所有する土地の相続対策…「アパート経営」が推奨できない理由

相続対策の手段としてポピュラーな不動産投資。実際の手法は様々だが、中でも「区分マンション投資」の有用性に注目しているのが、女性の将来を見据えた資産形成の提案で定評のある株式会社アリステア代表取締役の梅田圭子氏だ。本連載では梅田氏が推奨する、区分マンション投資による相続対策について、そのメリットや具体的な取り組み方を紹介していく。

工事費高騰で、健全な「アパート経営」は成立しにくい

所有する土地にアパートやマンションを建てて経営するという「土地活用のためのアパート経営」は広く知られている。しかし、不動産業者や建築業者にすすめられるままにアパートやマンションを建設して賃貸経営を始めたものの、予定どおりの賃料が入らず、工事費の借金返済が滞っている事例もよく耳にする。相続対策としても語られることが多い、土地活用のためのアパート・マンション経営だが、本当に有効なのだろうか。

 

株式会社アリステア代表取締役の梅田圭子氏は、こう指摘する。

 

株式会社アリステア代表取締役 梅田圭子氏
株式会社アリステア代表取締役 梅田圭子氏

「失敗の原因としては、賃料が高すぎた、空室リスクの高い場所にアパートを建ててしまったなどでしょう。確かにこれまでは、相続する土地にアパートやマンションを建築し、賃貸経営を行うことは有効な方法でした。しかし、現在は工事費が高すぎて、30年、35年と長い期間をかけないと借金の返済ができない状況です。また、国内人口が減っていくという事実も踏まえると、所有されている土地に今からアパートやマンションを建設することは、なかなか難しいといえます」(梅田氏)

 

 

しかも昨今、アパートやマンション建設業界は人手不足、資材高騰により、工事費が異常に値上がりし高止まりしている。都心の規模のある土地であれば別だが、小ぶりな土地の場合、工事を請けてくれる建設業者も少ないという。そもそもアパート経営に適している広さや形、場所などを備える土地は、ほんのひと握りである。そのような土地を相続した場合、価値が高いため相続税も高く、放っておくと固定資産税も払えない。何か対策を講じない限り、所有し続けることで金銭的に行き詰まることも予想される。また、法定相続人が複数存在する場合は、その資産の分け方などのトラブルも絶えない。そのため、相続より前に土地を手放したほうがよいケースもあるという。

 

一方で、土地をいったんはそのまま相続したほうがよい場合もある。「小規模宅地等の特例」が使える場合である。親と同居しているケースなどは、一定の土地面積までは土地の評価額を80%減額できるため、相続税がゼロになる場合がある。

 

「いずれにしても、相続する時点になってから急に税金のことや土地の活用を考えるのではなく、事前に様々なケースを検討し理解し、準備しておくことが大切なのです」(梅田氏)

 

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相続を見据えて「区分マンションの複数所有」を

では、土地という資産を有効活用する方法には、どのようなものがあるのだろうか。

 

「土地の広さや立地によっては、そのまま相続したり、借金をしてアパートを建てたりするよりも、先に土地を売却し、複数の区分マンションを分散所有しておくほうが、遺産分割もしやすく、賃料収入もより確保できる場合があります」(梅田氏)

 

しかし、実際に相続を見据えて先に土地を売却し、区分マンションを複数所有する分散投資を考える人は、あまりいないのではないだろうか。

 

「土地の有効活用という観点だけでなく、金融資産の場合であっても、複数の区分マンションに変えておくことは、大きな節税対策になります。不動産の評価額は現金より安いからです」と梅田氏。そこで、まずは区分マンション投資のメリットを見ていこう。

 

相続する土地でのアパート経営と区分マンション投資を比較した場合、区分マンション投資の大きなメリットは、以下の3つといえる。

 

①予算に合わせた物件の購入ができる

②好立地の物件を選択して所有できる

③すでに建築されたものを購入するため、十分に「目利き」ができる

 

投資の対象として適する都心駅近の1R~2LDKの場合でも2500万~7000万円であり、アパートやマンション建設の工事費5000万~3億円と比べると、かなり安価な予算で投資可能だ。また、メンテナンス費用も格段に安い。さらに流動性が高いため、必要に応じて短期間での売却も可能となる。

 

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選ぶべき区分マンションは「都心」×「適正価格」

では、区分マンション投資を行う場合、どのような物件を選べばいいのだろうか。

 

「それは都心に立地し、適正な価格で買うことができる物件です。どんなに見栄えがよくても、立地がよくても、価格が適正でなければ購入はおすすめしていません」(梅田氏)

 

おすすめできるマンションは、都心かつ適正価格であること ※写真はイメージ
おすすめできるマンションは、都心かつ適正価格であること ※写真はイメージ

 

これは一見、当たり前のことをいっているように思えるが、実行するのは簡単ではないようだ。ひとつずつ見ていこう。まずは立地だが、こちらは一定のエリアに絞ることで空室のリスクを減らすことができるという。

 

「具体的にいうと、東京都の6区にある駅から徒歩5~6分以内であること。また治安の悪いエリアは除きます」(梅田氏)

 

東京都の6区とは、港区、千代田区、渋谷区、中央区、目黒区、新宿区、部分的に品川区と文京区も含むという。

 

「都心であれば、東京都に限らずとも現在、収益の安定した物件は数多くあります。しかし昨今の人口減少、さらに人口の都心集中を考慮すると、東京都心の特定エリアの不動産が一番安全・安心といえます」(梅田氏)


次に、購入する物件の価格が適正かどうか、どう見極めるかだが、その物件周辺の賃料相場から逆算するとわかりやすいという。

 

【マンションを選ぶ際の立地の鉄則】

(出所:『働く女性たちへ 今すぐマンション投資を始めなさい』幻冬舎刊)

(出所:『働く女性たちへ 今すぐマンション投資を始めなさい』幻冬舎刊)

●鉄則その1

選ぶのは渋谷区・港区・千代田区・中央区・目黒区・新宿区

(部分的に品川区と文京区も含む)

●鉄則2

主要駅から徒歩5~6分以内(人気駅なら10分以内)

 

次回は、土地の相続方法について、具体例をあげて考えていく。

 

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株式会社アリステア 代表取締役

福岡県福岡市出身。福岡県立修猷館高校、九州大学工学部建築学科卒業。株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)を経て1993年株式会社ゴールドクレスト入社。2000年東証一部上場時より取締役就任、2013年専務取締役退任。同年株式会社アリステア設立。

著者紹介

連載区分マンション投資のメリットを最大化…相続対策を見据えた不動産投資の手引き

取材・文/関根昭彦 撮影(人物)/関根明生
※本インタビューは、2019年6月20日に収録したものです。

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