「訴えられる」とパニックに陥った高齢の母親から、突然のSOSが届きました。実家に駆けつけた家族を待ち受けていたのは、脅迫まがいの悪質な勧誘トラブルでした。近年、高齢者の不安や孤独感につけ込み、強引に契約を迫る手口が急増しています。大切な家族と財産を守るために知っておくべき自衛策と撃退法をみていきます。※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。
「お母さん、訴えられちゃう!」 76歳母が電話口で悲鳴…駆けつけた45歳長男が目の当たりにした「異臭の正体」 ※写真はイメージです/PIXTA

相談は年間4,000件超…70歳代以上が6割を占める

直樹さんが驚いたのは、母親が一方的に商品を送り付けられただけでなく、受け取りを拒否した後まで、損害賠償を持ち出して脅されていたことでした。

 

実は、こうした海産物の電話勧誘販売や送り付けをめぐる相談が相次いでいるといいます。

 

国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた関連相談は、2023年度が2,875件、2024年度が3,539件、2025年度には4,377件に増加しました。2026年度も9月30日時点で1,075件が登録されています。年末に向けて相談が増える傾向があり、特に高齢者のトラブルが目立つとして、同センターは家族や周囲の人にも注意を呼びかけています。

 

2025年度の相談を契約当事者の年代別に見ると、70歳代以上が2,600件で63.7%を占めました。60歳代も829件で20.3%に上ります。つまり、年代が判明している相談のうち、60歳以上が8割を超えているのです。

 

今回のようなトラブルでは、「以前購入したことがある」「年末セールで安く販売している」などと電話で勧誘し、購入を促す手口が見られます。さらに、断ったにもかかわらず商品を一方的に発送したり、「2回分の契約になっている」と説明して追加購入を迫ったりするケースもあります。

 

「断ったのに商品を送ってくることも、受け取り後にキャンセルを申し出たら訴えると言われることも、おかしいですよね」

 

直樹さんは母親と一緒に、消費者ホットライン「188」に電話をかけました。そもそも、注文していない商品を一方的に送り付けられた場合、購入する義務はありません。万が一、代金引換で届いた場合でも、宅配業者に事情を説明して受け取りを拒否し、代金を支払わないことが基本です。送り主の名称や所在地なども控えておくと、その後の相談に役立ちます。

 

また、今回のように動転して代金を支払って受け取ってしまった場合や、電話勧誘を受けて購入を承諾してしまった場合でも、電話勧誘販売に該当すれば、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内はクーリング・オフが可能です。契約内容に納得できない場合や、業者から不当な請求を受けた場合は、早めに消費生活センターへ相談することが大切です。