「資産100億円の形成には節税や賃貸経営、そして資産運用についてのあらゆる基本原則を理解することが欠かせない」と語るのはアサヒグローバル株式会社、ゴールドトラスト株式会社、ゴールドエイジ株式会社取締役会長で、自らも年間家賃収入7億円のオーナーでもある久保川議道氏です。本連載では、その唯一無二ともいえる「賃貸経営」と「資産運用」を中心とした資産形成における久保川氏の独自のメソッドや考え方をブログから抜粋し紹介します。今回は、賃貸経営がどんな商売より儲かる「宝の山」である理由について見ていきます。※この記事は久保川議道氏のブログ『会長のひとりごと』Vol.61(2018年1月)から抜粋、編集したものです。

日本の賃貸経営「空室率30%」の実情

日本は現在人口『1億2,700万人』で世帯数は『5,300万世帯』(2.4人/1世帯平均)。その中で賃貸に入居しているのは『1,266万世帯』です。(平成25年住宅土地統計調査)。そして全賃貸戸数は『1,586万戸』ありますから入居率は77.3%ですね。(賃貸入居者1,266万世帯÷全賃貸戸数1,586万戸)空室率は『22.7%』となります。これが平成25年の2013年の実績です。

 

しかし相続税率引き上げの影響で平成26年・27年・28年・29年の4年間で『159万戸』の大量の賃貸が建設されてしまいました。だから今現在の賃貸戸数は『1,745万戸』ですね。入居者の数はあまり変わりませんから、なんと入居率は『70.3%』。空室率は『29.7%』となってしまいました(1,266万世帯÷1,745万戸)。平成29年12月末で日本の『空室率は30%』なのです。

 

賃貸経営で30%の空室だと全ての賃貸は赤字で倒産だということです。その理由は借金の返済ができないからですね。計算式は1億円のアパートを建てて年間『7%』の表面利回り(家賃収入÷総投資額)とすると『700万円』の収入で、そこから元金・金利と管理・借上費用と固都税と所得税の『550万円』を支払うとだいたい手取りは『1.5%』の『150万円』ですね。

 

さて30%の空室ということは『700万円×0.7=490万円』の収入になってしまいますから、そこから『550万円』の支払いを引くと年間で『マイナス60万円』の赤字です。これでは借入金の返済ができませんね。平均的に言うと日本の賃貸は『ゴミの山』で『赤字の山』ということになります。

 

賃貸経営の負け組と勝ち組…その違いとは?

しかし『平均値の嘘』に騙されてはいけません。実態はもっともっと酷い状態なのです。それは私のように『満室経営』をしている家主が30%いるとして計算してみましょう。30%の家主が満室経営だとすると1,745万戸×30%=『523万戸』が満室です。全入居者1,266万世帯–満室の523万戸=『743万世帯』です。

 

そして満室以外の賃貸戸数は『1,222万戸』(1,745万戸-523万戸)ですから、入居者743万世帯÷1,222万戸ですから、60.8%の入居率となります。空室率は39.2%≒40%なのです。全賃貸経営者の7割は入居率40%で完全に『倒産状態』ということですね。これは『ゴミの山』どころか『墓場の山』ということですね。恐ろしいことです。

 

しかしそれは経営では当たり前のことであって、何の不思議もないのです。一般的な経営では成功する人は2割。倒産も2割。どっちつかずの赤字が6割ですから(現在7割の会社が税金を払っていない赤字会社です)、賃貸も経営ですから7割の大家が賃貸経営で赤字で失敗しているのは当然のことです。

 

私は41年間の長い間、建設会社の社長をしていましたが、この41年間で知っている社長はほとんど居なくなってしまいました。倒産か廃業したのでしょう。まずは勝ち組と負け組の会社に分かれて負け組は消えて行くのです。その後はもっともっと厳しい勝ち組と勝ち組の戦いで、生き残るのはせいぜい2割ですね。世の中は厳しいものです。

 

さてしかし、勝ち残った3割の私達にとって賃貸とは何でしょうか…? それはもの凄い『宝の山』なのです。入居者が1,266万世帯いるのですからその入居者のお客様を満足させれば勝てるのですから簡単ですよね。

 

①家賃を一番安くして

②便利で住みやすい立地に建てて

③設備を最高にして

④建物の外観をデザインして

⑤毎月のお掃除で美しくする

 

まあこれだけで満室経営は可能ですね。私達からすると簡単なのです。

 

そして1,266万世帯×7万円家賃(月間)=8,862億円×12ヶ月=10兆6,344億円の家賃収入(マーケットサイズ)。10.6兆円はもう凄い『宝の山』だとは思いませんか。勝ち組にとってまさに賃貸はどんな商売より儲かる『宝の山』だということがお分かりいただけましたでしょうか。負け組の大家さんには大変に申し訳ありませんが…あしからず。