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退職後は妻とゆっくり過ごしたかった67歳男性
神奈川県内で暮らすタカシさん(67歳・仮名)は、妻のカズエさん(65歳・仮名)と2人暮らしです。2人の子どもはすでに独立しています。タカシさんは大手メーカーに長年勤め、65歳で定年退職。その後も再雇用で2年間働き、今年、仕事を完全に引退しました。夫婦の年金収入は月約32万円。金融資産は約4,500万円あり、自宅の住宅ローンも完済しています。生活には比較的余裕があります。
「現役時代は仕事が忙しく、妻も働いていたので、夫婦でゆっくり過ごす時間はあまりありませんでした。だから退職したら、2人でいろいろなところへ出かけたいと思っていました」
一方、カズエさんも長年、企業の事務職として正社員で働いてきました。60歳で退職したものの、現在は近所の企業で週2〜3日、事務のパートをしているほか、友人が営む編集プロダクションの仕事も手伝っています。原稿の校正や資料作成、イベントの運営補助など、依頼があれば引き受けるという働き方で、パート収入と合わせた年収は約150万円です。
「妻は昔から人付き合いが得意なんです。パート先でも頼りにされているみたいで、若い社員から相談されたとか、上司に褒められたとか、楽しそうに話していましたね」
タカシさんも再雇用で働いていたころは、妻の働き方を特に気にしていませんでした。ところが、自分が完全に仕事を辞めると、状況が変わりました。
「こちらは毎日休みなのに、妻の予定に合わせなければいけない」
退職後のタカシさんは、朝の散歩や読書などで時間を過ごすようになりました。最初は自由な生活を満喫していましたが、次第に時間を持て余すようになったといいます。一方、カズエさんは相変わらず忙しそうでした。
「今日はパートなのかと思ったら、友達の仕事を手伝いに行くと言う。仕事がない日は職場の人とランチに行くこともあります」
カズエさんは、以前から興味があった朗読の会にも月2回参加しています。そこでも新しい友人ができ、活動のあとにお茶を飲んで帰ってくることもあるそうです。
「妻は毎日楽しそうなんですよ。でも、私は家で一人です。退職前は何とも思わなかったのに、だんだん面白くなくなってきたんです」
あるとき、タカシさんは妻を温泉旅行に誘いました。
「平日に2泊くらいでどうかと言ったんです。そうしたら『3日潰れるのはキツイな。せめて1泊かな』と言われてしまって」
タカシさんは釈然としませんでした。
「こっちは毎日休みなのに、妻の予定に合わせなければいけない。生活のために必要な仕事でもないのに、そこまでして働く必要があるのかなと思いました」
次第にタカシさんは、妻が出かけるたびに「今日は何時に帰るんだ」「その仕事は断れないのか」と尋ねるようになりました。