※写真はイメージです/PIXTA
「年寄りなんだから仕方ない」病院嫌いの82歳父、膝の痛みを放置した結果
「どうせ、もうすぐ死ぬんだから。今さら病院に行ったって仕方ないだろ」
82歳の山田勝さん(仮名)は、長男の大輔さん(仮名・52歳)から病院に行くよう勧められるたび、そう言って話を打ち切っていました。
勝さんの年金収入は月16万円。妻を亡くしてからは一人暮らしを続けています。持病はあるものの、これまで大きな病気をしたことはありません。多少の不調なら我慢して過ごすのが当たり前だと考えていました。
ところが、数年前から右膝に痛みが出始め、次第に悪化。立ち上がるときや階段を上り下りするときに強い痛みを感じるようになりました。
それでも勝さんは受診を拒み続けました。
「湿布でも貼っておけば、そのうちよくなる。年を取れば、あちこち痛くなるものだ」
当初は近所のスーパーまで歩いて買い物に出かけていましたが、やがて外出する回数も減り、家の中でも壁や家具につかまりながら移動することが多くなっていきました。
大輔さんが実家を訪れた際、父親の歩き方を見て驚きました。以前は自分で車を運転して出かけていた父親が、今では玄関から居間まで移動するだけでもひと苦労。痛む関節への衝撃を減らそうと、無意識に体をかばい、まるでペンギンのような歩き方になっていたのです。
「一度、整形外科で診てもらおうよ。歩くのも大変そうじゃないか」
「大げさだな。手術なんてするつもりはないぞ」
勝さんは病院嫌いでした。待ち時間が長いことも嫌でしたし、何より、検査を受けて重大な病気が見つかることを恐れていたのです。
また、年金月16万円で暮らす身として、医療費がどれほどかかるのかも気になっていました。手術や入院となれば、生活費を圧迫するのではないか。そんな不安も受診をためらう理由になっていました。
厚生労働省『2025(令和7)年国民生活基礎調査』によると、要支援となった主な原因の第1位は「高齢による衰弱」で17.7%ですが、次いで「関節疾患」が14.8%、「骨折・転倒」も14.7%を占めています。膝などの関節の不調や歩行機能の低下は、単なる痛みにとどまらず、日常生活の自立を損なう大きな要因となっているのです。
大輔さんは、父親の状態がさらに悪化することを心配していました。しかし、何度説得しても勝さんの返事は変わりません。
そんなある日、大輔さんは父親に孫の話を持ち出しました。