富裕層に人気のポルトガル「ゴールデンビザ」…投資条件変更へ

2月5日(水)、ポルトガル議会はリスボンとポルト、および沿岸地域の不動産投資による「ゴールデンビザ」の発給を制限するという社会党(PS)の提案を承認しました。これは、ただちに現行のゴールデンビザプログラムを変更するというわけではなく、議会が政府にゴールデンビザの規則の変更を立法化する許可を与えたことを意味しています。本記事ではポルトガルゴールデンビザの投資条件変更の話題を深掘りしていきます。※本連載では、海外移住支援のプロフェッショナルである株式会社アエルワールドが、移住や永住権にまつわる最新情報を解説していきます。

ポルトガル「ゴールデンビザ」でヨーロッパ移住

ゴールデンビザは、投資や不動産購入により個人に対して発行される長期居住ビザです。ポルトガルの場合、50万ユーロ以上の不動産に投資することが原則ですが、都市再開発地域にある築30年超の指定中古物件に投資する場合、35万ユーロ以上からでもゴールデンビザの取得が可能です。

 

しかも、自分が住むための物件だけでなく、賃貸目的で購入する物件でも構いません。中古のリノベーション物件も対象に含まれますし、住宅、オフィス、商業施設など、物件の種類は問われません。またゴールデンビザを取得すると、一定の条件を満たすことで、5年後に永住権の申請ができます。シェンゲン協定によってEU諸国への自由な行き来が可能になることから、非常に人気のあるビザプログラムです(関連記事:物価が低く、住みやすいポルトガル…「ゴールデンビザ」の魅力)。

 

 

ゴールデンビザプログラムの大きな変更が見込まれる点は、以下の通りです。

 

(1)リスボン、ポルト、および沿岸地域の不動産投資によるゴールデンビザの取得はできなくなると見込まれています。しかし内陸部、およびアゾレスとマデイラの自治区での不動産投資は今回の措置の対象外です。

 

(2)築30年超のリフォーム済みの中古物件を対象とする35万ユーロ以上の不動産投資のオプションが、引き続き利用可能かどうかについては、まだ明確になっていません。

 

(3)不動産以外の投資オプションについても、最低投資額が引き上げられる可能性が噂されています。

「ゴールデンビザ」が不動産高騰の原因にさせられた!?

今回の議会承認の背景には、近年のリスボンとポルトを中心とするポルトガル不動産市場の高騰と、それに対する現地住民の不満の高まりがあると言われています。

 

EUROSTAT(EU統計局)によれば、2019年第3四半期のポルトガルの不動産価格は前年同期比+10.3%となり、欧州ではルクセンブルグに次いで第2位の上昇率を記録しました。特に、リスボンとポルトには海外からの不動産投資が集中しています。リスボンやポルトなどの主要都市では近年不動産価格が上昇し、多くのポルトガル人家族が中心部ではなく周辺地域の住宅を探すことを強いられています。

 

しかし、ゴールデンビザプログラムの変更が、その有効な対処策であるかというと疑問が残ります。2018年の統計によると、同年中にポルトガルで売買された不動産の数は242,091件、一方、ゴールデンビザ申請者による不動産購入件数は1,310件(同年のゴールデンビザ発給総数の93%と推定)となり、ポルトガルの不動産市場全体の0.54%を占めるに過ぎません。

 

リスボンとポルトの不動産市場の成長には他にも多くの理由があります。観光客の増加、旅行者向けの短期レンタル市場の伸長、外国人の国外所得をほとんど非課税にするNHR税制、成長するスタートアップ(起業)プログラム、ライフスタイルの選択などが、それらに含まれます。また、金融機関の低金利による融資も活発で、不動産投資を後押ししています。

 

さらにゴールデンビザプログラムを利用できるのは、原則的にEU以外の国々の投資家ですが、ポルトガルの主な外国人不動産投資の内訳は、21%がフランス人、18%が英国人、同じく18%がブラジル人、9%がドイツ人、7%が中国人となっています。 リスボンとポルトの不動産投資家の大半はEU市民なのです。

ゴールデンビザの規則変更は「2021年」か?

議会は、政府にゴールデンビザの変更を立法化する権限を与えましたが、最終的な立法が直ちに行われる訳ではありません。法律案が法律になるためには、次の要件を満たす必要があります。

 

(1)議会で議論、

(2)議会で投票

(3)大統領の承認

(4)法律の公開

 

法律が公開された後には、公務員がそれに従って業務に対処するために必要なすべての規制が決定され、周知されなければなりません。現時点で、それらのプロセスが完了する正確な日付を予測することはできませんが、政府当局者からの最新の声明では、ゴールデンビザプログラムの規則の変更は、2021年までは有効にならないだろうとのことです。 言い換えれば、まだリスボンやポルトの不動産を購入して、ゴールデンビザを取得する道が残されていると言えるでしょう。

 

不動産投資によるゴールデンビザ取得は、ビザ申請に先立って不動産を購入し、不動産登記を完了する必要があります。築30年超の中古物件のリフォームを前提とする35万ユーロ物件は、50万ユーロ以上の完成物件と比べて、登記までにかかる日数が長くなることが見込まれます。その点を考慮すると、時間的なリスクは50万ユーロ以上の不動産のほうが少ないといえるでしょう。

 

 

株式会社アエルワールド シニア・インベストメント・アドバイザー

英国に25年間居住した経験をベースに、ご希望に沿った国選びに始まり、各国の投資ビザの情報提供から取得までをサポート。主に、ヨーロッパ地域の各種ゴールデンビザと米国投資永住権(EB-5)を担当。日系証券会社で証券アナリストとして企業調査を担当した後、ロンドンに赴任。その後、英国系大手投資銀行に転じ、欧米株式、債券、ファンド業務と市場データ関連業務に携わる。ロンドンに通算25年間滞在し、海外不動産投資についての知識も深い。

著者紹介

株式会社アエルワールド 代表取締役

大学卒業後、国際証券株式会社(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社し、個人・事業法人・財団法人等の資産運用のコンサルティング業務を担当。約4年間の資産運用コンサルティング業務を経て、留学・旅行業界に転職し、ビザ申請や海外生活設計のアドバイザー業務に携わる。2004年6月に家族・親子・退職者・会社経営者・投資家等のロングステイ、海外赴任者のサポート企業として株式会社アエルワールドを設立し、代表取締役に就任。現在までに1万人以上の海外移住や長期滞在に関する相談を担当。また投資家・資産家向けの海外生活コンサルティングにも精通し、グローバルに金融資産と居住生活をどうアロケーションするのか等、幅広い分野でお客様をサポート。

著者紹介

連載海外移住コンサルタントが教える「移住・ビザ」最新事情

  • 【第1回】 富裕層に人気のポルトガル「ゴールデンビザ」…投資条件変更へ

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