将来の「ライフステージの変化」に備えよう
収入が多い20代女性のなかには、「いましかできないことを楽しみたい! 貯蓄をするのはまだまだ先の話!」と考える人が多いようです。しかし、時間はあっという間にたってしまいます。若いときから意識して資産運用を行い、ライフステージの変化に備えることが大切なのです。まずは資産運用の基本を確認しておきましょう。
●「定期預金」では効率の良い資産形成は無理
日本では、もう10年以上も超低金利の時代が続いています。銀行(メガバンク)の定期預金金利は0.002%(2020年7月現在)であり、100万円を1年間預けてもわずか20円しか増えません。ネット専業銀行ではもう少し高い金利を設定していることもありますが、それでも0.1~0.2%程度。これでは、効率良くお金を増やすことはできません。
しかも直近では、コロナウイルスの流行によって経済状況が悪化していることから、さらなる金融緩和=金利引き下げまで目論まれています。この低金利は当面は続くことになるでしょう。
●「年金支給額削減」「支給開始年齢の引き上げ」を覚悟して
2020年5月に年金改革法が成立しました。今回の改正ポイントの1つに、公的年金を75歳から受け取り始めるという選択ができるようになった点があります。これはあくまで選択なので、従来通り65歳からの受け取りを選ぶこともできます。しかし、この引き上げが将来における年金支給開始年齢の一律の引き上げの布石なのではないかという見方もあります。
いずれにしても、今後日本社会の人口減少と高齢化が進展することは確実であり、年金の財源が徐々に厳しくなっていくことは不可避です。公的年金がまったくもらえなくなるという事態は考えにくいものの、現在の20代が高齢者になる頃には、支給額の削減や支給開始年齢の引き上げが行われている可能性は十分にあります。
●「生涯おひとりさま」の場合の人生設計も立てておく
近年、結婚をしない女性が増えています。とくに、仕事があり一定の収入を得ている女性にとっては、結婚は必ずしなければならないものというより、するかしないかを自分で選択するものになっているようです。
もちろん、現時点では独身でも経済的な不安はないでしょう。しかし、万が一重い病気を患い、働けなくなったときのことを考えたことはありますか? もしずっと独身でいるつもりならば、働けなくなるリスクを考慮し、家族を持つ人よりも多くの備えを持つことが必要になるのです。
●出産や育児で「働けない期間」についても考えておく
結婚をすると、出産や育児などで働けなくなる期間が生じるケースがあります。もし2人、3人と出産したら、働けない期間はかなり長くなるでしょう。またその後の教育費も、相当な金額が見込まれます。もちろん、夫婦で助け合いながらまかなっていくことになるでしょうが、それでも結婚前から資産形成を進めておいた方が安心です。
超初心者が資産形成を決意したら…まず始めるべきは?
「仕事では稼げるけれど、貯蓄や運用はよく分からない」という20代の女性は少なくありません。そんな人がいきなり資産運用に挑戦しても、なかなか上手くはいかないでしょう。
ここでは1つの例として、3ステップで資産を形成していく方法を挙げます。
ステップ1:天引きで強制貯蓄
なかなかお金が貯まらない人の特徴は「毎月好きなだけ使って、残った分を貯金しよう」と考えることです。
実は高収入な人ほど、このように考えがちです。常にお金に余裕があると感じるため、ある程度好き放題に使っても、一定額は残るだろうと考えてしまうのです。ところが人間の感覚はまるでアテになりません。気付いたら給料を全部使ってしまっていた、ということはよくあるのではないでしょうか。
これを防ぐためには、収入を得た時点で一定額を「天引き」で強制的に貯蓄してしまう方法が一番です。例えば月収が80万円あるなら、20万円は給与振込口座がある銀行の積立貯蓄にしてしまいましょう。
「貯金にはほとんど利息が付かないのでは?」と思われるかも知れませんが、少なくとも貯金が勝手に減ることはありません。貯めた分だけ確実に増えていきますから、「お金はあるだけ使い切ってしまう」タイプはこの方法で、お金を貯める習慣を身に付けましょう。利息などを活用する方法は次のステップで考えましょう。
ステップ2:NISAや積立NISAなどで「運用」にトライ
ある程度貯蓄の習慣が付いて残高が増えてきたら、金融商品での資産運用にトライしてみましょう。
あまり手間をかけたくない人には、投資信託での積み立てがお勧めです。とくに「積立NISA」は、利益にかかる税金が非課税になる大変お得な制度ですので、まずは、いままでに積み立てた金額の一部を積立NISAに回してみるのがお勧めです。
ただし、積立NISAは年間40万円までしか積み立てられません。高収入な人には、それでは少な過ぎるということもあるはずです。そう感じる人は、証券会社等が独自に提供する投資信託などをプラスすると良いでしょう。
また、より積極的に勉強して本格的な資産運用に挑戦したい人には、一般のNISAを使って投資信託を購入するという手もあります。こちらは自動積立ではなく、自分でタイミングを決めて購入するもので、年間120万円まで投資できます。なお、一般NISAでは株式への投資も可能です。しかし、株式投資はリスクが高いため、さらに勉強する必要があります。
積立NISAと一般NISAはどちらか一方しか選べません。資産運用に興味があるならば一般のNISA、投資や運用にはなるべく手間をかけたくないなら積立NISAを選ぶのがいいでしょう。
ただし、投資信託や株式は元本が保証されません。ですから、資産運用に回す金額は、多くても貯蓄の半分程度までにしておくことをお勧めします。
ステップ3:安定収入を狙うなら不動産を視野に
積立貯蓄や積立NISAである程度まとまった資金が貯まったら、それを元手にして不動産投資にチャレンジすることも、将来の生活を安定させるのに役立ちます。不動産投資の中でも、ワンルームマンションなら比較的安価に購入できるので、まずはここからスタートしてみるといいでしょう。
不動産投資のメリットは、きちんとした物件を選べば、手間をかけることなく毎月家賃収入を得られることです。物件の管理を管理会社に任せれば、オーナー(大家さん)にはほとんど仕事がないため、副業にもピッタリです。
不動産投資は、入居者がいる限り安定的に収入を得られることが強みです。投資信託や株式投資には値動きがあるため、2020年3月のコロナショックのように、今後も価格が大きく変動することがあるでしょう。不動産経営についても、建物が古くなれば家賃を引き下げるなどの必要はありますが、株価のような暴落は考えにくいと言えます。
ワンルームマンション投資では、できるだけ多くの自己資金を用意するのが失敗を避けるコツです。できれば融資は受けず、全額を自己資金で賄うのが理想です。しかしその場合、運用開始までに長い時間がかかってしまいますから、ある程度の自己資金が用意できた段階で一部融資を受けて物件を購入し、早期にスタートするのが良いでしょう。
まとめ
一般的に、20代のうちはあまり大きな出費がなく、ほとんどのお金を好きなように使えます。しかし、収入の一部分を貯蓄や資産運用に回しておくか、すべて浪費してしまうかで、将来の生活は大きく変わります。「いきなり資産運用を行うのはハードルが高い」と思うなら、天引きの積立貯金だけでもOK。いますぐ始めて習慣化し、長く続ければ、「あのときに始めて良かった」と思える日が必ずやって来るはずです。