投資初心者が知っておきたいポートフォリオの考え方として、ポートフォリオの重要性、なぜポートフォリオが必要なのか、理想的なポートフォリオの割合、ポートフォリオにおけるリバランスについて解説します。

複数の金融資産に投資したほうが「メリット」が大きい

資産運用を行うに当たって、「ポートフォリオ」という重要な考え方があります。投資初心者のなかにはポートフォリオという言葉を初めて聞いたという人もいるかもしれません。

 

ポートフォリオとは、複数の金融資産に投資する際の金融資産の組み合わせのことを言います。言い換えると、預金、株式、債券、投資信託、保険など実に多くの金融資産があるなかで、金融資産をどのような組み合わせで投資するかということです。

 

どうしてポートフォリオが投資における重要な考え方かというと、1つの金融資産のみに投資するよりも複数の金融資産に投資したほうが、メリットが大きいからです。

投資のリスク管理にも役立つポートフォリオの考え方

なぜポートフォリオという考え方は必要なのでしょうか。それは「分散投資」と密接な関係にあります。「分散投資」とは、投資対象である金融資産を分散して投資することです。分散投資することによってリスクを分散できるというメリットがあります。

 

ある株式のみに投資した場合、その株価が下落したときに大きな損失を被るというリスクがありますが、複数の金融資産に投資を分散することによって、リスクを軽減させることが可能です。少しわかりにくいかもしれませんので、どうして分散投資することがリスクを軽減することに繋がるのかについて、解説します。

 

株価の上昇が期待できる1社の株式のみに投資したほうが大きなリターン(利益)を得られるのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし、どんなに業績がいい会社であっても、今後何が起こるかわからないため、株価が大幅に下落してしまうおそれがあることから、このような投資の仕方には高いリスクがあります。

 

逆に1社の国内株式だけでなく、国内債券、外国株式、外国債券など複数の金融資産に投資を分散しておけば、この会社の株価が下落したとしても、リスクを分散することが可能になります。また、どんなポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)にすれば、リスクを小さくして、大きなリターン(利益)を得ることができるかについて、追求する理論を「ポートフォリオ理論」と言います。

 

したがって、ポートフォリオは投資する際にいかにリスクを分散し、大きな利益を得ることができるかを検討するうえで重要な概念であるのです。

「資産運用の目的」と「リスク許容度」を基準に

いかにリスクを小さくして、最大のリターン(利益)を得ることができるかを研究することが「ポートフォリオ理論」であると解説しましたが、その結論は出ていません。つまり、理想的なポートフォリオの割合は、誰にもわからないのです。

 

しかし、金融資産をどのように配分するかによって、運用実績が変わってくるということは間違いありません。そのため、資産運用を行う際には、どの金融資産に投資して、どのような割合で金融資産を持つのかが重要になります。ただ、投資初心者がどんな金融資産にどのくらいの比率で投資すればいいのかを決めるのはなかなか難しいです。そこで、実際に資産運用する際の基準になる考え方を2点ほどご紹介します。

 

① 資産運用の目的

資産運用するうえで大事なのは、目的をしっかりと定めることです。資産運用の目的と言われても、ピンと来ないという人もいるかもしれませんが難しく考える必要はありません。

 

例えば、家計の三大資産と言われる「教育資産」「住宅資産」「老後資産」なども目的になります。具体的には、それぞれの目的のために、いつまでにどのくらいの金額が必要かを明らかにし、毎月どのくらいの貯金が必要かを計算します。

 

・教育資金 →「子供が小中高大に行くためにいくら必要か」

・住宅資金 →「住宅を購入するにはいくら必要か」

・老後資金 →「老後の生活費としていくら必要か」

 

目的を達成するためには、どのくらいのリターンが必要なのかを見定めることが、資産運用の基準となるのです。

 

②リスク許容度

リスク許容度とは、資産運用するうえでどのくらいのリスクを許容することができるのかということです。投資対象となる金融資産のなかには、リスクが高い資産と低い資産があります。例えば、国内株式と国内債券では、前者のほうがリスクが高く、後者は低いです。前者は大きなリターンが期待でき、後者は期待できません。

 

個人によってもリスク許容度は違ってきます。例えば、30代男性が2人いて、同じくらいの資産を保有しているとして、1人は独身、もう1人は結婚して、子供が2人いる場合を考えます。単純に考えると、2人の30代男性のうち、資産運用するに当たって、よりリスクが取れるのは扶養家族がいない独身の男性ということになるでしょう。また、例えば退職して年金生活を送っている70歳男性ならば、十分な収入がないため、リスクを取るのは難しいでしょう。

 

このように人それぞれの状況によりリスク許容度は違うので、資産運用をするに当たっては、現在の自分の保有資産、家族構成等を考慮して、どのくらいのリスクを取れるかを見極めることが大事になります。

変化に対応するため必要な資産配分の「リバランス」

ポートフォリオにおけるリバランスとは、資産運用する際にメンテナンスすることを言います。よくわからないと思うので、具体例を示して解説します。

 

投資初心者が目的を決め、リスク許容度を考慮して、資産運用を始めたとします。国内株式、国内債券、外国株式、外国債券をそれぞれ1/4ずつ購入した場合、資産配分はそれぞれ25%になります。

 

しかし、時間の経過とともに金融資産の価格は変動することから、資産配分も変化してしまいます。資産配分が変化したということは、当初のリスクも変化してしまったわけですから、元に戻してあげないといけません。そこでやるべきことが「リバランス」という作業で、変化してしまった資産配分を元の比率に戻します。具体的な方法は、比率が上がった資産を売却して、比率が下がった資産を購入します。

 

 

 

※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。