先祖代々の土地だから、低リスクの活用を目指したい
齋藤英二朗さん(50代男性)は現在、渋谷区という都心の好立地に『ヘーベルVillage千駄ヶ谷』を建設中である。土地にどのような所縁を持つのか、そしてなぜ土地活用を考えるに至ったのかを伺った。
「いま『ヘーベルVillage千駄ヶ谷』を建設しているのは、以前に祖父の自宅が建てられていた土地。千駄ヶ谷は私の先祖が、江戸幕府御用達の青果店を営んでいたエリアです。祖父は戦後、旅館業や不動産業を営み、自治体の議員まで勤めた名士。他界後は家を取り壊し、コインパーキングを運営していたのですが『何かを建てるべきなのではないか』という考えは常にあり、父と話し合っていました」(齋藤氏)
齋藤氏は飲食店や家具店を経営し、現在、祖父から父へと受け継がれてきた不動産業を任され、現在に至っている。
「仕事でビルの賃貸業に関わっていると、日本経済に元気がなくなっているのを感じます。そんななか『今の時代に土地活用としてマンションを建てるなら、高齢者向けに特化すべきなのではないか』という考えが、固まっていきました。私にとっては、一族に所縁のある大切な土地ですから、失敗して手放すような事態を招くことだけはできません。いかに低リスクで運用していくかを考えた時『高齢者専用』というキーワードは、他物件との差別化を図る、確かな武器になると感じました」(齋藤氏)
また齋藤氏は土地活用のアイデアを固めていくなかで、両親の介護にも直面した。
「両親はいくつかの介護施設のお世話になりました。その過程で、高齢者向けの賃貸住宅やサ高住は郊外にしかなく、忙しい仕事を持つ子供たちが訪ねるには不便だと実感しました。そこで都心である渋谷区に高齢者向けの賃貸住宅を建てることは、地域貢献にもつながるという感触を得たのです」(齋藤氏)
手厚い「一括借り上げシステム」は魅力的だった
「『へーベルVillage千駄ヶ谷』を建設しているのは、約6
旭化成ホームズ株式会社営業推進室長・依田悦夫氏は笑顔でそう語る。同社がアクティブシニア層に特化した賃貸住宅『ヘーベルVillage』をスタートさせたのは2004年のこと。業界の先駆けながら、近年は競合も登場しているという。齋藤氏が土地活用のパートナーに旭化成ホームズを選んだ理由はどこにあるのだろうか。
「高齢者向け施設というビジョンは初めからありましたが、他社情報と比較するなかで、やはり『ヘーベルVillage』の30年間家賃保証で10年間家賃額据え置きの一括借り上げシステムが魅力的でした」(齋藤氏)
齋藤氏は「言い方は悪いが、土地活用は趣味や道楽ではない」と続ける。
「地域貢献も視野に入れていましたが、まずはビジネスとして成立しなければいけません。これからの日本で安定した賃貸経営を叶えるには、人口が増える高
決断は早かった。知人を介し依田氏との会合に臨んだのが、2019年の2月末。「市場調査・プランニング・経営企画書と3回の打
「オーナー独自のこだわり」を詰め込んだ
『ヘーベルVillage千駄ヶ谷』の建設は、2020年2月に着工。新型コロナウイルスの影響で工期が約1ヵ月延びたが、8月には完成引き渡しとなる予定だ。基本的な建物づくりを旭化成ホームズに任せた齋藤氏だが、一部のスペースにはこだわりを反映させている。
「1階に共用の談話室があるのですが、その内装は“大正ロマン”がキーワード。ステンドガラスや照明など、細部にまでこだわっています。これは他の『ヘーベルVillage』にないオリジナリティです」(齋藤氏)
依田氏も齋藤氏の熱意に応え、通常よりも凝った体裁のパンフレット作りを提案。誌面には近隣商店街のショップや飲食店の情報を掲載するという。
「『ヘーベルヴィレッジ千駄ヶ谷』の賃料は 1LDKで20万円代、2LDKで27万円代。生活を楽しむため
齋藤氏がいう通り、これまでの高齢者向け施設は、都心から離れた郊外に建設されることが多かった。そのため渋谷区に建設される『ヘーベルVillage千駄ヶ谷』には大きな期待が寄せられている。最後に齋藤氏に、土地活用を検討している人へのアドバイスを伺った。
「オーナーさんにより土地活用の目的はさまざまだと思うので、一概にいうことはできませんが、現在の日本において、ハイリスク・ハイリターンを目指す手法は、すでに終わりを迎えていると思います。少子高齢化社会の中で確実に増加していくシニア層に着目するのは、あくまで自然な成り行き。彼らをメインターゲットに据えてこそ、安定した賃貸住宅経営が実現すると、私は考えています」(齋藤氏)