「株式」は出資してくれた投資家への証明書
まずは、「株式」とは何かということからおさらいしていきましょう。
会社が事業をするためには、元手となるお金が必要です。会社が投資家から広くお金を集めようとする時、出資してくれた投資家に証明書を渡します。それが、株式です。会社は出資してもらったお金で成り立っているため、投資家は会社のオーナーということになります。
株式を保有している投資家は「株主」と呼ばれ、経営に参加する権利や会社の利益を受け取る権利、会社が解散した時に残った財産を分けてもらえる権利が与えられます。株式は他の商品と同じように、売ったり買ったりすることができます。しかし、どこかのお店に行けば買えるわけではなく、「証券取引所」で売買されています。
私たちは証券会社に口座を開くことで株式を購入することができ、そこでの価格を株価と呼びます。市場に流通している株数には限りがあるため、欲しい人が多ければ株価は上がり、欲しい人が少なければ株価は下がるという需要と供給の関係が成り立ちます。
よく耳にする「日経平均株価」とは、東証一部上場している企業のうち代表的な225銘柄の株価を平均したものです。日本を代表する企業の株価動向ですから、日本の株式市場の状況を測る指標と言えます。
一般的に「金利が下がる」と「株価が上昇」しやすい
では、どのような要因で株式の人気は変化するのでしょうか。
・業績
株価の一番の大きな変動要因は、企業の業績だといわれています。業績が良ければ、企業は利益を配当として株主に還元することができます。また、資金に余裕があるので、設備投資や新商品開発などを積極的に行うことができ、さらなる好業績が見込めます。業績が良ければ値上がり益や配当などで大きなリターンを得られるだろうと人気が高まるため、株価は上昇します。
逆に、業績が悪ければ、配当は減ったり、支払われなくなったりします。また、設備投資や商品開発などにお金をかけられなくなるため、企業価値は下がってしまうかもしれません。投資家たちは多くのリターンが見込めないだろうと考えるため、人気がなくなり株価は下落します。
・金利
金利が下がると、企業が銀行などから借りているお金の金利負担が減ります。返済するお金が少なくなり、その分資金に余裕ができるので、業績は好転しやすくなります。また、金利が下がれば銀行にお金を預けているメリットがなくなるため、株式市場に資金が流れやすくなります。そのため、一般的には金利が下がると、株価が上昇しやすいといわれています。
・為替
自動車や機械メーカーなど、製品を海外に輸出している企業にとっては、円安がメリットになります。仮に、アメリカで1万ドルの製品を販売していたとすると、1ドル=100円の時には日本円で100万円の売り上げですが、1ドル=110円の円安に振れると、110万円の売り上げになります。このように、輸出が多い会社は円安時には円での販売額が増えるため、株価は上昇する傾向があります。
その反対に、電力やガス、原油などの原材料や製品を輸入している会社にとっては円高がメリットになります。仮に、原材料を輸入して1万ドルを支払っていたとすると、1ドル=110円の時には日本円で110万円の支払いですが、1ドル=100円の円高に振れた時には、100万円の支払いで済みます。つまり、円高時にはコストが削減でき、業績アップへの期待から株価が上昇する傾向があります。
・景気
景気は、株式市場に大きな影響を及ぼします。好景気だと会社の業績はよくなり、株価の上昇に繋がります。 その結果、会社の事業がさらに活性化するという好循環が続きます。逆に、不景気になると、会社の活動は鈍化し業績の悪化や株価の下落を招きます。
なお、景気や経済の動きを知るための指標に、「日銀短観(全国企業短期経済観測調査)」、「景気動向指数」、「GDP(国内総生産)」などがあります。これらの指標が発表され、予測よりもプラスの数値であれば株価が上昇するなど、株式市場に影響を与えます。
・海外市場
海外の株式市場における株価の上昇や下落が、日本の株式市場に波及することは少なくありません。特に、アメリカのニューヨーク市場は日本のみならず、世界経済に大きな影響を与えます。
このように、株価はさまざまな要因で変動します。
ここで挙げた以外にも、政治情勢や企業の不祥事、うわさなど、投資家の心理を動かす要因が複雑に絡み合って株価は上下します。
もし、次にニュースで株価が上がった、もしくは下がったというニュースを耳にすることがあれば、ぜひその要因はなんなのか考えてみてください。
いずれ日本をはじめ、世界の経済や情勢などがわかり、少しずつ株価が変化する理由を肌で感じられるようになるはずです。