「投資」の観点で肝となる「資産構築」と「資産保全」
前回お伝えしたように、フィリピン経済を動かすフィクサーたちが集結する「GATE of ASSETS 財団」に参画した背景には、フィリピンに対する社会貢献や、フィリピン経済の発展に寄与したいという強い思いがあります。
近年、フィリピンは経済発展が著しく、日本からの投資も積極的に行われています。ハロハロでも、日本の皆さんにフィリピンのさまざまな不動産物件を紹介したり、永住権取得など諸手続きのサポートを手がけたりしていますが、この取り扱い件数も日を追うごとに増えています。
ハロハロの取り組みを、お客さんの「投資」という視点から見た場合、肝になるのはフィリピンにおける「資産構築」と「資産保全」の2要素だと考えています。「資産構築」とは、不動産を中心に現地で絶対的資産を構築することのお手伝いをするということ。そして「資産保全」はフィリピン永住権の取得を軸に、現地での法律的な手続きをサポートしたり、資産防衛にまつわる様々なアドバイスなどを行うということです。
ここ数年は特に、資産防衛や分散投資を目的とする、海外不動産の所有や開発プロジェクトへの投資が注目されています。私もフィリピンにおける資産形成や投資に関して、セミナーなどで皆さんにお話をする機会が非常に多くなっています。そうした場では、「資産構築」「資産保全」の視点から、日本の皆さんに情報を提供したり、実際に不動産を購入する際のお手伝いをしてきたわけですが、フィリピン経済への貢献、フィリピン社会の底上げということで考えると、次のフェイズに移る必要があるのではないか──そんな思いが強くなってきていたのも事実です。
海外で投資をする、そして資産を形成し、保全する。そうした営みには、その国の歴史的経緯や、その過程で培われた国民性、価値観、常識などを理解する姿勢が不可欠です。そのうえで、中長期的に投資効率を考えるのであれば、その国自体が発展することこそ、資産の価値を高め、安定的な保全をもたらしてくれるといえます。海外で資産を増やしたければ、ただ資産を保有するだけでなく、その国の成長を助ける取り組みにも、お金や人材、ノウハウなどを投じる。投資先の国の社会問題も“自分事”として捉え、真剣に解決策を模索する。実はそれこそが、海外投資で成功するための、究極的なスキームではないでしょうか。
とはいえ、そうした活動を展開するに際し、ひとつの企業体やグループだけで何かしらの商品やビジネススキームを提供したり、寄付を募ったりするだけでは、どうしても取り組みが単発的になってしまい、活動の広がりにも限界があります。
もっと自由に、多様な人々が参画し、自分のできる範囲でお金を出し合い、さまざまな領域でフィリピン経済・社会に貢献できるような仕組みをつくりたい。個人や一企業では限界があることでも、カタマリになることで実現できるかもしれない。それが、「GATE of ASSETS財団」の参画へとつながっていったわけです。
フィリピンは「人材」の宝庫である
前回、ハロハロホームが取り組んでいる都市開発のビッグプロジェクト「ハロハロエデン」において、人材教育・育成にも力を入れていることをお話ししました。
もともと、私自身も人材育成には強い関心を持っており、自分のビジネスのなかで意欲的に取り組んできました。そして、フィリピンでビジネスを手がけるようになって痛感したのは“フィリピンは人材の宝庫である”ということでした。
フィリピンの人々は、朗らかで親しみやすいだけでなく、働くことへの意欲が高く、真面目に取り組む姿勢を持っています。環境と機会さえ与えられれば、大きく成長する可能性を秘めた、優秀な人々が数多く存在しているのです。
現在、フィリピンでは中産階級層が増加しており、教育の機会も広がりを見せています。しかしながら、一方では貧富の格差の拡大であったり、貧困層の人々・・・とりわけ子どもたちが満足な教育を受けられないまま、きちんとした仕事に就けなかったり、低賃金で酷使されたりする現実もあります。そうした人々に学ぶ場所と機会を提供できないだろうか、まだまだ多いストリートチルドレンが学校に戻れるような復学プログラムを展開できないだろうか。フィリピンでの事業を展開すればするほど、そんな思いを強くしていました。
その思いを実現するための仕組みとして、「GATE of ASSETS財団」への参画が効果的に機能するであろうと確信しています。
すでに具体的な取り組みも始まっています。先ごろ、私は「公益財団法人 国際人材育成機構」のマニラ駐在員事務所開設準備室長に就任しました。この組織を通じて、フィリピンから日本へ技能実習生を派遣するといった、人材交流、人材育成を進めていきます。フィリピンにとっては、近くて安全な国であり、アジアにおける経済活動をリードする日本で高度な職能を身につけ、将来的に優れた人材へと成長してくれることが期待できますし、日本にとっては人材不足を解消する有力な手立てとなることでしょう。すでに両国の政府間でも、さまざまな調整や検討が進められています。
日本は2025年ごろ、75歳以上の後期高齢者が人口の18%を越えるという「2025年問題」を抱えています。超高齢化社会を目前に、若年層の労働力をどう確保していくか。これは、日本経済、日本社会にとって死活問題です。
「人材」というキーワードひとつとっても、フィリピンの社会問題の解消は、日本の社会問題の解消に通じています。このように、日本とフィリピンが連携し、協力することで、さまざまな成果がもたらされるに違いありません。そして、その橋渡し役として、また具体的な取り組みを推進する母船として、「GATE of ASSETS財団」が中心的に活動できればと願ってやみません。
少し情緒的な話をしてしまうなら、かつて日本とフィリピンには悲しい衝突の歴史がありました。第二次世界大戦において、日本は当時アメリカの植民地であり、極東の軍事拠点でもあったフィリピンに侵攻し、制圧。フィリピンの覇権を巡ってアメリカ軍と熾烈な戦争を繰り広げ、一面を焼け野原にしてしまいました。そうした過去もありつつ、戦後、日本とフィリピンは徐々に友好を深めていき、いまでは屈指の親日国として知られるようになりました。私は、そんなフィリピンという国に強い親愛の情を抱き、経済成長や社会問題の解消など、できりかぎりの貢献をしたいと思っています。
こうした、「GATE of ASSETS財団」の背景にある思いにも共感していただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
それでは、次回以降は「GATE of ASSETS財団」に入会することで得られるベネフィットや、提供されるスキーム、その他、さまざまな取り組みなどについて、具体的に紹介していきます。