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ショックの孫、「もう会いに行かない」と涙
帰りの車の中で、大翔くんはほとんど口を開きませんでした。家に着いてから、ようやく小さな声で尋ねました。
「おばあちゃん、僕のこと、本当に忘れちゃったの?」
真由美さんは、認知症が進むと名前や顔がわからなくなることもあると、改めて説明しました。それでも大翔くんは納得できません。「前は僕のこと、すぐわかったのに」「僕、何か悪いことした?」と聞き、最後には「もう会いに行かない」と涙ながらに訴えました。
真由美さん自身もショックを受けました。いつか娘である自分のことも忘れてしまうのではないか。そう思うと、涙が出そうになったといいます。そして、息子が想像以上にショックを受けていたことにも胸を痛めました。
真由美さんは、息子に「会いに行かなきゃだめ」とは言いませんでした。代わりに、祖母がわざと忘れたのではないこと、大翔くんが悪いわけでもないことを、何度も言葉にしました。そして、症状によっては、思い出したり、思い出せなかったりすることを伝えました。そのうえで、会いに行くかどうかは、大翔くんにまかせることにしました。
2週間後、面会に向かうとき、大翔くんは自分から「僕も行く」と言ったそうです。
「その日も反応は鈍かったのですが、途中で大翔のことを思い出すこともありました」
内閣府『令和8年版高齢社会白書』によると、令和4年時点で65歳以上の認知症高齢者数は443.2万人(有病率12.3%)と推計され、誰もが直面し得る課題です。
同白書によると、日本の高齢者が生きがいを感じる時として「子供や孫など家族との団らんの時」が53.6%で最多となっており、家族との絆は大きな支えとなります。一方で、同居介護者の68.9%を女性が占めるなど家族の負担も大きく、記憶の変化による戸惑いも生じます。
認知症への正しい理解を深め、介護サービスや周囲の支援を活用しながら、家族だけで抱え込まず温かく見守る関わり方が大切です。