少子高齢化が進む中、国内不動産(投資)の先行きに不安を持つオーナー・投資家は多い。本企画では、土地活用や賃貸経営に悩むオーナーを救う選択肢として、「横浜エリア」の不動産投資の魅力と成功の秘訣を探る。お話を伺ったのは、収益物件の販売企画から管理運営までワンストップで手掛ける株式会社フロンティアハウス代表取締役の佐藤勝彦氏。最終回のテーマは、満室稼動を徹底的に追求する「収益物件運営」のポイントである。

管理をはじめとした「入居者サービス」の施策とは?

一口に投資用物件といっても様々なものがありますが、弊社が投資用物件として販売しているのは、アパート、あるいはマンションの一棟全部です。いわゆる区分所有の物件は扱っていません。

 

これは、収益物件の販売を、単に「住戸というモノ」を売っておしまいになるものではなく、将来への資産継承も含めた、資産運用というサービスを販売するものだと考えているからです。

 

そのためには、仮に箱(建物)はなくなったり、使えなくなったりしても、土地は残る一棟投資こそが、投資家の方にとって最適な選択だと考えているからです。

 

また、資産運用サービスを販売しているという意味では、収益物件のすべての面を自社で取り扱い、コントロールすることによって、漏れのない、完璧なサービスがご提供できるはずです。具体的には、土地の取得から、物件企画、設計、施工、販売、管理までを、一貫して扱うことで、トータルでオーナー様のニーズに応えることが可能になると考えています。

 

弊社では、現在約2000戸の物件を管理していますが、その入居率は約95%です。個人投資家の方は、入居率95%と聞くと、非常に高いように感じられるかもしれません。しかし、私たちはまったく満足はしておらず、これをできるだけ100%に近づけようと努力をしているものの、残念ながら現状ではまだそこまでは達していないという状況なのです。

 

入居率を高めるためのポイントは、第3回で述べた通り、第1に立地、第2に、その立地に合った企画や建物、そして第3に管理をはじめとした入居者サービスです。第1と第2の点については、すでにご説明しましたので、第3のポイントにも触れておきましょう。

 

入居率を高める施策は、空室になるべく早く入ってもらうための施策と、一度入った入居者様に、なるべく長く住んでもらうための施策との、2点からなります

 

前者において、弊社で取り組んでいる施策の1つが、新築時の「モデルルーム」の設置です。分譲マンションでは販促手段としてモデルルームを設置するのは常識ですが、これは実際にそこで暮らす生活イメージを見ていただき、感じてもらうことで、購買意欲を高めるためです。そして、これは賃貸アパートでも十分に通用する手法です。実際の物件の一室に家具や家電を置いて生活イメージを体感してもらうことで、契約率は大きくアップします。しかし、かなり手間もかかるので、賃貸アパートでこれをしている不動産会社は少数派でしょう。

 

また、これは未導入ですが、入居者の方が引越しの際、弊社の別の管理物件に移動をする場合は手数料を無料にしたり、その他の特典を付与したりするサービスを検討中です。弊社物件への引越しで、メリットを感じ、転居していただければ、オーナー様にとっても入居率を高める契機となります。

 

一方、入居者の方に長く住んでもらう、つまり退去率を下げるための工夫として、まだ詳しくは書けませんが、「住」のみではなく、「衣食」も含めた生活の利便性を上げるサービスの提供を検討中です。もちろん、第3回で述べたように、そもそも暮らしやすい機能性を持った住居企画、設計にすることも、退去率を下げる効果があります。

 

こういった施策により入居者満足度を上げることが、オーナー様の利益に直結していきます。

 

 

稼働率を上げる「マンスリーマンション併用」戦略

株式会社フロンティア ハウス 代表取締役 佐藤勝彦氏
株式会社フロンティアハウス
代表取締役 佐藤勝彦氏

弊社が行っている空室対策の1つとして、マンスリーマンションとの併用で貸し出すというリーシング戦略を採ることもあります。たとえば、横須賀のある物件では、賃貸での空室が長くなってしまった部屋を、マンスリーマンションとして募集したところ、米軍関係者、病院入院患者の看護家族、学生など、弊社でも思いもよらなかったニーズがあり、入居率が大幅に上がったことがあります。

 

マンスリーマンションは、通常の賃貸の家賃よりは高い設定になり、また清掃費や光熱費も実費請求できるため、稼働率が上がれば通常賃貸よりも収益性が高くなることもあります。

 

弊社でも、マンスリーマンションと賃貸の併用を実施しているのはまだ40戸程度で、マーケティングデータを収集中ですが、賃貸ではやや厳しかった物件をマンスリーマンションにすることで、高い収益をもたらす例も多くみられています。現在のデータでは稼働率は80%程度で、通常賃貸の入居率よりは劣りますが、ホテルの一般的な採算分岐点といわれる70%は上回っています。今後、マーケティングデータの数が増えることで、より稼働率を高めることができると考えています。

 

このように状況に応じた臨機応変なリーシング戦略が可能になるのも、一棟購入をしていただき、また弊社が、仕入れから管理までの一貫営業体制を採っているからこそでしょう。繰り返しになりますが、私たちは、たんにモノを売っておしまい、という企業ではありません。オーナー様とは、一生のお付き合い、お子様、お孫様の代まで、100年のお付き合いをさせていただくために何をすべきかという点から、すべてのサービスを考えています。

 

ただし、それは、一方的に私たちが「おまかせ」で何でもするということではありません。収益物件運営は投資であると同時に事業でもあります。私たちは、オーナー様とは、いわば共同事業のパートナーでありたいと望みます。

 

そのために、収益不動産に関することであれば、どんなニーズにも応えられる「収益不動産のコンシェルジュ」として動ける体制を築いています。先行きの見えにくい時代だからこそ、そのような確かなパートナーを持つことが、不動産投資成功のコツなのではないでしょうか。

 

 

取材・文/椎原芳貴 撮影/永井浩 
※本インタビューは、2018年10月11日に収録したものです。