インバウンド需要の拡大を背景に、宿泊事業を活用した資産運用への注目が高まっている。税理士の松尾浩輔氏が監修する「GP民泊投資」は、物件を所有せずに宿泊事業へ参入できる仕組みに加え、投資家自身が宿泊施設を利用できる点を特徴としている。従来の不動産投資とは何が異なるのか。実際に宿泊事業に参加するパートナーの事例や、運営会社である株式会社GPの取り組みについて、同社の役員で専任税理士でもある松尾氏が解説する。

節税・資産運用に加えて「自己利用」もできるGP民泊投資

GP民泊投資は、株式会社GPが物件オーナーから物件を借り上げ、宿泊施設として運営する事業に、投資家がパートナーとして参加する仕組みです。一般的な不動産投資とは異なり、投資家自身が土地や建物を購入する必要はありません。

 

GPが物件オーナーと賃貸借契約を締結し、投資家であるパートナーと転貸借契約を結ぶことで、物件を使用して収益を得る権利を付与します。さらにパートナーはGPと業務管理委託契約を結び、集客や宿泊者対応、宿泊料金の収受などの運営業務を委託します。

 

このGP民泊投資には、大きく3つの特徴があります。

 

1つ目は、宿泊事業から得られる収益によって資産形成を目指せることです。日本政府観光局(JNTO)訪日外国人旅行者数は2024年の3,687万人から2025年には4,268万人(暫定値)へと増加しました。GPが運営する宿泊施設でも、宿泊客の約7割を外国人観光客が占めており、こうしたインバウンド需要を取り込んでいます。

 

2つ目は、節税への活用です。GP民泊投資では事業開始時に初期費用が発生しますが、税法上の条件を満たせば、必要経費や損金として計上できる可能性があります。個人の場合は、事業所得として認められれば給与所得などとの損益通算が可能になり、法人の場合は決算対策として活用できるケースがあります。

 

そして3つ目が、今回詳しくご紹介する「自己利用」です。

 

GP民泊投資では、パートナー自身が契約した宿泊施設に泊まることができます。筆者はこれを「体験型の事業投資」と呼んでいます。

「お金だけが動く投資」から「自分で体験できる投資」へ

一般的な資産運用商品には、株式や投資信託、J-REIT(不動産投資信託)などがあります。これらは投資によって収益を得ることを目的としていますが、投資家自身が投資対象を直接利用するものではありません。

 

一方、貸別荘投資であれば自分自身が宿泊することもできますが、基本的には物件を所有する必要があります。

 

GP民泊投資は、物件を所有せずに宿泊事業へ参入できることに加え、パートナー自身も客室を利用できる点が特徴です。

 

私はこの商品を開発するにあたり、「お金だけが動く商品から、パートナーが自ら利用できる商品へ」というコンセプトを掲げました。投資家にとって、自分が何にお金を投じているのかを実感できることが重要だと考えたからです。

 

例えば、実際に客室に泊まれば、部屋の広さや設備、清潔さ、宿泊者への案内などを、利用者の視点から確認できます。さらに、「こういう設備があれば、もっと宿泊者に喜ばれるのではないか」「客室をこのように改善すれば、収益が上がるのではないか」といった気づきにもつながります。

 

つまり、単に投資収益を受け取るだけでなく、パートナー自身がサービスを体験し、宿泊事業の改善に関わることもできるのです。

 

自分が何にお金を投じ、どのようなサービスを提供しているのかを、実際の宿泊体験を通じて理解できる。それがGP民泊投資における自己利用の意義です。

元日本航空の客室乗務員が民泊事業に参画…宿泊客から「オール5」の評価を獲得

実際にGP民泊投資に参加しているパートナーのなかには、これまでの職業経験を宿泊事業に生かしている方もいます。その一人が、元日本航空の客室乗務員の女性です。この方は当初、広告をきっかけにGPへお問い合わせをいただきました。

 

「宿泊事業を始めたいけれど、初めてなのでGPと一緒に取り組みたい」

 

そうしたご希望があり、2025年8月に竣工した札幌の新築物件で、宿泊事業を始めることになりました。

 

GPの札幌メンバーとチームを組み、まずは客室づくりから取り組みました。客室が完成した後も、女性パートナーは宿泊者へのメッセージ対応など、運営の細かな部分まで確認しています。

 

例えば、Airbnbの利用履歴などから、宿泊者がどこの国から来るのか、どのような目的で日本を訪れるのかを調べ、一人ひとりに合わせた対応を考えていました。

 

私は、そのきめ細かな対応を見て、GPでもこうしたサービスを取り入れたいと思いました。そこで、どのようにホスピタリティを実践しているのかを伺ったところ、以前、日本航空の客室乗務員として働いていたことを教えていただいたのです。

 

まさに「空のおもてなしを、宿のおもてなしへ」ということです。

 

この方のホスピタリティは、私たちGPが目指すべきものだと感じました。そこで現在は、この女性とコンサルティング契約を結び、GPが管理するすべての客室について、宿泊者へのメッセージ対応などを確認していただいています。

 

メッセージの一つ一つに失礼な表現がなかったか、電話対応やその他のお客様対応に問題がなかったかなどをチェックし、サービスの品質向上に取り組んでいます。

 

この女性と最初に手がけた客室が、札幌の「サンコート月寒中央通701号室」です。この客室は、Airbnbで高い評価を受けており、2026年10月時点では23件の口コミが寄せられ、そのすべてが5点満点でした。

 

もちろん、新築物件なので客室がきれいだということも、評価につながっていると思います。ただ、それだけではありません。

 

例えば、海外から家族連れの宿泊者が訪れる場合、女性パートナーは子ども向けのプレゼントを用意することがあります。日本の100円ショップの商品は、私たち日本人にとっては身近なものですが、海外の方にとっては、その価格と品質に驚くこともあります。

 

そこで、100円ショップの商品を活用し、子どもたちへのちょっとしたプレゼントを用意するのです。

 

こうした心遣いが、宿泊者に「日本に来てよかった」と感じていただくきっかけになります。一つ一つの取り組みの積み重ねが、宿泊施設の高い評価につながっていると考えています。

 

この事例は、パートナーが単に資金を投じるだけでなく、自身の経験や知識を宿泊事業に生かせることを示しています。

節税目的で始めた民泊投資が「第2の収益の柱」に

もう1つご紹介したいのが、システムエンジニアの人材派遣事業を営む法人の事例です。この法人は、GP民泊投資が生まれるきっかけにもなったお客様です。

 

当初は決算対策として節税をしたいというご相談をいただき、博多の物件から宿泊事業投資を始められました。ところが、その後、本業を取り巻く環境に変化が生じました。

 

近年、生成AIが急速に普及し、従来はシステムエンジニアが担っていた業務の一部をAIで行えるようになってきました。

 

こうした技術の進歩によって、今後、システムエンジニアの人材派遣事業にも影響が及ぶのではないかと、社長は懸念されていました。

 

2026年春頃には、「本業の先行きが不安だ」というお話も伺いました。そのなかで、今後の事業について検討するうちに、社長から「GPの宿泊事業投資は収益性も見込めるので、宿泊事業に本格的に参入したい」というご相談をいただいたのです。

 

現在では、従来のシステムエンジニアの人材派遣事業を継続しながら、宿泊事業をもう1つの収益の柱として位置づけています。

 

また、2026年9月からは私自身もこの法人の顧問税理士を務めており、人材派遣事業と宿泊事業の両立を支援しています。

 

当初は節税を目的にGP民泊投資を始められましたが、現在では、宿泊事業そのものを新たな事業の柱として育てようとされています。

 

こうした事例からも、GP民泊投資は初年度の節税だけで終わるものではなく、その後の事業運営を通じて収益を得ていくことが重要だと考えています。

「旅で日本をつくる」…GPが掲げる経営理念とは

ここで、GP民泊投資を運営する株式会社GPについてもご紹介します。

 

GPという社名は、「Guest Partners(ゲストパートナーズ)」の略称です。宿泊者であるゲストに寄り添うという考え方を込めています。

 

私たちは、資産運用商品や節税商品をつくること自体を最終的な目標としているわけではありません。

 

GPの経営理念は「旅で日本をつくる」です。宿泊事業を通じて、常に利他的な行動を大切にすることを掲げています。その考え方の中心にあるのが、「エクセレントホスピタリティ」です。

 

利他的な行動を積み重ねることが、宿泊事業における卓越した成果につながると考えています。GPでは、顧客、従業員、社会に対して、それぞれのビジョンを掲げています。顧客に対しては「顧客第一主義」を掲げ、エクセレントホスピタリティを軸としたサービスを提供しています。

 

従業員に対しては「挑戦と成長の場」であることを重視しています。GPには8つの行動指針があり、毎朝、従業員全員で読み上げています。一人ひとりが挑戦し、成長し、自己実現できる会社を目指しています。

 

そして、社会に対しては、宿泊事業を通じた社会貢献を掲げています。特に宿泊事業では、地域住民との関係が欠かせません。

 

本社を置く福岡だけでなく、新たに進出した江の島でも、地域の方々に宿泊事業について理解していただくと同時に、私たち自身も地域の生活環境を理解しながら運営することを大切にしています。

 

宿泊施設の運営によって、騒音やごみなどの問題が発生すれば、地域住民の生活に影響を及ぼす可能性もあります。

 

だからこそ、地域住民の生活を脅かすことなく、宿泊者にも満足していただけるサービスを提供する必要があります。

 

宿泊事業を通じて日本経済に貢献しながら、地域社会との共存を図ること。それがGPの目指すサービスのあり方です。

売上高17.6億円から30億円へ…GPの現在と今後の目標

GPは2026年5月に第3期の決算を迎えました。第3期の売上高は17億6,000万円、利益は約3,000万円弱でした。売上高に対する利益率はまだ低い状況ですが、管理する宿泊施設の数は増えています。

 

2026年5月の決算時点で、管理客室数は248室でした。2026年10月末時点では約270室まで増えており、スタッフも約50名、アルバイトを含めると60名に近づく規模となっています。

 

今後は、2028年の第5期終了時点で、売上高30億円、管理客室数450室、スタッフ70名体制を目指しています。さらに、第5期から第6期にかけては、海外進出についても検討しています。ただし、まずは日本国内の宿泊事業で実績を積み重ねていくことが重要だと考えています。

 

GPでは「1つでも多くのありがとうを」という考え方を大切にし、従業員同士が感謝の気持ちを伝える取り組みも行っています。宿泊者、パートナー、従業員、そして地域社会。それぞれにとって価値のある事業をつくっていくことを目指しています。

 

GP民泊投資は、資産運用や節税への活用に加えて、パートナー自身が宿泊施設を利用できることを特徴としています。

 

実際に客室に泊まり、サービスを体験し、事業の改善点を考える。そうした関わり方ができることが、私たちの考える「体験型の事業投資」です。

 

今後も、パートナーとともに宿泊事業の価値を高めながら、日本の宿泊産業の発展に取り組んでいきたいと考えています。

 

税理士 松尾 浩輔(松尾浩輔税理士事務所 代表)

 

税理士 松尾 浩輔(松尾浩輔税理士事務所 代表)

 

学歴
長崎県立大学経営学部卒
長崎県立大学経済学研究産業経済・経済開発修士課程修了

経歴
税理士法人内田会計事務所(旧:税理士法人アップパートナーズ)

中小企業や個人事業主を中心に、税務顧問、決算申告、資金調達支援、財務分析、事業承継対策など幅広い分野で相談を受けており、単なる税務処理にとどまらない総合的なサポートを行っている。

https://zeimu-no-soudan.jp/

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の不動産商品や投資手法を推奨するものではありません。
※不動産投資には価格変動リスク、需要変動リスク、流動性リスク等があり、元本割れとなる可能性があります。
※掲載している内容や事例は一例であり、将来の成果や利回り等を保証するものではありません。
※記事内の見解は対談時点のものであり、将来の不動産市況や収益性を保証するものではありません。
※投資判断はご自身の責任において行ってください。