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コロナ禍でも「単身者向け物件」の需要は揺らがない
2020年の1月から世界的な大流行の兆しが見え始めた、新型コロナウイルス。楽観的な予測はことごとく裏切られ、ここ日本でも2020年4月には第1回目の緊急事態宣言が発令されました。都心を中心にテレワークを導入する企業が増加し、大学などの教育機関もオンライン授業を積極的に展開。それでもなお感染者数は拡大を続け、2021年の年明けには第2回目の緊急事態宣言が発令されるなど、出口の見えない状況が続いています。
エンワールド・ジャパン株式会社が2020年12月に発表した、国内約270社対象の調査によると、コロナ禍を受け全体の約1割にあたる企業が、給与や賞与カットを実行。また帝国データバンクが発表したデータによると、2021年3月上旬までに報告された新型コロナウイルス関連の倒産は、1,113件に達しました。こうした状況下において、国内の不動産投資市場の状況はどのようになっているのでしょうか。株式会社リヴトラスト代表取締役社長の杉本一也氏は「コロナ禍の影響はほとんどない」といいます。
「弊社に限れば、新型コロナウイルスのせいで事業が悪化した、という実感は特に抱いていません。私共は主に都心で生活を営む、単身者向けのワンルームマンションを扱っているので、余計にそう感じるのかもしれません。オフィスビルに関しては『サテライト化が目立ち始めた』などの噂も聞きますが、居住物件のニーズは大きく変わっていません」
利便性の高い都心で生活を営む単身者が、コロナ禍を機に生活を大きく変化させる可能性は極めて低いと、杉本氏は見ています。
「仮に『コロナ禍の影響で、いままで住んでいた物件を出た』という人がいたとしましょう。その人はどうするのか。別の物件を探さなければ、生活を営めません。また『テレワークが導入され、以前より通勤時間を気にしなくても済むようになった』という人が、それだけの理由で便利な都心を離れ、地方都市に引越す人がどれほどいるでしょうか。
このように非常時でさえ需要が揺らがず、家賃も下げなくて済む単身者向け物件は、投資対象として堅実です。ファミリー物件となると、コロナ回避を目的とした移動が発生する可能性は、なきにしもあらずですが」
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東京五輪延期は不動産投資に悪影響を与えたのか?
コロナ禍は2020年に予定していた東京五輪に、前代未聞の『延期』という悪影響を及ぼしました。いまのところ2021年の開催に向け調整は進められていますが、もたらされるはずだった経済効果の縮小は避けられません。五輪開催が決定した後、東京の地価は右肩上がりの上昇を続けてきましたが、行く手に暗雲が立ち込め続けている現在、不動産業界にも悪影響が及んでいることが予想されます。
「五輪特需も、あるにはあったと思います。とはいえ、五輪開催の予定がなかったとしても、東京の市場価値は高かったでしょう。近年は不動産業界において『中国の資産家が、東京の物件を購入する』という動きが目立っていました。その理由が、オリンピックだけにあったわけではありません。
東京は世界的に見ても有数の大都市ですが、ニューヨークやロンドン、そして香港などに比べれば、まだまだ不動産価格は割安なのです。東京の不動産が外国人投資家を惹き付け、地価が高止まりを続けているのも、そうした理由からだと思います。東京の魅力は、五輪の開催・中止に関わらず、今後も拡大を続けていくでしょう」
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リアルな将来不安が「投資欲」を高めている
新型コロナウイルスも東京五輪の延期も、新築ワンルームマンション投資に関してはほとんど影響がないという杉本氏。一方で「いまはとても、投資どころじゃない」と考える投資家が増加したとしても、不思議ではない状況です。
「コロナ禍で弊社もZoomなどを介したコミュニケーションが増えていますが、投資家からの反響は、以前よりも確かなものを感じています。より気軽にアクセスしやすくなったことも起因しているのでしょう」
杉本氏は「コロナ禍が人々の危機感を呼び覚まし、投資の必要性を実感させたのではないか」とも分析しています。
「弊社物件のオーナー様と話をするなかで、実際に給料カットに遭ったという声も聞いています。将来への不安がより現実的なかたちで目の前に突きつけられた結果、『何かしなければいけない』という投資欲がコロナ以前より高まってきたのでしょう。特に会社員の方からの反響が増えていると実感しています」
数年前まではまったく予想もできなかったコロナ禍に直面しても、なお揺るぎない東京の不動産は、投資家にとって非常に頼もしい存在となってくれそうです。最終回となる次回は、杉本氏が代表を務める株式会社リヴトラストの特徴について話を伺っていきます。