義務教育は無料、優れた医療制度も整うポルトガル
前回はアメリカ永住ビザ「EB-5」の魅力について解説した(第2回)。今回は、「投資家ビザ」で長期滞在や永住ができる国の一例として、ポルトガルをとり上げてみよう。
日本の富裕層にはあまり知られていないかもしれないが、じつはポルトガルは、海外の富裕層の間で非常に人気の高い移住先である。欧州各国や日本と比較して物価が低く、南欧特有の温暖な気候はとても暮らしやすい。そのうえ治安もよく、世界の「最も平和で安全な国ランキング」(Global Peace Index 2018)では4位にランキングされている。
「学校教育も充実しており、義務教育(公立校)は無料。外国人が多く通うインターナショナルスクールは、英国や米国などに比べて割安です。そのうえ、WHO(世界保健機関)のヘルスケア・ランキングで世界12位にランクされるなど、医療制度も優れています」と語るのは、アエルワールドのシニア・インベストメント・アドバイザーの岡崎英介氏である。
公用語はポルトガル語だが、歴史的に英国とのかかわりが深く、街中で普通に英語が通じるのもありがたい。また、日本に初めて鉄砲やキリスト教を伝え、カルタやカッパ(合羽)、カステラなど、ポルトガル語由来とされる外来語も多い。日本にとって意外に縁の浅からぬ国、それがポルトガルなのだ。
「住んでみると、温暖な気候や、人々の明るさとやさしさに魅了され、すっかりポルトガルの虜になってしまう人が多いようです。日本の富裕層の方々にも非常に人気の高い移住先のひとつですね」と岡崎氏は語る。
賃貸用不動産を取得すれば、生活資金も得られる
ポルトガルを含む南欧の国々の中には、現地の不動産を取得し、保有する外国人に長期滞在を認める「ゴールデンビザ」(通称)を発給しているところがある。なかでもポルトガルのゴールデンビザは、隣国スペインなどが発給するものと比べて永住権や市民権の取得が比較的容易なことが大きな魅力だ。
「50万ユーロ(約6,000万円)以上の不動産に投資することが原則ですが、国が指定する再開発地域の物件に投資する場合、35万ユーロ(約4,200万円)以上からでも『ゴールデンビザ』の取得が可能です。しかも、自分が住むための物件だけでなく、賃貸目的で購入する物件でも構いません。中古のリノベーション物件も対象に含まれますし、住宅、オフィス、商業施設など、物件の種類も問いません」(岡崎氏)
セカンドハウスや別荘を取得するほか、投資用物件を購入してキャピタルゲイン(譲渡益)やインカムゲイン(家賃収入)を得ることもできるわけだ。
ちなみに、ポルトガルはギリシャ債務問題で国内経済が打撃を受けたことから、経済振興策の一環として2012年に「ゴールデンビザ」の制度を開始したのだが、その後、住宅価格や家賃相場は右肩上がりで上昇しているという。
「それでも、ポルトガルの住宅価格はスペインに比べて安く、同じ金額ならより広い物件が取得できます。その分、家賃収入も高くなるケースが多いようです」と岡崎氏は語る。
ポルトガルの「ゴールデンビザ」を取得すると、1年間の長期滞在権が与えられる。その間、住み続けなければならないわけではなく、1年間に7日以上滞在すれば更新可能だ。
「1年目を終えると、2年間で14日以上滞在すれば2年ごとの更新が可能となります。さらに、ゴールデンビザを取得後5年を超えると永住権、または市民権を申請できます」(岡崎氏)
他の国の「投資家ビザ」を取得する場合、投資資金の出所や学歴、就業歴、年齢に関する要件などをクリアしなければならないケースもあるが、ポルトガルの「ゴールデンビザ」はそうした要件調査がほとんどなく、取得しやすい。
また、本人だけでなく、配偶者や扶養家族(子女、父母)も含め一家3代での移住が可能であることも大きな魅力である。
「ゴールデンビザを取得すれば、お子さんを現地の公立校に通わせ、公立病院の医療サービスを受けられるようになります。家族みんなで安心・安全に暮らしたいという方にはぴったりの移住先かもしれません」(岡崎氏)。
アエルワールドは、ポルトガル、米国だけでなく、日本の富裕層に人気の高いさまざまな国の「投資家ビザ」取得について優れた経験と実績を持っている。安心で満ち足りた海外生活を求める人は、ぜひ、一度相談してみてはどうだろうか。