withコロナの住宅事情…「持ち家」「賃貸」のどちらが得か?

「持ち家と賃貸のどちらが得か」というテーマは、以前から議論され続けています。コロナ禍の終息が当分見えない現在の事情を含め、改めて検証します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

終息の見えないコロナ禍、住宅価格の推移は…?

国土交通省が公表した令和2年全国地価動向によると、住宅地の全国平均地価は3年連続プラスで推移しています。三大都市圏においては7年連続で上昇し、とくに直近2年はその基調が強まっていました。

 

一般的に、経済が上昇トレンドにあるときは地価・資産価値も上昇するため、住宅を購入していた人は得をすることになります。しかし、コロナの流行が終息するまでは、以前のような経済成長は見込めず、地価が堅調に推移するとも思えません。これも、「住宅購入と賃貸のどちらが得なのか?」という論議を難しくしている要因と言えます。

経済面から見た住宅購入と賃貸

住宅を購入すべきか賃貸にすべきかを考えるには、経済(費用など)面とライフスタイル面に分けて、メリット・デメリットを比較検討するとよいでしょう。いずれに面においても、やはりコロナ禍の拡大により、従来とは状況が変化しています。

 

まずは経済的な面から、持ち家と賃貸のメリット・デメリットを考えてみましょう。

 

 持ち家のメリット 

 

●資産が残る

住宅を購入した場合の最大のメリットは、ローンの返済が終われば住宅が自分の資産として残ることです。老後に家賃を支払う必要のない住居がある安心を得られます。もちろん、売却してまとまったお金を得たり、貸し出して家賃収入を得たりもできます。子供や孫がいれば、財産として遺すという選択肢もあります。

 

●さまざまな特例や控除を受けられる

住宅ローンを利用してマイホームを購入すれば、住宅ローン控除の適用を受けられます。このほか、不動産取得税や固定資産税の軽減措置・優良住宅の優遇措置などのメリットもあります。また住宅を購入する際に、親や祖父母からの贈与は一定額まで非課税になるほか、相続をする場合にも特例を受けられます。

 

●しばらくの間は、割安な物件を手にできる可能性がある

これは純粋な意味での購入メリットではありませんが、すでに述べたように、経済が停滞し不況になることで住宅価格は若干の下落が見込まれます。収入面において、コロナ禍の影響がなく将来の収入も心配がない人は、安く住宅を購入できるチャンスが到来したともいえるでしょう。

 

 持ち家のデメリット 

 

●まとまった初期費用と維持費がかかる

多くの人は住宅ローンを利用して住宅を購入しますが、頭金や諸費用を合わせて、物件価格の25%~30%程度の自己資金を用意するのが一般的です。4,000万円の物件であれば、1,000万~1,200万円のまとまった資金が必要になるということです。また、住宅を購入してからも、固定資産税やリフォーム費用などの維持費がかかります。

 

●金利が上昇した際には支払額が増える

現在は歴史的な低金利の時代です。もし変動金利ローンを利用して住宅を購入した場合、金利の上昇局面がやって来ると支払総額が増えて返済が大変になるでしょう。反対に固定金利を選択すると、変動金利ローンよりも当初の利率が高くなります。

 

●コロナ禍で職を失い、ローン返済ができなくなる可能性も

コロナの影響がどこまで長期化して、実体経済に悪影響を与えるのかは誰にも分かりません。もしかしたら、思ったより広範囲に失業や給与削減が広がるかもしれません。余裕を持ったローン返済額であれば問題ありませんが、自己資金ギリギリで過大なローンを組んでいると、失業などの際、すぐに生活が破綻してしまう可能性があります。

 

 賃貸のメリット 

 

●初期費用および維持費がかからない

賃貸住宅の場合に必要な初期費用である敷金と礼金は、それぞれ家賃の1~2ヵ月分程度です。また住宅や設備の老朽化や故障は、大家の負担でメンテナンスをしてもらえます。通常、2年に1回の更新料が必要ですが、住宅購入に比べれば維持費も少なくて済みます。

 

●住居費のダウンサイジングが柔軟に可能

住宅ローンの返済とは違い、家賃は金利の上昇局面でも変わらないため、比較的安定した生活を維持できるでしょう。もし勤務している会社がコロナ対策で完全テレワークを実施するのであれば、賃料が格段に安い郊外に転居することも検討できます。万が一、失業などの事態に見舞われたときも、家賃の安い家に引っ越すことで住宅費のダウンサイジングが可能です。

 

 賃貸のデメリット 

 

●一生家賃を支払い続けなければならない

賃貸の最大のデメリットは、一生家賃を払い続けなければならないことです。年金だけの生活になった場合、毎月家賃を払っていくのは大変なことです。定年後も賃貸住宅に暮らすためには、総支払家賃を予測し、現役時代から蓄えておく必要があるでしょう。

 

●資産として残らない

賃貸住宅は、家賃をいくら払い続けても自分のものにはなりません。そのため、子供に資産を残すことはできず、当然売却益を得ることもできません。

ライフスタイル面から見た住宅購入と賃貸

人にはそれぞれ、ライフスタイルの好みがあります。ある人は広い庭で樹木を育てたり、ゆったりとした郊外の生活を楽しみたいと思うでしょう。またある人は、狭くても交通の便が良くさまざまな刺激に満ちた都心で暮らしたいと思うでしょう。それぞれのライフスタイルから、住み方を選ぶ必要があります。

 

 持ち家のメリット 

 

●自分の思い通りの住宅に住める

持ち家の最大のメリットは、理想の住宅を実現できること。一戸建ての場合、建物全体や間取りの設計、設備、素材など、細部までこだわることが可能です。テレワークを実施するにあたり、「小さな仕事部屋がほしい」と思ったきにも改築可能ですし、家族構成の変化に合わせて世帯住宅に増改築する、あるいは住戸の一部だけを他人に貸す賃貸併用住宅にするなど、思いのままの住宅を実現できます。また、分譲マンションでも、間仕切り壁を変更して間取りを変えるなど一定の変更は可能です。

 

●社会的信用が得られる

日本では、持ち家を持って初めて「一人前」という意識が根強く残っています。社会的なステイタスが高まり、住宅以外の高額商品を購入する際の融資(自動車ローンなど)も受けやすくなります。

 

 持ち家のデメリット 

 

●む場所を簡単には変えられなくなる

転勤などの都合で他の地域に転居しなければならない場合、持ち家は却したり、賃貸に出したりすることが可能です。しかし、賃貸住宅を転居することに比べれば多大な手間や準備が必要になります。

 

 賃貸のメリット 

 

●住まい方を容易に変えられる

賃貸ではライフスタイルの変化に応じて、住み方を変えることが比較的容易です。子供の成長に合わせて広い住宅に住み、子供が独立したらコンパクトな家に住むなど、ライフステージの変化に応じて、住まい方を簡単に変えることができます。

 

●比較的低コストで都心生活を楽しめる

都心部は、職場に近いというだけではなく、さまざまな商業施設や文化施設、病院、教育機関などが集中しており、利便性の高い生活が可能です。都心の住宅購入にはかなりの経済的な負担がかかりますが、賃貸であれば低コストで都心の暮らしを楽しめるでしょう。

 

 賃貸のデメリット 

 

●自分の希望に合ったぴったりの住宅は簡単には見つけられない

賃貸住宅は「ありもの」を借りるため、「場所は良いのに建物が気に入らない」「建物は良いのに間取りが気に入らない」など、自分の希望にぴったり沿った物件はなかなか見つからず、ある程度の妥協が必要になります。もちろん、建物自体に変更を加えるような室内改装も自由にはできません。

 

●高齢になったときの心配

高齢で独り暮らしになると、賃貸住宅への入居が難しくなることがあります。いま住んでいるところを追い出されるということはないでしょうが、転居しようと思っても、なかなか新居が見つからないかも知れません。

まとめ

自分の住居について考えると、「損得」という観点だけでは、持ち家も賃貸も優劣が付けにくいものです。

 

経済的な面でもライフスタイルの面でも、現在の状況が安定し、それが将来にわたって変化する可能性がないのであれば、持ち家を購入しても心配は少ないでしょう。一方、「仕事や収入がどう変化するか分からない」「ライフスタイルが大きく変化するかも知れない」という人は、住宅の購入は避けた方が無難かも知れません。

 

いずれにしても、住居は人の暮らしと切っても切れません。自分の暮らしにとって何が大切なのかゆっくりと考えることで、住居の選択も自ずと決まってくるのではないでしょうか。

 

 

 

 

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著者紹介

連載お金に困らない将来設計とは?今からできる「資産形成」の基礎

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。