今年、設立10周年を迎えるコモンズ投信。前回までその創業秘話を<会長&社長対談>としてお送りしました。コモンズ投信では、2009年のファンド運用開始以来、長期的な価値の共創を目的とした「運用者(コモンズ投信)・投資先企業・ファンドの受益者」による“対話”を数多く行ってきましたが、今回はその実例の一つとして、「ユニ・チャームとの対話」をご紹介します。

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2015年度の決算まで「9年連続過去最高益」を更新

コモンズ30ファンドは、2009年1月から運用開始していますが、ユニ・チャームへの投資は、運用開始時点から検討を重ねていました。

 

当時は「ユニ・チャーム」と「ユニ・チャームペットケア」の2社が上場しており、この2社が合併したらいいね、と社内で話していました。その後、なんと2010年4月にユニ・チャームがペットケアを吸収するとの発表があり、合併が終了した6月から満を持して投資を開始することとなりました。現在も投資継続していますので、投資期間は7年を超えてきました。この間、同社の業績は一貫した右肩上がりで株価も2.5倍になっています。

 

さて、今や誰もが知っているユニ・チャームですが、創業は1961年、大成化工(株)の名前で、愛媛県で産声をあげました。ユニ・チャームの「ユニ」は、「Universal(ユニバーサル)」・「Unique(ユニーク)」・「United(ユナイテッド)」の3つの意味を持ち、“世界的に通用するユニークな商品やサービスを提供する統合した会社でありたい”という思いが込められました。また、「チャーム」は、英語の「Charm(チャーム)」、生理用品メーカーとして、“女性にはいつも魅力的(チャーミング)であって欲しい”という願いから、社名に取り入れられました。

 

こうして、「ユニ」と「チャーム」をあわせた「ユニ・チャーム」という社名が誕生したそうです。

 

ユニ・チャームの売上高は、創業約50年で7000億円を超える成長となっています。

 

2015年度の決算まで、なんと売上高は14年連続、営業利益は9年連続で最高を更新し続けてきました。9年連続というと、この間、リーマンショック、東日本大震災、75円の超円高という困難がありましたが、それらをすべて最高の結果で乗り越えてきたということです。まさに、事業環境の変化にも強い体質で、持続的に成長できる会社ということです。株価はこうしたイベントの時は大きく下がりがちですが、このように業績が最高を続けているのなら、私たち投資家は怖がることなく共に永く歩んでいくことができます。

 

もし、みなさんが1990年代くらいにユニ・チャームの経営を任されたらどうでしょう。いきなり、これから日本は少子化だよ、人口も減るよ、との難題が待ち伏せることになります。

 

私が生まれた1960年頃は新生児は200万人時代でしたが、今や100万人ギリギリです。経営者はどのような判断をするのでしょうか。国内でのシェアを高めていく、あるいは海外に打って出る・・・ユニ・チャームはアジアに舵を切りました。

 

 

 


当社が投資を始める段階では海外売上は30%台でしたが、わずか5年で60%台に飛躍し、現在アジアではNo.1のシェアを誇ります。ベビー用、女性用、シニア向け、全てにおいてNo.1になったのです。中国、インド他それぞれの地域できっとさまざまな苦労を乗り越えての実績だと思います。

 

例えば、インドではまだ生理用品の利用率が15%程度しかありません。これは、家庭でも学校でも女性への衛生教育が十分に行き届いていないことが背景にありますが、ユニ・チャームは地元のNGOやJAICAの協力を得て小学校に出向き、その教育を実施しています。こうした取り組みは、商品を売ることを優先するのではなく、地域の課題克服に貢献し、その先にブランドや商品をつなげていくスタイルだと思います。だからこそ持続的な成長が出来ると私たちは考えています。

 

「女性活躍」にいち早く取組んだユニ・チャーム

コモンズ30ファンドの投資先は、財務データを中心とした「見える価値」と非財務情報である「見えない価値」から成る5つの軸から分析・決定されます。

 

「見えない価値」の中でも、企業文化は大切にしています。ユニ・チャームの企業理念は「NOLA & DOLA」ですが、これには「赤ちゃんからお年寄りまで、生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする商品を提供し、一人ひとりの夢を叶えたい」という想いを込められています。この企業理念を事業を通じて実現し、社会課題の解決に貢献することに取り組まれています。素晴らしい企業文化がひとりひとりに浸透し、持続的に成長する企業の人材育成や組織の作り方なども非常に参考になります。

 

ユニ・チャームへの投資を開始して3年ほど経過した2013年12月。コモンズ30塾で過去6回開催しているテーマ『女性の活躍セミナー』の栄えある第1回に、ユニ・チャーム(旭化成さんにも同時に参加していただきました)をお招きしました。まだまだ”女性活躍”というキーワードが世に定着したとは言い難い時期ですが、注目度は高く、100名近い参加申込がありました。

 

ご登壇くださったグローバル人事総務本部 海外グループシニアマネージャーの 佐々木美弥子さま(当時)からのお話は以下のようなものでした。
 

 

「ユニ・チャームの社是(3つ)の中のひとつに、

 

一. 我が社は、企業の成長発展、社員の幸福、及び社会的責任の達成を一元化する正しい企業経営の推進に努める

 

というものがあります。

 

これを実践する施策として、既に1968年には産前産後休暇の整備に加え、最長1年間の給与支給という制度を導入しています。また、まだバブル真っ只中の男性中心社会であった1990年には、結婚や出産による退職社員の再雇用制度を導入、2000年初頭には、子育て中の社員に対するサポート制度を充実、近年では有給の介護休暇制度も導入しました。

 

こうした世の中を先取りする数々の制度の早期導入の背景には、ユニ・チャームが、女性や、女性が多く取り扱う商材を開発・販売し、これら製品の拡大が女性の活躍の一助となるという自負があり、また、この製品を取り扱う企業自らが女性の活躍を推進していくことが大事であるという、トップの強い想いがあったからです。

 

 

そもそも、ユニ・チャームの女性活躍を実現するうえでベースとなる考え方は、男女に差をつけて考えるのではなく、社員のタイムマネジメント力を評価することでした。

 

『The Unicharm way』 を実現してくために、全世界の、全社員に、現地語による『The Unicharm way』の専用バインダーを配布しています。これが社員ひとりひとりの日々の業務の手引書となっています」

 

しっかり使い込まれた分厚いバインダーが掲げられると、参加者の皆さんは一瞬静まり返りました。「ユニ・チャームは本気だ」。会場には満ちたのは、まさにそんな空気でした。

 

また、成長著しい海外市場について、

 

「グローバルでは、グループ社員数21,000人に対して海外現地雇用社員は17,000人と80%が地域採用となっているのが大きな特徴です。海外社員の60%は女性社員で女性の活躍が顕著です。ユニ・チャームはアジア・中東に暮らす女性の地位向上にも積極的に取り組んでいて、製品提供を通じた生活水準の向上、女性の自立支援を行っています」

 

こうしたユニ・チャームの海外での取り組みは高く評価され、2014年4月に発表された第2回「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」において、企業部門賞を受賞しています。

「コモンズ ソーシャル・アクション白熱教室」への参加

2015年12月には「コモンズ ソーシャル・アクション白熱教室」にご参加いただきました。このイベントは、社会起業家とコモンズ30ファンドの投資先企業が共通して取り組む社会課題について参加者と共に考えるイベントです。 

 

 
「赤ちゃんからお年寄りまで、生活者が様々な負担から解放されるよう、心とからだをやさしくサポートしていく商品を提供する」というユニ・チャームの企業理念に基づいて「NOLA & DOLA(Necessity of Life with Activities & Dreams of Life with Activities)」という取り組みを行っています。また、CSR活動のひとつとしてインドでの月経教育を行っています。インドの農村部では、現代でも生理用品が使用されておらず、古布を当てて対処するという衛生的に良くない状況があります。

 

ユニ・チャームがインドでの月経教育に取り組むのは、「生理用品の提供というビジネスと、社会課題の解決の両立を目指す」ことにつながるからです。

 

参加者に強く印象に残ったのは、「ビジネスだけではなく、また、社会貢献だけでも企業として成り立たない。社会の役に立つ商品を提供し、企業活動と社会貢献を両立することが重要と再認識した」という点でした。

 

企業理念がしっかり企業文化につながり、企業の営利活動と社会課題の解決を両立させていることが、同社の持続的成長につながっているということを改めて知ることが出来たイベントとなりました。

 

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