世界有数の成長国フィリピンでの不動産投資が人気だ。だが、意外に知られていないのが、役所や税務署への届出などを含む、フィリピン不動産取得の具体的な手続き。ここに不備があると、後で思わぬ経済的損失を被る可能性もある。本レポートでは、フィリピン現地に密着し、多数の不動産取引を手がける「ハロハロホーム」だから知り得た、フィリピン不動産取得に関する留意点の数々と、それを踏まえた正しい手続きのポイントについて、当社ファウンダーの鈴木廣政氏に解説していただいた。

現地の不動産会社も手続きの全容は把握していない!?

フィリピンの不動産は、アジアの中でも屈指のポテンシャルを備えており、今後、投資対象として大きく成長する可能性を秘めています。

 

魅力の多いフィリピンの不動産ですが、一方で、いくつかの落とし穴が潜んでいるのも事実です。その理由をひと言でいうなら「不動産購入に関する諸手続きが非常に複雑である」ということ。

 

 

ステップをひとつひとつ説明していくと長くなってしまうので、プレビルド物件と中古物件それぞれの、購入までの流れを図にしてみました。ちなみに「プレビルド」とは、まだ建設に入る前の、計画段階にある物件のことです。

 

★フィリピン不動産購入の流れ(プレビルド物件)

※ハロハロホーム作成。顧客専用資料のため、一部公開としています。

 

★フィリピン不動産購入の流れ(中古物件)

※ハロハロホーム作成。顧客専用資料のため、一部公開としています。

 
 
 

ご覧のとおり、物件を入手するためには細々としたステップを経なければならないのですが、フィリピンの不動産投資で留意しなければならない最大のポイントは、こうした全体の流れをキチンと把握している人間が非常に少ない、ということ。日本ベースの仲介業者は言うまでもありませんが、現地の不動産業者や税務の専門家でも俯瞰的に把握できていないケースが少なくありません。

それでも魅力的なフィリピン不動産・・・業者選びは慎重に

特に、複雑で手続きミスの可能性が高いのが、中古物件を購入した場合です。下記に登記変更手続きの流れをまとめましたが、こちらも非常にステップが多いことがわかると思います。

 

★フィリピン不動産の登記変更手続きの流れ(中古物件)

※ハロハロホーム作成。顧客専用資料のため、一部公開しています。

 
 

たとえば、日本で不動産を入手して役所や税務署で手続きをする場合、窓口で申請書類を提出し、長くても20~30分も待てば手続きが終了します。窓口は違っても同じ建物のなかで移動すれば済むことが大半で、複数の手続きがあったとしても、せいぜい半日もあればすべて片づくものでしょう。

 

しかし、フィリピンではそういうわけにはいきません。税務署で書類を申請したら、「2週間後に取りに来てください」などと言われるなんて当たり前。仕方がないので2週間後に改めて出向き、ようやく書類を受け取ったら、今度はそれを持って市役所に行き、「Aという書類は5日後、Bという書類は10日後に出てきます」なんてことになる。そして10日後に市役所で受け取ったら、また別の窓口にその書類を提出するために出向いて……といった手続きのリレーを7、8回はこなさなければならないのです。時間のかかり方、手続きの煩雑さは、尋常ではありません。

 

登記に絡んだ手続きも然りです。日本の感覚だと、登記簿の名義を変更すれば、税金に関連した諸手続きも自動的に完了し、当局から納税に関する書類が届きます。日本では、ひとつの手続きに連動する形で、オートマチックに必要な事柄が進んでいく。一方、フィリピンでは、役所で不動産登記の名義変更を行ったら、その証明書類を持って税務署に行き、税金支払い人の名義変更手続きを行わなければなりません。しかも、不動産登記簿の名義がかわってから一定期間内に税務署で納税の名義変更を行わないと、毎月2500ペソ(日本円で7000円弱)の罰金が加算されていきます。

 

その結果、いざ不動産を転売しようとなった際に、「納税の名義変更が済んでいない。罰金がこれだけ溜まっている」と当局から指摘され、物件を売りたくても売れない、というトラブルに繋がったりするのです。

 

どのタイミングでどのような手続きが発生し、どのような費用が発生するのか。そうしたことが不透明なまま、いたずらに時間が経過してしまい、後になって途方に暮れる──フィリピンの不動産事情に精通していない業者に依頼してしまうと、そうした状況に陥ってしまうことが少なからず発生します。

 

※本稿で取り上げた「フィリピン不動産の正しい購入手続き」についても詳細解説

 

そこでもっとも重要になってくるのが、信頼できる業者をいかにして選ぶか、ということです。現地の商習慣や法制度、各種の公的手続きに精通し、ワンストップソリューションで、あらゆる部分でのサポートが受けられる。そういった業者を選ぶことができれば、資産として、投資対象として、フィリピンの不動産物件は非常に魅力的です。

取材・文/漆原 直行 撮影/永井 浩 
※本インタビューは、2017年6月2日に収録したものです。