下がってしまうこともあります。それでは依頼人にとって再鑑定の意味がありませんから、鑑定をしなおすときは、グレードがアップしなければ据え置くことを条件に依頼することも可能です。
また、大手2社の鑑定会社であるPCGSとNGCでは、PCGSのほうが鑑定基準は厳しいので、PCGSの鑑定を受けていたものをNGCで再鑑定してもらい、グレードをアップするということも行われています。
ただ、PCGSの鑑定を受けているほうが価格は高い傾向にあるので、どちらが有利かはそのコインによって個別に判断することになります。
NGCの会員になると、マーケットリポートが毎週送られてきます。そこには、コインの価格動向が掲載されています。代表的なコインの価格がどう変化したのかがわかるようになっているわけです。
たとえば、アメリカの代表的なコインであるリバティ、あるいはインディアンヘッドと呼ばれる5ドル、10ドル金貨、モルガン銀貨などの価格が掲載されています。
コインの価格は「発行年度」と「グレード」で決まる
鑑定結果を左右するのは、主に発行枚数と残存枚数です。当然、枚数が少なくなるほど希少価値が出ますから、それが評価に加味されます。
仮に5年間、オークションに出ていなければ、取引が行われないので、売買結果としての価格は上昇しませんが、オークションに出なくても、資産価値は少しずつ上がっていきます。
そして、コインの価値は発行年度とグレードの二つの観点から見られているので、誰かが飛びぬけた価格をつけると、他のコインの価格もそれに追随します。
たとえば、同じコインで1850年鋳造のものはオークションに出品されたけれど、1857年鋳造のものは出ていないという場合、二つが同程度の枚数だとすれば、1850年ものに1.5倍の価格がつけば、1857年ものの価格も1.5倍に判定されます。