(※写真はイメージです/PIXTA)
「食費を浮かせたいんじゃない?」友人の一言
ある土曜日の昼、アカリさんは久しぶりに友人とランチを楽しんでいました。食事を終えて、もう少しお茶でもしようかという話になったとき、アカリさんは時計を見ながら、何気なくこう漏らしました。
「今日も夕方から義妹たちが来るんだよね。そろそろ買い物して帰らないと」
事情を知らなかった友人は、毎週土曜日に義妹一家が夕食を食べに来て、お風呂まで入って帰ると聞いて驚いたそうです。
「それって、義妹さんたち、少しでも食費を浮かせようとしているんじゃない?」
アカリさんは、それまで義妹一家の訪問をお金の問題として考えたことがありませんでした。友人の言葉が気になり、毎週どのくらいお金を使っているのか、改めて計算してみることにしました。
「義妹たちが来る日は、唐揚げやハンバーグなど、子どもも食べやすいものを作ることが多いんです。家族4人なら余り物で済ませる日もありますが、7人分となるとそうもいきません」
食材の買い足しで普段より2,000円ほど多くかかり、ビールやおつまみなどでさらに1,000円程度。入浴に伴う水道代やガス代もかかります。1回あたりの追加負担を3,500~4,000円と見積もると、月4回で約1万4,000~1万6,000円。月1万5,000円として計算すれば、年間18万円にもなります。
「年間18万円って、結構な金額ですよね。自分たちの食費は気にしているのに、どうして毎週、ほかの家族の夕食まで用意しているんだろうって」
アカリさん夫婦は住宅ローンを返済しながら、2人の子どもの教育費も準備しています。もちろん、マホさん一家が食費を節約する目的で訪問しているのかはわかりません。
「義妹はたまにお菓子を持ってきてくれるんです。でも、毎週7人分の夕飯を用意している私からすると、それでお互いさまという話でもない気がして……」
「家族なんだから」という夫に怒り
以前から負担を感じていたアカリさんは、夫に「毎週来るのは大変だから、せめて月1回くらいにしてもらえないかな」と相談したことがありました。しかし、夫の返事は「家族なんだから、別にいいじゃん。子どもたちだって楽しそうだし」というものでした。
「家族だからって、毎週ご飯を作って、お風呂を貸して、片付けまでしなきゃいけないの?」
アカリさんがそう言うと、夫は「そんなに大変なら、俺も手伝うよ」と答えたそうです。
「手伝うっていう言い方も引っかかりました。夫の妹の家族なのに、どうして私が全部段取りして、夫がそれを『手伝う』ことになるんでしょうね」
友人とのランチをきっかけに、アカリさんは改めて夫と話し合うことにしました。今回は食費の概算も伝え、休日の時間がなくなっていることも説明しました。夫は「そんなにお金がかかっていると思わなかった」と驚き、「じゃあ夕飯は出前にすればいい」と提案しました。しかし、アカリさんが求めているのは、料理の負担を減らすことだけではありません。
「出前にしたら解決する話じゃない。毎週誰かが家に来ること自体が負担なの。あなたは妹たちと会いたいかもしれないけれど、私は毎週会いたいわけじゃない」
そう伝えると、夫もようやく理解したようでした。結局、義妹一家の訪問は月1回程度にすることに。夕食を一緒に食べる場合は、あらかじめ相談し、食事の準備や費用も分担してもらうことにしました。
夫から話を聞いたマホさんは、「そんなに負担だったんだね」と驚いていたそうです。
「悪気はなかったのかもしれません。でも、だからこそ早いうちに言えばよかったと思いました」
善意が「当然の負担」にならないために
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」によると、二人以上の世帯の食費は月平均9万4,895円、光熱・水道費は月平均2万4,547円でした。食費は前年より名目で5.5%増加する一方、物価変動を考慮した実質では1.2%減少しています。
今回のケースでは、食費や光熱費だけでなく、料理や片付けに費やす時間もアカリさんの負担になっていました。親族同士で子育てを助け合うことには意味があります。しかし、一方の善意に頼った関係が長く続けば、負担が偏ってしまうこともあります。
「家族なんだから」という言葉で、誰かの負担を当然のものにしていないか。親しい関係だからこそ、お金と時間の両面から考える必要があるのではないでしょうか。
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