※写真はイメージです/PIXTA
妻の留守中に呼んだ買い取り業者
数日後、智子さんがパートに出ていた午後、修さんは自宅に買い取り業者を呼びました。
業者が到着すると、修さんは使っていない家具や食器などを見せました。ところが、査定を進めるうちに、業者から貴金属についても尋ねられます。
「指輪やネックレスなど、使っていないものはありませんか?」
修さんは、寝室のタンスにしまわれていた小箱を思い出しました。中には、智子さんが亡き母から譲り受けたプラチナの指輪と18金のネックレスが入っています。
智子さんが大切にしていることは知っていました。しかし、修さんは「何年も使っていないのだから、整理しても問題ないだろう」と考えたのです。
「これも持っていってくれ」
業者に小箱を差し出し、家具などと一緒に査定してもらいました。提示された金額を確認すると、修さんはそのまま売却を承諾。業者は品物を持ち帰っていきました。
夕方、智子さんが帰宅すると、修さんはリビングでくつろいでいました。
「今日は家の片付けをしておいたぞ。使わないものを売ったら、いくらか現金になった」
得意げに話す夫に、智子さんは不安を覚えます。
「何を売ったの?」
「家具とか、いろいろだよ。終活も兼ねて整理したんだ」
智子さんは寝室へ向かい、タンスの中を確認しました。すると、母の形見を入れていた小箱がありません。慌てて夫に尋ねると、修さんは「ああ、あの指輪とネックレスも売ったよ。使っていないんだから、持っていても仕方ないだろう」とあっさり答えました。
「何で勝手に売るのよ! あれはお母さんの形見なのよ!」
智子さんが声を荒らげても、修さんは自分の行動を正当化します。
「家の中を片付けてやったんだぞ。いつまでも使わないものを置いておくより、現金にしたほうがいいだろう」
修さんは「そんなに怒ることか」と不満そうな顔をするばかり。自分が何をしたのか、理解していない様子でした。智子さんは、すぐに買い取り業者へ連絡し、品物を返してもらえないか確認。幸い、取り戻すことができました。
それでも「悪いことをしたという自覚すらない」と、智子さんの怒りはいまだ収まっていません。