定年退職を機に長年の夫婦関係を解消し、第二の人生を歩み出す熟年離婚。束縛から解放されて自由を満喫する人がいる一方、想定外の孤独や生活苦に直面し、後悔を募らせる人も少なくありません。同じ選択をしながら、なぜ老後の生活に大きな差が生まれてしまうのでしょうか。熟年離婚の明暗を分ける決定的な要因を探ります。
「離婚して正解」から一転、67歳で婚活へ…定年後に離婚した2人の60代男性にみる、「熟年離婚」天国と地獄の境界線 ※写真はイメージです/PIXTA

「もっと早く離婚すればよかった」定年後の自由を満喫する男性

「離婚して本当によかったですよ。今は誰にも気を遣わずに暮らせていますから」

 

そう話すのは、3年前に妻と離婚した田中浩さん(65歳・仮名)です。

 

田中さんは60歳でメーカーを定年退職しました。妻とは結婚して35年、子ども2人はすでに独立していました。現役時代は仕事一筋で、家事や育児は妻に任せることが多かったといいます。

 

夫婦仲は決して良好ではありませんでした。休日に趣味のゴルフへ出かけようとすると、妻から嫌味を言われる。反対に、妻が友人と旅行に出かけるときには、家事を済ませておくよう求められることもありました。

 

退職後、夫婦で過ごす時間が増えると、衝突はさらに増えました。

 

「これから毎日、家にいるの?」

 

妻の言葉に、田中さんは腹を立てました。家族のために長年働いてきたのに、退職後の自分の居場所はないのか。そう感じたのです。

 

話し合いを重ねても折り合いはつかず、最終的に離婚を決断。自宅を売却し、財産分与を済ませて、それぞれ別の生活を始めました。

 

現在は賃貸マンションで一人暮らし。週に数回はゴルフを楽しみ、学生時代の友人とも頻繁に会っています。食事は外食や簡単な自炊で済ませ、掃除や洗濯も自分のペースで行います。

 

住まいについても、財産分与で得た資金の一部を新居の確保に充て、毎月の生活費を考えながら暮らしているといいます。

 

「現役時代は仕事、家庭では妻の機嫌。ようやく自分の時間ができました」

 

田中さんは、離婚後の生活に満足していると話します。夫婦で暮らしていたころには気兼ねしていた趣味や友人との付き合いも、今では自由に楽しめるようになりました。