退去後のワンルームマンションを確認すると、壁も床もカビだらけ。ユニットバスも悲惨な状態で、修繕費250万円を覚悟しました。実は、もともと大量のゴミ袋が山積みになったゴミ屋敷。管理会社と成年後見人の司法書士が退去立ち会いを済ませたあと、大家が初めて室内を確認したのです。管理会社は入居者の保険すら把握しておらず、大家自身が司法書士と交渉。特殊清掃と保険の活用で、最終負担は約5万円に収まりました。
「ワンルームがゴミ屋敷に!」修繕費250万円を覚悟した大家…車内待機する管理会社の社長を横目にたった一人で交渉。意外にも修繕費が〈5万円〉で済んだワケ【現役大家CFPが語る実話】 (※写真はイメージです/PIXTA)

入居者の保険すら把握していなかった管理会社

入居者の保険すら把握していなかった管理会社。さらに驚いたのは、入居者の保険です。

 

当時の管理会社は、入居者が加入している保険の確認を、自社の業務として怠っていました。何度も改善を求めても実行されませんでした。そのうえ、成年後見人の司法書士との退去立ち会いで、保険について確認していなかったのです。

 

後日、私が司法書士と話した際に、保険契約通知書を見せてもらい、加入していることが分かりました。

 

入居者の保険から支払われた金額は少額でしたが、出ないよりはマシです。

 

オーナーの保険と入居者の保険を併用することはできますが、同じ損害について、損害額を超えて重複して保険金を受け取ることはできません。

 

だからこそ、どんな保険に加入しているのか、最初に確認しておく必要があります。

 

また、司法書士からは、ゴミが山積みになっていた当時の写真も提供してもらいました。私が室内を見たときには、すでにゴミは撤去されていましたが、この写真で撤去前の状態も確認できました。写真は後の保険申請にも添付しました。

特殊清掃でユニットバスが復活! 最終負担は5万円

修繕についても、予想外の展開がありました。


特に驚いたのがユニットバスです。最初に見たときは、交換するしかないと思うほど悲惨な状態でした。


ところが、特殊清掃とリペアで復活したのです!


これは本当にすごいと思いました。壁や床についても修繕を進め、最終的な原状回復費用は約93万円に収まりました。

 

当初の私の見立ては250万円。実際の費用は93万円。予想より157万円も少なく済んだ計算です。もちろん、250万円は私の当初の概算です。それでも、修繕業者の技術には感心しました。


さらに、オーナーの火災保険、入居者の保険、入居者本人の負担を組み合わせて、費用の回収を進めました。保険申請には、室内の被害状況や修繕資料に加え、司法書士から提供されたゴミ屋敷状態の写真も添付しました。


保険が支払われるかどうかは、当初は分かりませんでした。しかし、結果は次のとおりです。

  

項目 金額
当初の修繕費の見立て     約250万円
実際の原状回復費用  約93万円
保険金・入居者負担等による回収額 約88万円
所有者の実質負担 約5万円


250万円の持ち出しも覚悟していたのに、結果は約5万円。


特殊清掃とリペアで修繕費を抑え、保険などを活用して費用を回収できました。


今回、管理会社に期待していたのは、難しい交渉ではありません。退去立ち会いで入居者の保険を確認するなど、基本的な対応です。結局、司法書士への連絡も交渉も、保険の確認も私が行いました。


大家業では、管理会社に任せきりにせず、自分で動くことも必要です。


それにしても、あの日、社長は何のために来たのでしょうか(笑)。

 

 

竹下 昌成

竹下FP事務所 代表

日本FP協会認定CFP・TAC講師