現役時代は猛烈に働き、高年収を稼いで家庭を支えてきた元エリート夫。しかし定年後、自宅で無為に過ごす姿にパート勤めの妻は強い苛立ちを募らせます。そんななか、妻の留守中に取った「ある行動」が決定的な亀裂を生むことに――。第二の人生で露呈する夫婦の意識のズレと、円満な関係を築くためのポイントを考えていきます。
「ふざけるな!」 年収1,200万円だった元営業部長、定年後はダラダラ過ごしていたが…妻が激怒した「留守中のやらかし」 ※写真はイメージです/PIXTA

妻の留守中に呼んだ買い取り業者

数日後、智子さんがパートに出ていた午後、修さんは自宅に買い取り業者を呼びました。

 

業者が到着すると、修さんは使っていない家具や食器などを見せました。ところが、査定を進めるうちに、業者から貴金属についても尋ねられます。

 

「指輪やネックレスなど、使っていないものはありませんか?」

 

修さんは、寝室のタンスにしまわれていた小箱を思い出しました。中には、智子さんが亡き母から譲り受けたプラチナの指輪と18金のネックレスが入っています。

 

智子さんが大切にしていることは知っていました。しかし、修さんは「何年も使っていないのだから、整理しても問題ないだろう」と考えたのです。

 

「これも持っていってくれ」

 

業者に小箱を差し出し、家具などと一緒に査定してもらいました。提示された金額を確認すると、修さんはそのまま売却を承諾。業者は品物を持ち帰っていきました。

 

夕方、智子さんが帰宅すると、修さんはリビングでくつろいでいました。

 

「今日は家の片付けをしておいたぞ。使わないものを売ったら、いくらか現金になった」

 

得意げに話す夫に、智子さんは不安を覚えます。

 

「何を売ったの?」

「家具とか、いろいろだよ。終活も兼ねて整理したんだ」

 

智子さんは寝室へ向かい、タンスの中を確認しました。すると、母の形見を入れていた小箱がありません。慌てて夫に尋ねると、修さんは「ああ、あの指輪とネックレスも売ったよ。使っていないんだから、持っていても仕方ないだろう」とあっさり答えました。

 

「何で勝手に売るのよ! あれはお母さんの形見なのよ!」

 

智子さんが声を荒らげても、修さんは自分の行動を正当化します。

 

「家の中を片付けてやったんだぞ。いつまでも使わないものを置いておくより、現金にしたほうがいいだろう」

 

修さんは「そんなに怒ることか」と不満そうな顔をするばかり。自分が何をしたのか、理解していない様子でした。智子さんは、すぐに買い取り業者へ連絡し、品物を返してもらえないか確認。幸い、取り戻すことができました。

 

それでも「悪いことをしたという自覚すらない」と、智子さんの怒りはいまだ収まっていません。