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「私、訴えられちゃう!」 母親をパニックに陥れた電話
東京在住の会社員・加藤直樹さん(45歳・仮名)。休日の午前中、スマートフォンに、地元で一人暮らしをする母親、幸子さん(76歳・仮名)から電話がありました。
「直樹、どうしよう。私、訴えられちゃう。早く来て」
電話口の母親は、ひどく取り乱していました。直樹さんが何があったのか尋ねても、「お金を払わないといけないみたい」と話がかみ合いません。
「誰に訴えられるの? 何が届いたの?」
何度聞いても、幸子さんは同じ説明を繰り返すばかり。直樹さんは心配になり、その日のうちに実家へ向かいました。到着して玄関を開けると、何とも言えない異臭が鼻をつきました。
「磯の香り!?」
そのままリビングに向かうと、幸子さんは居間で電話機のそばに座り込んでいました。テーブルには、宅配便の伝票と海産物販売業者からの書類、さらには母親が一人で食べきれるとは思えないほどの、箱いっぱいの海産物――カニやサケ、ホタテ、イクラなどの詰め合わせが放置されていたのです。
「これを見て。もう、どうしたらいいかわからないの」
幸子さんが差し出したのは、業者からの電話について書き留めたメモでした。そこには「キャンセルしたのに商品を送る」「送料も払え」「訴える」といった言葉が並んでいました。
話を聞くと、数週間前、幸子さんの自宅に海産物販売業者を名乗る男性から電話があったといいます。
「年末セールでカニと魚介類を安く販売しています」
そう勧められ、幸子さんは約2万円の商品を購入しました。商品は代金引換で届き、配達員に代金を支払ったそうです。ところが、その後、同じ男性から再び電話がありました。
「今度は福袋を付けて送ります」
幸子さんは、追加で購入するつもりはありませんでした。そこで、商品を送らないように伝えようと、着信履歴から業者に電話をかけ直します。しかし、相手は留守番電話に出るだけ。幸子さんは、商品の発送を止めてほしいというメッセージを残しました。
これで話は終わったと思っていたところ、後日、別の海産物セットが代金引換で届いてしまったのです。
発送を止めたはずなのにと動転した幸子さんでしたが、配達員を前に断り切れず、思わず代金を支払って荷物を受け取ってしまいました。我に返った幸子さんは、すぐに業者へ「注文していないから引き取ってほしい」と電話をかけ直しました。ところが、業者の男性は怒鳴るような口調でこう告げたのです。
「承諾したのになぜキャンセルするんだ。送料分も含めて損害賠償を請求するぞ」
「私は頼んでいないし、いらないとメッセージも残したのに……」
幸子さんは何度も説明しましたが、男性は聞き入れません。訴えられるという言葉に恐怖を感じ、届いた荷物を前に途方に暮れて、息子に助けを求めたのでした。