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遺された通帳に並ぶ「毎月3万円」の入金…母が本当に望んでいたこと
母親が亡くなったのは、78歳のときでした。突然の体調不良で入院し、そのまま帰らぬ人となったのです。葬儀を終えた誠さんは、実家の片付けと相続の手続きを進めることになりました。
そこで見つけたのが、母親名義の預金通帳です。残高を確認すると、そこには想像していなかった金額が記されていました。長年の貯蓄に加え、誠さんが毎月振り込んでいた3万円も、ほとんど手つかずで残っていたのです。
入金履歴をさかのぼると、毎月決まった日に同じ金額が振り込まれています。
誠さんは、自分が送ったお金が母親の生活費として使われていると思っていました。しかし、実際には母親はそのお金を別の口座に移し、ほぼ全額を貯め続けていたのです。
10年間で360万円。通帳には、誠さんからの仕送りが積み重なっていました。
「どうして使わなかったんだろう。生活が大変だろうからって送っていたのに……」
このあと、どんなに家の中を探しても、なぜ仕送りにほぼ手をつけなかったのか、その理由を探ることはできなかったといいます。
このことを妻に話すと、「もったいなくて使えなかったんじゃない。私も、子どもたちからお金をもらったら、きっと使えないと思う」と納得の様子だったそうです。
「ずっと、自分は親孝行をしているつもりだったんですが、どうなんでしょうね。仕送りじゃなく、もっとできることがあったんじゃないか――今は後悔しかありません」
国立社会保障・人口問題研究所『第7回全国家庭動向調査』によると、離れて暮らす母親への支援として「悩み事の相談」といった精神的サポートを行う割合が34.8%に上る一方、経済的支援は「5万円未満」の少額が中心となっています。また同研究所の『2022年生活と支え合いに関する調査』では、悩みや愚痴を聞いてくれる相手として「家族・親族」を頼る人が8割を超えています。
「お金を出しているから安心」と満足せず、親の気持ちや暮らしに直接寄り添うコミュニケーションが、後悔のない親孝行のかたちかもしれません。