左:『フィリピン株.com』編集長 /仁科剛平氏 右:ハロハロアライアンス・ディレクター/ 鈴木廣政

世界有数の成長国として知られるフィリピン。日本の富裕層による不動産投資が人気だが、近年、新たに注目が高まっているのが「フィリピン株式投資」である。本連載では、フィリピン不動産をはじめ投資事情に詳しいハロハロアライアンス・ディレクター鈴木廣政氏と、『フィリピン株.com』の編集長である仁科剛平氏に、「フィリピン株式投資」の魅力について伺っていく。第1回目のテーマは「フィリピンが最も投資に適した国に選ばれた理由」である。

フィリピン株式市場の魅力を伝えたい

私(鈴木廣政)は長い間、不動産投資を中心としてフィリピンで事業活動を行い、またそれを日本の資産家、投資家の皆様にご紹介、橋渡しする活動を行ってきました。

 

フィリピンは、さまざまな面で魅力の多い国であり、これからの大きな発展可能性を持つ国です。その魅力を、多くの日本の資産家の方に知っていただくことで、資産運用や生活防衛のお役に立てればと願ってきました。

 

その一環として、いま私が強く注目しているのが、フィリピン株式投資です。私も、フィリピンで事業活動をしていることもあり、ここ2年近く、個人の資金で、フィリピン市場で株式投資を行ってきました。

 

ハロハロアライアンス/ディレクター  鈴木廣政氏
ハロハロアライアンス/ディレクター
鈴木廣政氏

私はフィリピン経済の長期的な成長を信じているので、基本的には短期売買はせず、長期保有のスタンスです。それでも、現在、非常に大きな含み益を得ることができました。

 

そこで、フィリピン株式市場の魅力を、ぜひ日本の資産家や投資家の皆様にお伝えしたいと考え、今回、株式評論家であり、『フィリピン株.comの運営を行っている仁科剛平氏と共同で記事を執筆させていただきます。

 

記事の体裁上は、私の1人称による語り口となっていますが、実際は私と仁科剛平氏との共同執筆であるとお考えください。

フィリピン経済は発展途上。ただ“変化”に注目すると…

「フィリピン株.com」編集長  仁科剛平氏
『フィリピン株.com』編集長
仁科剛平氏
 

 

まず、フィリピンの現状について確認をしておきます。

 

フィリピンの人口は2014年に1億人を超えたと公式に発表され、現在は約1億500万人です。

 

GDPは、約3130億ドル(2017年、名目値)で世界39位。マレーシア、パキスタン、ベトナムなどよりは上ですが、シンガポールや香港などよりは下です。また、1人当たりGDPでみると、2,988ドル(同)であり、世界129位と、かなりの下位になります。これは、人口が約1憶500万人と多いことによります。

 

ちなみに、日本のGDPは約4兆8730億ドル(同)で世界3位、1人当たりGDPは38,448ドル(同)で、25位です。フィリピンのGDPは日本の約15分の1、1人当たりGDPは約13分の1ということになります。

 

これだけみると、現状の経済規模は小さく、やはりまだまだ発展途上だと思われるでしょう。

 

しかしこれは、ある「一時点」を切り取ったもの。これを「変化」でみると、フィリピン経済が非常に大きく成長し続けていることがわかります。

 

フィリピンの過去3年間のGDP成長率を日本、東アジア・太平洋地域平均、世界平均と比較してみると、下の表のようになります。これをみると、数年前から現在まで、フィリピン経済が非常に高成長を続けていることがわかります。

 

[図表1]経済成長率(実質GDP成長率)の推移

世界銀行調べ
世界銀行調べ(単位:%)

 

これは、数年の短期的なサイクルによるものではなく、今後数十年に渡って続く傾向であると考えられます。それはフィリピンの人口構成が、若年になるほど人口が多い、きれいなピラミッド型をしており、いわゆる「人口ボーナス」が今後長期に渡って続くからです。

米有力誌が「最も投資に適した国はフィリピン」と発表

フィリピンの現状と将来性から、米国の『U.S. News & World Report』誌は今年の3月に発表した2018年版の「投資するのに適した国々(Best Countries to Invest In)」という記事において、投資に適した国の世界第一位にフィリピンを選びました。

 

この記事では、6,000人を超えるビジネスの意思決定者(business decision makers)が、各国の次の8つの項目について評価した得点を集計して、世界各国をランキングしています。

 

 ①政治腐敗(corrupt)

 ②社会の活力(dynamic)

 ③経済的安定性(economically stable)

 ④起業意欲(entrepreneurial)

 ⑤優遇税制(favorable tax environment)

 ⑥技術革新(innovative)

 ⑦熟練労働力(skilled labor force)

 ⑧技術的専門知識(technological expertise)

 

記事中ではこのランキングの回答者の国籍などが明示されていないので、はっきりわかりませんが、おそらく英米の経営者やマネジメント層が中心だと思われます(記事全体としては、80か国、21,000人が調査対象とあります)。

 

それらの人たちの6,000件を回答を集計した結果ですから、その結論はかなり客観性のあるものと考えられます。

 

ただし、この記事は、国家間の海外直接投資(FDI:foreigndirect investment)について論じた、世界銀行グループのレポート『Attracting FDI』において示された、海外直接投資の4つの目的(①天然資源、②市場、③コストダウンなどの効率性、④現地経済エリアにおけるブランド、新技術、販売チャネルなどの戦略的資産)をベースに評価したものです。

 

その意味では、必ずしも個人が資産運用目的で投資する際の魅力とイコールであるとは限らない点には注意が必要です。

 

とはいえ、フィリピン経済が、今後、世界でもトップレベルの成長をなしうると多くの人が認めていることは、間違いありません。